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しらびそ小屋から本沢和温泉へ
2015/ 3/ 6~7


本沢温泉のテント場で


 3月6日(金)

 今シーズンは、雪のあるところに行っていない。と言うのも、いつもの鳳凰三山、南御室小屋が南アルプス林道の長期間の降雪による閉鎖によりご無沙汰しているからに他ならない。今年は、マイナス20℃の中でのテント泊用にと特にグローブを取りそろえた。ならば八ヶ岳はどうか、本沢温泉に入って天狗岳に登ろう、テントを担いで・・・。


しらびそ小屋

 オスプレイ・クレセント90のザックにあれこれ詰め込んで家を出る。FFのミニバンには冬用タイヤであるスタッドレスタイヤを履かせているので山道もだいじょうぶだろうが、一応直前の情報をチェックする。ヤマレコの1週間前の記録を見ると、松原湖からタクシーで稲子湯の先のゲートまで入った人が、自家用車はタイヤチェーン必須と書いている。通常タクシーが使う車両は後輪駆動なのでFFにスタッドレスタイヤを履かせているから問題ないだろう、ゲートまで行けないような状況なら稲子湯に下りてくればいいとガリガリのアイスバーンを登って行くと、尻を振りながらも問題なくゲートまで無事行くことができた。ゲート前には四輪駆動の車が3台、うち2台の人が出発の準備をしている。


 本沢温泉への道

 ゲートから歩くと、ほどなくカラマツ林に入りわずかに傾斜が出てくる。登山道はよく踏み締められていて、それがかえって足許をツツツルとさせているがノーアイゼンで行く。こまどり沢にしらびそ小屋まで「あと40分」の標識がある。休むことなくしらびそ小屋へと向かう。小屋の手前の樹林の中にあるテント場では、先行して着いた2人組がテントを設営している。小屋の煙突からは煙がたなびいている。いつもは吠えながら迎えてくれるワンちゃんが姿を見せない。すでに老犬であったからもしかして・・・。前回会ったときは目も見えずぶつかりながら小屋の中を歩いていた。


本沢温泉

 しらびそ小屋(の外)で小腹を満たし、ミドリ池を回って樹林帯に入る。中山峠からガイド登山で下りてくる女性とすれ違う。その道と分かれ本沢温泉への道を採るとまったくトレースがない。といっても完璧なノートレースではなく、踏み固められたトレースの上に10~15センチの雪が積もって、その後のトレースがないというだけのこと。ただ、その積雪量でもやはり余分なエネルギーはしっかりと消費させられる。「本沢温泉まで40分」の標識は根石岳から派生している尾根を乗越たところにある。その先からは深雪の下の明瞭なトレース部分がなくなり、ツボ足では難渋することになる。左手に湯川へと落ちる傾斜が始まるころには踏み抜くと酷いことになってきたのでワカンを着用する。


本沢温泉テント場

 その場所には本沢温泉が客を送迎する四輪駆動車を走らせる道を往復したと思われるワカンの足跡があり、そのワカンの足跡は谷へと入って下りて行っているので一度引き込まれてしまったが、道迷いの結果のトレースと判断して登り返すと、夏道と思われるところは積雪で厳しい斜面のトラバースとなった。どうにか2か所のトラバースを過ぎるとほどなくして本沢温泉のテント場であり、イグルーの壁だけといった風情の雪が積まれていて、わずかな整地でテントが張れそうだった。取りあえず少し離れたところにある温泉小屋(本沢温泉)へ行ってテント泊の支払いを済ませる。


本沢温泉 しゃくなげの湯

 テントを張り終えてから、硫黄で茶色に濁ったしゃくなげの湯に浸かる。本当はテントを張ったら天狗岳を往復する予定だったが、すでにその気は失せていたので、テントに戻ってからもつ鍋を突きながら持参してきたハクレイの酒を飲みいい酔い心地になる。もともと酒は飲まない方だったが中年にさしかかる手前のころ、鉱水を常飲するようになり、それがビールへと移行し、今は日本酒、それも生酒主体となってしまい、山ででもできることなら生酒という体質になってしまったのだった。酔いが少し回っているが寝る前にもう一度温泉に浸かり、気温もマイナス10℃程度と暖かかったことから、午前4時近くまでぬくぬくと寝入ることができたのだった。


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