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大菩薩嶺から湯ノ沢峠を経て滝子山縦走
(1日目 湯ノ沢峠避難小屋まで)

2010/ 6/ 4〜5



写真提供 山本耕作様 ブログサイト(写真館 美しき富士



縦走の途次、ハマイバ丸から雄大な富士山を見ることができた。
満開のミツバツツジの大木を従えた富士山に圧倒され、
その姿を写すこともためらわられた。

富士山を中心に日本の風景を撮影されている山本様のご好意に甘え、
そのすばらしい写真を使用させていただくこととなりました。
ハマイバ丸のミツバツツジを従えた富士山、
この縦走のハイライトです。


 6月 4日 

 16日からの北海道・日高山脈3泊4日の縦走を控え、体作りの仕上げとして大菩薩嶺〜滝子山のロングラン縦走を行うこととした。今年新調し,残雪深い日高の山でも履く予定のザンバランの登山靴(ローツェGT)のフィット具合も、長い時間歩いて確認する必要がある。

 笹子駅まではマイカー、笹子駅から塩山駅までJR、塩山駅から「大菩薩峠登山口」バス停のある烈石まではバスに乗る。コースは、烈石〜上日川峠〜石丸峠〜小金沢山〜牛奥ノ雁ヶ腹摺山〜川胡桃沢ノ頭〜黒岳〜湯ノ沢峠(避難小屋泊)〜大蔵高丸〜ハマイバ丸〜天下石〜米背負峠〜大谷ヶ丸〜アモウ沢乗越〜鎮西ヶ池〜滝子山〜浜立山(浜立尾根)〜笹子駅とし、これを2日間、約14時間で歩く。


クリンソウ

 平日とあって、JR塩山駅から出発したバスで終点の大菩薩峠登山口バス停を降りたのは4組5人だけ。標高2、000mを超える大菩薩嶺はまだ春の息吹が始まっていないと判断し、上日川峠から熊沢山を巻き石丸峠へのコースをとる。特に何かの花を期待したわけではないが、いつものように目を右へ左へ、上へ下へと動かすが、見たのはササバギンラン2株、ほかにスミレだけだった。

 上日川峠からいったん沢に下る。相変わらず植生の乏しい登山道を歩くと、湧き水で湿ったところにクリンソウが咲いている。その後上日川ダムに流れる小さな流れのどこかしこにもクリンソウがあって、かつて北海道・日高の山裾で見た初夏の風景を思い出す。


熊沢山への登りで カラマツ林

 林道に出合うとそこは小屋平(石丸峠入口)という栄和交通のバス停だった。このバスは登山シーズンの土日休日を中心に、甲斐大和駅から出ている。交差する林道から先はカラマツ林の中の急登となる。熊沢山の裾の笹原に出ると石丸峠から狼平までのなだらかな展望が開ける。

 今日は夕方から寒気が流れ込み落雷や急に雨が降るとの予報なので、石丸峠で休むことなく先を急いだが、狼平のあまりにものどかな景色に、思わずザックを下ろし草原に足を伸ばした。ほどなくして小金沢山まで行ってきたというおじさんもザックを下ろす。おじさんはいったん上日川峠に戻って車で湯ノ沢峠に行くと言う。歩くのが早いか、車が早いかと湯ノ沢峠での再会を約し、小金沢山に取り付く。


熊沢山を巻いて石丸峠へ (旧道標)

 小金沢山まではいくつかのコブを越える。木の根が露出しシャクナゲが多い登山道である。小金沢山を越えると笹ヤブが主体の面白みのない登山道で、これが牛奥ノ雁ヶ腹摺山や川胡桃沢の頭まで続く。牛奥ノ雁ヶ腹摺山までは昨年FURENと登っており、黒岳までは何もない道であることを知っているから淡々と歩みを進める。

 黒岳から湯ノ沢峠までの間は未踏の場所であり、わずかな期待は持っていたが、山の春はまだ早いことから、ミツバツツジがわずかに花を咲かせているだけだが、背丈以上のササで覆われた登山道を黙々と下りるだけだった。ただ、白谷丸に続く小笹に覆われたなだらかな地形、やまなしの森林百選に選ばれている「黒岳の広葉樹林」は心癒される優しい風景だった。


黒岳の広葉樹林

 湯ノ丸峠の分岐標識から、湯ノ丸避難小屋に下りて小屋を検分する。すぐ脇の駐車場には車が20台近く停められていてにぎやかだ。そのうち狼平であったおじさんが顔を出し、「30分ほど前に着いた。どうしたかと思ったよ。今晩は車で寝ることにした。」という。富士山を撮りにきたというおばさんが来て、「富士山とツツジの花を撮りたいが、そんなところはなかったでしょうか。」と聞いてきた。そんなことで他に小屋を使う人はいないようで、小屋独占が期待できる。


黒岳の白ザレ・ガレ場から、明日歩くハマイバ丸方向を見る

 小屋からわずかに下った水場で水を補給し、クリンソウを観賞してから小屋に戻る。登山靴で運ばれた小屋のたたきの土や、ごみが残されている小屋前を掃除してから、ひとり宴会の準備に入る。ビールを飲み、ザックに忍ばせてきたワインを飲んでいい気分になって、いつもの棒ラーメンの夕食を作る。玉ネギ、ニラ、ニンニク、ショウガにベーコンを加え塩コショウで味を調えてからラーメンを入れて茹でる。開け放しの小屋の入口から見える新緑、野鳥のさえずりは心を静かにしてくれる。(避難小屋には布団が10組ほどあり、電気も引かれ蛍光灯が点く。)


湯ノ丸峠避難小屋

 今日は夕方から雷雨があるという。気温も低くなっているが、温かい食事で心も体も満足だ。シュラフに潜ってすぐうとうとしかけると、激しい雨が小屋の屋根を叩きつける。しかしその音も気になることなく、夢の世界にまっしぐら・・・。


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