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北アルプス・フラワーロード テント泊縦走記

不帰キレットから唐松岳へ
2011/ 7/18


一峰



不帰キレット全景

 天狗ノ大下りが終わってももう一登りしないと不帰キレットには至らない。唐松岳に至る道のりは本当に厳しそうだ。


天狗ノ大下りを振り返る

 天狗ノ大下りを終わって振り返ると、その風景は日高の戸蔦別岳を折り切った感じに似ているが、そのスケールは山容と相まって天狗ノ大下りが圧倒している。


不帰キレット

 不帰キレットが見えてきた。一峰は厳しそうだ。


間もなく取付きます

 一方の最後の鎖場を折りきった男性二人がキレットで休んでいる。中間部ではオレンジ色の服装の男性ともう一人の女性が止まったままで、その後ろからさらに3人が下りてくるので、キレットでその時間を待つ間に、二人から唐松岳までの様子を聞く。


下りてくる人3人、休んでいる人2人

 この人たちは、「下りに使うのではないからそれほどのことはないと思うが、2か所ほど注意してください。」とアドバイスをくれる。それでも一人は疲労困憊と言った感じが見受けられた。


キレットからひと登りして振り返る

一峰の急峻な、というより垂直に近い岩場を登り切ると10メートル近い水平の道になる。振り返って遠くの天狗ノ大下りとキレットとの中間にある高低差の著しい尖った峰を見ることにする。


細いです

 一峰の中腹を慎重に渡って不帰一峰の頭に出るが、もうその先では写真を撮っている暇がない。もっと近くにあるはずの唐松岳は先の先だった。


登ってきた岩稜地帯を振り返ります

 二峰の北峰を終わって南峰に出るのに2時間20分を要したが、それでもテント泊縦走装備でこの時間だから、なかなかのもの。その後は安堵感も手伝って、亀の歩みで1時間もかかって唐松岳に着いたときは、心底ホッとした。そんな気持ちで頂上標識にタッチしようとすると、目に飛び込んだのは黄色のプラスチックプレートに書かれたハングル文字だ。国際協調派でも民族主義者でない、4日間の縦走のほぼフィナーレの場所である日本の山の山頂標識のハングル文字に多いに違和感を感じる。商業主義もここに至りと言った感じであり、その違和感は唐松岳頂上山荘で確信に変わりました。これまで山荘で水を求めたことはあっても、メモリ付きのビーカーでの量り売りとは恐れ入った。それは一つのエピソードだった。


唐松岳頂上から

 唐松岳頂上山荘は、八方尾根の頭に建てられているので、テント場は欅平までの登山道脇のところどころに作られていて上から見ると2張りのテントがあるので、ジグを3つ切った曲がり角にテントを設営することにした。設営中にテントが飛ばされるほどの風が吹いていたわけではないが、夜間に谷から吹き上げる風があった場合に備え、メッシュアンカーに石を詰め込んで張り綱を張る。


唐松岳頂上山荘のテン場

 山荘でビールを買い求め、2缶目を飲んでいると雨が降ってきて、そのうち風も出てきてテントを揺るがすようになってきた。それでも4日目、それに加えてキレットでの緊張もあって夕飯も食べないうちに寝てしまった。夜半に目を覚ますと雨脚はそれほどでもなくテントを揺らす風も強くはないが、気温は朝日小屋た白馬岳での夜より格段に低く、気圧計のグラフ表示を見ると気圧は徐々に下がってきている。山荘で確認したリフトの始発の時間は午前6時ということなので、台風の影響がリフトやゴンドラに出ないうちに麓まで下りることとして、もう一度眠りに就いた。


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