カムイビランジを探しに!
エサオマントッタベツ岳〜カムイエクウチカウシ山縦走
2008/7/29〜8/1
(2日目)
カムイビランジ
■ 2日目(7月30日) ■
雪渓はないが、北東カールからの冷たい水はサラサラと音を立てて、テント場の傍を流れる。その心地よい音に目を覚ますと、午前1時30分であった。いくら体調がよくても、起きるにはまだ早い。午前3時半になってシュラフから抜け出し、朝食後、撤収を開始する。明るくなってカールを見渡しても、ヒグマの姿はない。2日間分の水6リットルを汲んだ。進むべき道は、明瞭だ。難なく札内岳JPの札内岳寄りの稜線に、1時間で出る。
エサオマントッタベツ岳
JPからは、エサオマントッタベツ岳、その背後に幌尻岳、稜線を伝って戸蔦別岳からピパイロ岳、南に転ずるとカムイエクウチカウシ山へと続く稜線が連なる。寄り道にはなるが、キリリとした姿勢のよいエサオマントッタベツ岳を往復する。JPに戻って腹ごしらえをし、今日の幕営地の春別岳を目指す。1751mまでは概ねハイマツの海、1760mまでの十勝側は草付きを通る。ハイマツはいやらしいが、草付き部分も笹や藪を漕がなければならないところが多く、足を取られ滑り落ち、体力を消耗する。一本のミヤマハンノキの木陰でジリジリ照る太陽を避け休憩する。
北東カール壁
札内JPからナメワッカ分岐への稜線
1760mまでも、そしてナメワッカ分岐までもハイマツの連続で、ハイマツを掻き分けるため肩が痛くなる。虫にまとわり付かれながら、分岐まであと僅かというところで精根尽きた。稜線の日高側のハイマツの下に足から体を突っ込み、日差しを避け1時間も午睡する。ヌカカだろうか、ブヨだろうか。無数に群がってくる。昨年の経験からモスキートネットを持参した。効果は抜群であったが、使ったのはここ1回だけであった。
エサオマントッタベツ岳頂上
ナメワッカ分岐をやり過ごし、核心部分の1831mを中心に丁寧に岩場の割れ目を探す。それは今回の縦走の第一番の目的のカムイビランジを見るためであり、昨年のように株自体を見逃すことのない様にしなければならない。「一人歩きの北海道山紀行」のsakagさんは、2004年8月15日にカムイビランジをテラス状の岩場の足元で見ている。今年こそカムイビランジを見なければ・・・。しかし、どの岩場にもその影もない。ピークも過ぎコルに下りようとしているとき、屹立とした大きな岩があったのでその裏に回り込んで見上げると、岩の上部にピンクの花が見える。これがカムイビランジなのだ。いったん戻って岩場に取り付き、なんとか1輪の花をデジカメに収める。
ナイフリッジの稜線 切り立った崖(春別岳から)
周辺を探すと、その岩場に数株のカムイビランジが岩の裂け目に取り付き、なんと通り道となっているテラス状の足元にも数株のカムイビランジがあった。どれも花芽を付けていて、「あと1週間も晴れ間があれば満開になります。」といった感じであった。たった1輪のカムイビランジであった。しかし、1輪で待っていてくれたカムイビランジ、やっぱり今年も来てよかった・・・!
今日は体がすこぶる軽い。ザックの重さも苦にならない。まだ午後3時で陽も高いが、春別岳のピークに着いたころにはガスが立ち込めて視界が失われる。今日の幕営地を春別岳としていたし、ここのテン場は日高側から1段下がった絶好の場所でもあったことから、予定どおりテントを張る。テントを張り終えるころにはフライシートがすっかり濡れるほどのガスとなった。カムイビランジで高揚した気分をウィスキーでさらに高め、ラジオの天気予報を気にしながら明日に備える。
十勝側に一段下がった快適なテン場(春別岳)
[3日目]
着 | 場所 | 発 | 所要時間 |
− | 北東カール | 05:10 | |
06:10 | ルンゼ上部 | 06:10 | 60分 |
06:40 | 札内岳JP | 06:45 | 30分 |
07:20 | エサオマン | 07:40 | 35分 |
08:15 | 札内岳JP | 08:30 | 35分 |
09:25 | 1751m先 | 09:40 | 55分 |
10:00 | 木陰休憩 | 10:15 | 20分 |
10:35 | 1760m | 10:35 | 20分 |
12:00 | ナメ分岐前 | 13:00 | 85分 |
13:15 | ナメ分岐 | 13:20 | 15分 |
13:45 | 1831m先 | 14:00 | 15分 |
14:35 | 稜線休憩 | 14:50 | 35分 |
15:10 | 春別岳 | − | 20分 |
総歩行時間 | 7時間5分 |