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カールはヒグマの宝庫!
エサオマントッタベツ岳〜カムイエクウチカウシ山縦走
(2日目)

2007/7/17〜21


 2日目 7月18日 (晴れ) PART1 ■


十勝の黎明

 昨日の今頃はまだ彩の国にいて、自宅で夢の中であった。そして通勤電車の中で一人ザックを担ぎ、羽田からとかち帯広空港に着き、そのまま沢に直行し何事もなくエサオマントッタベツ川を辿って北東カールでテントを張っている。そして完全に熟睡し、今日の朝を迎えた。もう夜明けかなと思ってテントの換気口から外をのぞくと、雲海が広がっていて(1)空も明るくなってきている。何度も換気口からデジカメで朝の風景を撮影する。

 雪渓上部のヒグマは、昨日、ホイッスルの音を聞いて樹林帯に消えたから今朝はもういないだろう。雪渓から流れる水で顔を洗おう。外はすっかり明るくなっているから、今日登るルンゼの様子も見なくてはならないと思って、身支度をしてテントの外に出てみる。

 え〜っ!また同じところでヒグマが採餌中ではないか。テントを新調した際、自然と溶け込むようにとフライシートはグリーンにしたのがいけなかったのか。ともあれ、またホイッスルを思いっきり鳴らすと、ヒグマは前夕のように右手の崖に続くルンゼ様な場所には行かず、エサオマントッタベツ岳方向の藪に向かって行った。


北東カール全景 (2)

 今日は、カール底からルンゼを登るのが最大の難関だ。ザックも2日間分の水5.5リットルを入れるから20数キロの重さとなって肩に食い込むことになる。多くの人の情報どおりにルートを取ると(2)の写真の左側となる。しかし、今回参考としたホームページの一つである「yoshioの北海道山情報」のGPSの軌跡とは符合せず、かつ、ルンゼには雪渓が上部まで取り付いており、重い荷物を持ってアイゼン、ピッケルなしにここを登りきるのは困難だと直感する。

 yoshioさんのルートは(2)の写真から大きく左側に視線を移し、(5)の写真の左隅の鞍部(鞍部の上に山が顔を出している)ところに至るものと思われ、雪渓はなく、上部近くまで傾斜のゆるいゴロタ状となっている。


直登したルンゼからカールを俯瞰する (3)


ルンゼ下部の詳細 (3−1)

 ところが、何を思ったのか、顕著な二つのルンゼとyoshioさんが通ったコースの中間にあるルンゼに目がいく。取り付きは雪渓が残っているが、上部は明瞭なゴロタとなっていて、万一のときは藪に逃げ込めると思われる狭いルンゼが待っているようだったので、ここをルートと定めて登り始める。そこは、(3)の写真の左下の細い雪渓が右上に延びていってこんもりした藪で雪渓が収束し、ルンゼの上部が札内JP直下に通じるが、JPに出るには傾斜が著しく急に見えるところである。


テント場から左側のコブ(札内岳JP)に至る細いルンゼを見る (4)

 このルートは、適度にホールドがあって、途中シラネアオイに見送られるなど、一歩一歩慎重に登って行くとどうって言うことはないと思っていると、上部の岩はつるっとした足を置くところもホールドする角もないようなところとなって、これ以上進んだ場合進退極まることになると思って、右手の藪に入っていくと、古い踏み跡が札内岳JPのコイカクシュサツナイ岳寄りまで続いていた。稜線に出てハイマツの中からポコッと顔を出すと、ピンクテープが結ばれているところに出たのであった。

 なお、北東カールから稜線に登るルートによっては、ダケカンバの林床は、シラネアオイの群生地になっているとのことであり、ヒダカアザミの存在や、札内JPからエサオマントッタベツ岳にかけてのヒダカゲンゲとともに、この山域は、花を目当ての登山にはもってこいのところであろうと思う。


ルンゼ中ほどからカール及び沢を見下ろす(5)

 5時20分に北東カールを出て札内岳JP下に飛び出たのは1時間30分後の6時50分であった。結果的に結構なエネルギーを費やしていて、安堵感とともに疲労感も一気に押し寄せてきた。水とエネルギーを補給しながら休憩したのち、大快晴の中、360度遮るもののないJPからエサオマントッタベツ岳へと向かう。


ルンゼの途中で シラネアオイ(6)

 途中、雪渓がないときに使われるであろうルンゼを稜線からのぞいたが、その斜度からすると、きちっとした道具なしに重い装備を背負ってこの状況のルンゼを登ることに相当な困難というより危険を伴うものとあらためて感じた。鞍部のテント場は、北東カール同様、ここ最近使われた気配はなかった。


ルンゼから藪に突入する場所からのエサオマントッタベツ岳(7)

 札内岳JPから見るエサオマントッタベツ岳は、手が届くほど近くに感じ、すぐそこに見えるのではあるが、ハイマツも漕がなければならないし、小一時間かかってやっと頂上に着いた。そこは日高の山の絶好の展望台であった。


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