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鮮烈なミヤマアズマギクの紫 
シマリスと遊ぶ神威岳

2004/ /3



神威岳頂上

台風は小笠原付近を北上しているが,速度が遅く日高の山に影響を及ぼす様子はないと思われる。登山口までの林道は奥深く,路肩も弱いとのことであるから夜間の走行を避けるため,道の駅三石に車を止め仮眠を取る。また,林道周辺の岩場にはヒダカコザクラがあるというし,その場所も確かめることとした。

浦河町萩伏から上野深を抜けて林道に達し,ニシュオマナイ川に沿って高度を上げていく。岩場にソラチコザクラやジュウモンジソウがあるのは見えるが,ヒダカイワザクラと思われるものはない。


ミヤマアズマギク 524m分岐付近

林道の周囲は人工林や広葉樹で覆われうっそうとしている。林の中はヒグマも歩きずらいのではないだろうか。林道には,こんもりとした新鮮なおみやげが三つもあった。

今回が初めての経験となる,沢の遡行をしなければならないし,標高差900mの直登もある。なによりも登山道がはっきりしておらず,過去には道に迷って死者も出ているという。(日高・神威岳における大塚武氏の遭難)沢靴は準備したし,熊除けの鈴もザックに括りつけた。行くしかない。


現在はペテガリ岳への登山口ともなっている 神威山荘

神威山荘は,神威岳・中ノ岳のほかペテガリ岳への中継基地でもある。薪も用意されているきれいな小屋であった。登山口の神威山荘には先着の2台の車があるが,登山届には1人の名前しかないことから,一人はペテガリ岳へ山道を抜けたのだろうか。

沢水で顔を洗ってさっぱりする。沢水の流れに石を並べてトマトを置き,自然の冷蔵庫とする。一抹の不安抱えながら,初体験の沢の遡行に挑戦する。


中流部 さらに下ると遭難碑が岩場に嵌められていた 

周囲はうっそうとした森林に囲まれている。神威山荘からすぐにニシュオマナイ川を渡渉する。登山靴では渡れないが,沢靴を用意するまでもない。ただし,前日までの天気がよかったという前提付であり,急な増水は命取りである。

 沢を詰めた後は,一直線の急登となる。しかし,奥多摩の棒の折山と大差のないところであり,北海道の山屋さんたちはちと騒ぎ過ぎである。


ニシュオマナイ川上流部

 途中,岩場の隙間にミヤマダイコンソウが取り付いていたが,場所が場所だけに一瞬,カムイコザクラかと思った。隣の国境稜線の尾根は岩場だらけであり,岩の色もいいので,イワザクラがびっしり敷き詰められているのではないだろうかと期待する。


国境稜線分岐の岩場 ミヤマダイコンソウ

 沢を詰めている最中にヒグマ除けの笛の音が聞こえてくる。直登の上部で笛の主に追い付く。一緒に登ろうということで頂上へと向かう。


国境稜線〜中ノ岳〜ペテガリ岳〜オロマップ岳 左に1839峰

 頂上からは日高の山が360度ぐるっと見渡すことができる。昨年苦労したペテガリ岳東尾根コースも遠くに見える。山頂には涼しい風が吹き寄せていて,清々しい昼のひとときを過ごす。山頂でゆっくりとした昼食の時間を過ごして,苦労して登ってきた道を引き返すこととする。


じっと潜んでいて身じろぎもしない 「もう行くよ」と音を立てるとシマリスはやっと動いた

 登山道の脇の太い木からシマリスが下りてきて藪の中に身を隠して動かない。デジカメを出して何度もピントを合うようにとシャッターを切るが,シマリスはじっとしている。自分は隠れたつもりでいるのだろう。でも,目が緊張しているのが分かる。沢はところどころ天井川となっていて,増水したときの自然の力の大きさが思いやられる。大きく迷うこともなく無事下山できたことが,今回の収穫であった。


沢初心者ではあるが、取り立てて難しいところはなかった。
ただ注意を怠ると支流を本流と間違うところがある。

440m二股は,地形的には三股と呼んだ方が適確かも知れない。強靭な体力で北海道の山を縦横無尽に闊歩する一人歩きの北海道山紀行のSakagさんは,登りで間違って支流を中ノ岳方向に向かったようであるが,自分は下る際に交差する沢の渡渉点がなかなか見つからなかった。暗い木陰に赤テープがぶら下がっているのが見え、いったん河岸を登ると神威山荘への明瞭の道があった。


本流に雪渓はほとんはない 


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