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神々の遊ぶ庭 
大雪山縦走
天人峡〜化雲岳〜トムラウシ山〜五色岳〜忠別岳〜白雲岳〜間宮岳〜中岳温泉〜旭岳温泉

2003/ 7/19〜23

第4日目(7月22日・火)


雪渓の先にエゾコザクラとキバナシャクナゲが帯をなして咲いている

 今日の行程は,白雲岳避難小屋のキャンプ場までと短いが,途中高根ヶ原の花の名所を通ることから,ゆっくり,のんびりと縦走路を漫歩することとする。早朝に中別岳キャンプ場を発って,朝露に濡れるエゾコザクラに別れを告げ,中別岳へと向かう。中別岳頂上から南を見れば化雲岳越しにトムラウシ山が,北に目を転ずれば旭岳が聳えている。

中別岳から中別沼に下りると,そこはお花畑になっており,沼を越えた登り斜面はチングルマが一面に咲いている。天人峡から化雲岳への登山道が遠くに見渡せる。中別沼は,エゾサンショウウオの生息地として知られている。おたまじゃくしにしては後ろ足に特徴のあるものが沼の中を動いており,あとでこれがサンショウウオの子であると知った。 中別沼からは少し登りとなっているが,ゆるやかな斜面の風景は穏やかで牧歌的である。

だが,登りきったその先は,冬の強風にさらされた構造土が剥き出しの荒涼とした風景であった。この構造土の下は永久凍土であるといわれている。十勝側は切り立った崖で,その下に湖沼群を形成していて,ヒグマの格好の営巣地となっている。そして,三笠新道は,ヒグマの出没を理由に通行が禁止されている。


高根ヶ原のコマクサ

平ヶ岳を越えて高根ヶ原分岐を過ぎたあたりまでは旭岳を背景にコマクサが点々と咲いている。この間は,コマクサのほかホソバノウルップソウ,リシリリンドウ,チングルマなどの高山植物が咲く場所であるが,それぞれの花の時期には合っていなかったとみえ,特に印象に残る花は見られなかたった。岩混じりの登山道をさらに進むと,草つきのゆるやかな上りとなり,エゾコザクラやヨツバシオガマ,エゾツガラクラが美しい。

 間もなく白雲岳避難小屋が見えてくる。避難小屋横には,キャンプ場が設けられており,今夜の宿泊場所となる。到着の時間が早いためか,テントは数張しかないが,混雑が予想されるので,白雲岳の山容を眺められ,また,水場に咲くチシマノキンバイソウ(ボタンキンバイ)群落の見晴らしがきくいい場所にテントを設営する。テント設営後は,白雲岳と緑岳を結ぶ板垣新道の中間を流れるヤンベタップ川源流を目指す。ヤンベタップ川の源流は,あまり知られてはいないがエゾコザクラの群生地であり,遠目に,地面がピンク色となっていることが分かる。


エゾツツジ

しかしながら,ヤンベタップ川には谷をうずめ尽くすほどの雪渓が残っていて,雪渓の下は水が音を立てて流れて,ブリッジとなっていることがうかがえるので,安全のため源流に上るのを中止し,緑岳に向かうこととする。この時期,小泉岳を中心として,板垣新道上部から緑岳にかけ青色の花が美しいホソバノウルップソウや花弁が黄色いエゾタカネスミレ,深紅のエゾツツジが盛期を迎えている。

緑岳は,「まろやかな」とでも形容するのが適当な山容を持ち,散歩気分で歩くことができる。頂上まで足を進め四囲を見渡すと,緑に包まれた山々,森が視界一杯に広がっている。そして,石狩岳を左に見てその先にニペソツ山の秀逸な姿が目に写る。高根ヶ原から大雪高原沼までを俯瞰できるが,遠くはもやがかかっていて,展望はきかない。


白雲岳避難小屋近くの雪渓脇に咲くヨツバシオガマ

キャンプ場に戻るため板垣新道を下って,ヤンベタップ川にさしかかると,ヤンベタップ川下流の両岸にエゾコザクラの大群落が広がっていて,その先にはキバナシャクナゲがエレガントな花をつけているのを見つける。その場所にたどり着くには,草花を踏みつけていかなければならず,さりとて雪渓を歩くのもリスクがある。

そこで,雪渓の締まり具合を確かめながら一歩一歩進み,緑岳や白雲岳に囲まれ静寂のお花畑の中で,エゾコザクラとシャクナゲの大競演を心ゆくまで楽しむ。白雲岳避難小屋キャンプ場には,夕方ともなって,登山者が到着しそれぞれテントを設営し夕食の準備に入っている。 水を除く衣食住のすべてを背負って歩いた大雪山も,明日は縦走の最終日である。板垣新道での花巡りの感動もそこそこに,夕食を済ませ寝袋にもぐり込んで夢の中の人となる。


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