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北アルプス・フラワーロード テント泊縦走記 2011

蓮華温泉から朝日岳
(2日目・その1)
2011/ 7/16


スミレ (08:12)


 7月16日(土)   

 蓮華温泉仙気ノ湯ですっかり疲れを癒し、その上キャンプ場に流れる手の切れるような清流で冷やしたビールと日本酒を飲んだら、天国とはこの場所の今の時間のことを言うのだなと思いながら寝入ってしまった。ちょうどそのころ、視界を奪うようなガスがテント場を覆ってきたのだが、明日の天気は約束されていたので安眠を貪ったのだった。


アヤメ平から五輪尾根〜朝日岳 (05:37)

 午前5時には出発する予定で午前3時半に起き出す。昨日下ってきた山の中腹にある「天狗の庭」方向を照らす月は明るく、素晴らしい今日の一日を約束してくれている。テント場は広大な草原(くさはら)の中に小川が流れている。炊事場の水道の蛇口から流れる水がいつまでたっても茶変していたので小川の水を汲むと、その先にテントが一張りあった。昨夜の遅い時間に着いたのだろう。翌日18日早朝に朝日岳からの水平道が交わる登山道で会った男性に経路を聞くと、遅い時間に蓮華温泉にテントを張り、夕べも朝日小屋には午後7時過ぎに到着したとのことで、そのテントの人だった。


クルマユリ (05:53 兵馬ノ平)

 蓮華温泉から湿ってうっそうとした樹林帯を兵馬ノ平らへと下りる。早朝ながらすぐに汗びっしょりになり、陽当たりに出たらどうなるのかと先が思いやられる。湿原はアヤメ平と名付けられているとおりヒオウギアヤメの群落、そしてオオバギボウシが勢力を誇示している。そのような中、クルマユリがわずか2株あった。そのクルマユリは群衆の中の個性派と言え、その存在感を際立っていて、群れることは嫌いだと主張しています。


ショウキラン (06:20)

 兵馬ノ平からは「朝日岳」の表示に従って再び樹林帯に入る。特に今年は平岩駅からの道路が崩壊し入山者が少ないにも関わらず、登山道はそれはそれは丁寧に手入れされている。今回の登山で新潟県、富山県、長野県の登山道を巡ることになるが、あらゆる観点から新潟県の登山道整備への力の入れようは他を抜いている。それは登山道脇の手入れにも現れているが、登山道に咲く花を区別しきちんと残している。それがショウキランであり、ツバメオモトであり、コケイランでありその他の花々なのであった。これからの道も湿原を通過することが多いのだが、木道の整備も半端ではない。前回ここを通った時はやり過ぎではないかと思ったが、木道脇で競演を繰り広げる高山植物たちを見ると、整備の成果が表れているものと感じられる。
 この先の瀬戸川は、両側が急峻な崖となっていて、私のような技量のないものには通過が不可能な場所です。瀬戸川は何本もの沢の水を集めていて、流れも急ですが、ここにはとてつもなく立派な橋が架けられています。


サイハイラン (06:30)

 それにしても暑い。沢を流れる水の音が聞こえてきて白高地沢の渡渉点も近いと分かるが、沢に至る前に展望のない「白高知沢のぞき」で大休止する。無風快晴で衣服はびっしょり。スタミナも相当奪われてきたので、絞ったレモンのハチミツ添えを大量に摂取する。
 白高地沢に下りると丸木橋へ渡る右岸は大きく崩壊している。そこを通り抜けることができないわけではないが、先人の足跡も見つからない。下流に2011年中に供用が開始される予定の鉄製の立派な橋が架けられているが、まだ登山道で誘導されるようにはなっていないから、ダイレクトに渡渉することにする。この流れでは、どこかでは最低1回流れの中に登山靴を沈めないとならない。かと言って、いい加減に流れの中に足を置くと足を取られて転倒することは過去に経験済みだ。下の画像の右側を選んでどうにか通過したが、登山靴に水が入るのは致し方のないこと。そういうことで、登山地図上に記されている丸木橋が実際にこの上流に架けられてあったのかは確認していない。

 
白高知沢 (07:53)

 無事、白高知沢を渡った。地図のとおりに丸木橋を渡ると、いったん下流に戻って朝日岳への道を探すことになるのだが、ダイレクトに渡渉したので登山口は目の前にある。ここからは樹林帯にジグを切った300mの急登りとなって疲れるところだ。ここはカモシカ坂と名付けられているようだが、登り一辺倒ではなく細かな登降もあり、地図上では1時間30分の所要時間となっている。がまんにがまんを重ねて花園三角点に着いた。そこは湿性草原とも言えるし、それとも標高が1,700mを超えているので高層湿原あるいは高層草原とでも言うのだろうか、そこからは花々が咲き乱れる天国の始まりだった。


ギンリョウソウ (09:07)

 花園三角点の先は、五輪高原と呼ばれる湿原だが、まずトキソウやサワラン、ミズバショウ、イワイチョウにハルリンドウ(タテヤマリンドウ)、そして矮性のユキワリソウと続くが、やはり圧巻はハクサンコザクラだ。


トキソウ (09:27)

 五輪高原には雪が多く残っている。酷暑の中のこれから先のことを考えると、水の補給をしなければと思い、木道脇の水を汲む。しばらく行くと雪渓からの流れがあったので水を汲み直す。さらに進むと脇にそれた木道に「水」と赤ペンキでマークされているので行って見ると、山肌から冷たい水が流れ出しているのだった。それはただそれだけのことだが、その周辺はハクサンコザクラで取り囲まれており、まさに花園とはこのような場所を言うのだろう。


サワラン (09:34)

 ハクサンコザクラに見とれていると、下りて来る人がいる。昨晩は朝日小屋でテントを張ったが、今季初めてのテント泊者であったと小屋の人に言われたそうだ。昨日は白馬大池から朝日小屋まで歩いたので膝が痛いと言う。我流のストレッチを伝授し別れた。


ユキワリソウ (10:14)


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 地点  着 発  歩行時間  休憩時間  コースタイム 
 蓮華温泉    05:20      
 瀬戸川の橋  06:25  06:25  01:05    
 白高知沢  07:10  07:30  00:45  00:20  02:20
 花園三角点  09:50  10:10  02:20  00:20  01:30
 千代ノ吹上  13:40  13:50  04:30  00:10  02:00
 朝日岳  15:00  15:30  01:10  00:30  00:50
 朝日小屋  16:00    00:30    00:40
 総時間      10:20  01:20  07:20