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鳳凰三山縦走(白鳳峠から地蔵岳〜観音岳〜薬師岳)
2009/ 9/13〜14

(1日目)


 9月13日(日)


地蔵岳(オベリスク)

 オヤマリンドウが見たくて那須の山を歩き、坊主山避難小屋に泊まろうと計画していたが、沼原湖から小屋までの8時間を今の低下した体力・気力が持つかどうか心配になって、直前に行き先を鳳凰三山に変更した。地図を眺めると、ここなら稜線に出るまでの急登の3時間30分を耐えられれば、あとは稜線歩きであるし、遅く出発しても日の高いうちにテントを立てることができる。

 そういうことなのでゆっくり中央高速に乗り、夜叉神峠登山口に車を置いて、バスで広河原(標高1530m)に着く。14回目となる広河原だが、今回は野呂川に沿って白鳳峠入口に向かい、白鳳峠(標高2425m)からさらに高嶺(2780m)までの標高差1250mを一気に登り詰めるつもりだ。白鳳峠入口から遠慮会釈のない急登が始まる。これほどの急登はかえって潔く、意識して歩幅を狭くして登る。

 樹林帯は八ヶ岳を彷彿とさせる苔むした地表となっていて、イチヨウランはもちろんのこと、(北岳山荘で絵葉書が売られている)ホテイランも見られるのかもしれないほど、雰囲気がいい。「ここは南アルプス国立公園の特別地域です。植物をとると罰せられます。」との看板もあって、春に再訪するにいいところかなと思う。


北岳

 登山道の取り付きから我慢して歩くこと2時間でしらびその樹林を抜けると、澄み切った秋の青空が広がり、ゴーロ帯が背の低いハイマツとシャクナゲでところどころ覆われている。振り返ると北岳が小太郎尾根と池山吊尾根の両翼を大きく広げている。その姿は堂々としていて素晴らしく、ひとり思わず「やったー、すご〜い。」と大きな声を上げる。さらに40分、ゴーロ帯を登って樹林帯に入るとそこは白鳳峠で、遠くに小淵沢の街が望める。

 白鳳峠を右に折れてさらに樹林帯を登ると、しばらくしてハイマツとシャクナゲの中に続く登山道を高嶺に進む。高嶺は最初のコブを下りてから岩場をよじ登ってその頂上に至る。その先には地蔵岳のオベリスクが垣間見え、花崗岩で白っぽい山肌の観音岳や薬師岳がまるで六甲の山の馬ノ背のような印象を与えてくれる。


タカネビランジ

  高嶺と地蔵岳の鞍部は花崗岩が露出していて、咲き残りのタカネビランジが明るい日の光をいっぱいに浴びている。草付きの優しい感じの登山道をジグを切って登ると白砂の稜線でオベリスクが間近である。分岐のアカタケの頭から地蔵岳のザレ場に下り、オベリスクに取り付く。その上部にはザイルがフィックスされた垂直の数メートルほどある岩があって、手に負えない。岩の隙間では、ホウオウシジャンやクモイリンドウが咲いていた。

 
ホウオウシジャン      

 オベリスクで50分近くも遊んでしまった。もう午後も3時になったので、今晩のテント場である鳳凰小屋へと向かう。トリカブトやタカネビランジが咲く花崗岩のザレた斜面を滑るように下りて展望も何もない樹林帯に入り、我慢しながら歩くこと25分で鳳凰小屋に着いた。

 小屋の前のベンチには、多くの善男善女が話しに花を咲かせている。小屋の主人は玄関前でまどろんでいるが、目もとろっとしていてアルコールの影響だったのでしょうか。
 主人はフレンドリーにも話しかけてくれた。
  「ずいぶんと大きな荷物を持っているね。」
  「テント泊なので・・・。」
  「それは分かるよ。」
  「・・・(ならば何が分からないの?)」


鳳凰小屋のテント場

 小屋の周辺はヤナギランとトリカブトの花で飾られている。テント場は綺麗に整備されている。外部のトイレは明かり取りがなく真っ暗で、臭くて、足場も汚れている。水場は小屋のすぐ前にあって、沢からの水が引かれていて便利がいい。テントは大型テント2基を含め8張りだが、ほとんどが若者で、アラカンは私ひとりだった。。

 小屋のベンチで、善男善女の仲間入りをし、話の輪に加わりながら夕食を摂る。小屋の夕食時間が近くなった午後5時過ぎには気温が10度を割ってきた。テントに戻ってそのままシュラフに潜りこむと、いつものことのようにあっという間に眠りに就いた。 


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