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ハクサンフウロ ハクサンイチゲ ハクサンコザクラ 
ゴゼンタチバナ オヤマリンドウの白山


2005/7/16〜18


 7月17日 (2日目) ■


南竜ヶ馬場から 御前峰がわずかに見える

 色とりどりのテントが張られている南竜ヶ馬場のテント場は深い霧で包まれている。早朝4時,まだ夜も開けやらぬうちに,小学生高学年のグループが出立していく。霧が上がるまでのんびりしていようと再び眠りに就いて,目が覚めたころにはほとんどのテントで朝食が終わっているが,今日はサブザックを担いでのんびり花畑を回って歩くスケジュールなしの1日である。

 砂防新道から南竜道に入った谷あいの渓流脇に鮮烈な色に染められたハクサンフウロを見つける。岩の上に横一列,ちょこんと座ったようなハクサンフウロ,咲き出して間もないようで1点の汚れもない。


エコーラインの沢筋で キヌガサソウ

 南竜道分岐から黒ボコ岩を目指して山腹をトラバースする。ところどころ,山の上部から水が落ちてきてその周辺の潅木地帯は湿気を帯びている。そのような場所の林床あるいは日陰の斜面にキヌガサソウが純白の大きな花を付けている。キヌガサソウの名前は知っていても,始めてみるその花,その葉にいわれもない驚きを感じる。蓮の花を思わせる花に仏を感じるのだろうか。

 ミヤマキンポウゲとハクサンフウロが急傾斜の脇に並んで登山者を迎えてくれているような登山道を登り詰めると,その先の小高い場所に室堂がある。昨日の疲れが体中に残っていて,水に対する飢餓感が非常に強い。迷わずビールを買って一気に飲み干してから,室堂周辺の散策をする。建物の間の草地に何気なく目を落とすと,思いもしなかった場所にクロユリの咲いているのを見つける。これは一大事だ。ここで咲いているということはと,御前峰へのルートをたどるとほどなく3か所で開花している。


クロユリは室堂センターとチブリ尾根だけが花を咲かせていた

 そこで,千蛇ヶ池へのコースをたどって見ると,ミヤマキンバイやイワカガミとともに雪渓が先に融けた少し小高い場所にクロユリの花がのびのびと開いていて,蕾がわずかに見えるもの,もう間もなく開花するものなどの群落があちこちに見ることができる。


室堂から千蛇ヶ池に登る道すがら イワカカガミ

 ハイマツの中を千蛇ヶ池の分岐まで登って見ても,取りたてて咲いているめぼしい花はなく,ましてハクサンイチゲはどこを見回しても見ることができない。照りつけ日差しは厳しく,室堂で飲んだビールのせいで体はだるいし,じっくり昼寝をしたいと欲して,少し高度を下げたトラバース気味の登山道を室堂へとたどる。

 もう間もなく室堂だというところに雪渓が残っていて,雪渓の下部からこんこんと水が流れ出ているのでこれを汲んで,ついでに顔を洗ってさっぱりとする。さて室堂に戻ってまたビールを飲もうかと登山道を下りると,登山道脇にはおびただしいほどのクロユリの群生があちらにも,こちらにも広がっている。


室堂センター近く クロユリ

 まだ雪渓が融けたばかりの場所にあるクロユリの群落は,付近の植生とはまったく装いを異にして,とてつもなく大きな丸い座布団をそこにポンと置いたような感じになっている。どれも,あと1週間もすると咲き出しそうな蕾をもっている。これほどのクロユリの群落ではあるものの,花の時期には早く,その咲き誇るのを見ることはできなかったが,ここにこれほどの群落があるのだということを知った喜びで十分であり,極めて高揚した気分で室堂のビジターセンターに戻った。


ハクサンコザクラ トンビ岩コース

 センターの食堂でアルコールの補給と十分な休養を得ることができたので,ハクサンコザクラを見ながらトンビ岩コースを南竜ヶ馬場へと戻ると,テント場は,昨日をゆうに超えた混雑となり,あろうことか,限度を超えた騒がしい子供連れの数家族が新しい隣人であった。


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