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黍殻避難小屋から丹沢山 大倉尾根を下りる (2015)
2015/12/18〜19


 12月19日() 


姫次の手前で 07:19

 丹沢を歩くのは、2013年12月に檜洞山〜大室山〜加入道山を歩いてから2回目である。1998年に六甲山を登り始めてから、丹沢にはまったくと言っていいほど足が向かなかったのは、一にも二にもヒルがいるからである。また人が多そうなのも理由の一つになっている。まだ朝の9時だというのに蛭ヶ岳の手前で姫次歩行から来たトレラン姿の男性が追い越していったのには驚くと同時に、土曜日のこれからの丹沢での人の波が思いやられる。



蛭ヶ岳の手前で 09:27

 黍殻避難小屋の夜は快適であった。−6℃まで用のイスカのシュラフに、シュラフカバーをかけずに潜ったが、インナーダウン上下を着ていたこともあって、かえって暑いぐらいだった。同宿氏はまだ熟睡していたが午前5時にシュラフから抜け出して朝食の支度をし、身支度を整え、トイレ掃除をしてから出発する。小屋内の掃除は氏がやってくれるというので甘えてお願いした。もうヘッドライトを使わずともよい明るさになった。道志川から吹き上がってくる風は、ニットの手袋の2枚重ねの手を冷たくし我慢の限界に達したので、ウールのインナー手袋に冬用の薄手のグローブを重ねる。すると血行も改善されたと見えほどなくして手は温かくなる。ニットのイヤーバンドは防風処理がなされていないので風がスルーしてしまうが、ほどよい温かさを保ってくれる。着ている衣類は夏山とほぼ同じでロングスリーブのTシャツは少し厚手のものにし、これにファイントラックのウィンドウストッパー素材のL4で少し汗をかくほどだった。


蛭ヶ岳山荘

 今回丹沢、中でも黍殻避難小屋に泊りたくて計画を立てているとき、高尾山を起点とする東海自然歩道が焼山〜黍殻山〜姫次の間をルートとしていて、全歩道の中で姫次が最高点(1435m)であることを知った。一時は夢見ていたパシフィック・クレスト・トレイルをスルー・ハイクする気力・体力・金力はもはや持ち合わせていないが、東海自然歩道1343kmなら何とかなるのだろうかと、シェルパ斉藤の[213万歩の旅 東海自然歩道1343kmを全部歩いた!」と「東海自然歩道ウォークガイド」を買って読んでみたが、里山歩きが多すぎるようでピンとこない。


蛭ヶ岳の下りで 丹沢山方向への尾根 09:51

 楽しみにしていた林相と言えば、登山口から黍殻避難小屋を越え八丁坂ノ頭辺りまでは植林が多く、姫次、原小屋平までは取り立てて言うべきものなし、地蔵平のブナ林も薄暗くブドウのツルの絡みも多いので、新緑の時に来ても楽しみは少ないのかなぁとの印象だった。ただ、時季外れに一瞥しただけでは山の持つ本来の魅力は分かりようもないので、秘めた花園での感動の出会いを求めるには時季外れの今のうちに山の様子を観察しておいて損はない。



蛭ヶ岳 10:13

 蛭ヶ岳の頂上をすぐに辞して丹沢山に向かうと、トレランさんが次々とやってくる。これではさらにこの先が思いやられる。嗜好が違う人たちと登山道を共有するということは楽しくない。まず、聞こえるか聞こえないかのような音量の鈴を鳴らしているのが姑息で好きになれない。避けてもにこりともしない者が多い。(一般登山者にも言える。)なにも休みの日の一般登山者が多い山でトレランをすることもなかろうに。 


みやま山荘 丹沢山での休憩を終える 11:34 

 丹沢山で昼食のために休憩する。丹沢三峰から登ってくる人が少なくない。このルートは新緑のころに登ってみたい、そんな雰囲気が感じられる。シルバーグレイのおじさん(おじいさん)がテーブルに腰かけ、いつまでも一点を凝視している。こころを病んでいるのではなく、待ち人来たらずといった風情である。塔ノ岳ではさらに大勢の人が休憩している。この山のどこに魅力があってこれほどの人が登ってくるのかなぁという感じであるが、山は人それぞれ、好き好きである。


尊仏山荘 塔ノ岳での休憩を終える 12:40

 さてそろそろ大倉尾根を下ろうか。ここは「バカ尾根」と呼ばれているらしい。けれど、これほどの人が登ってきているのだから、そんなのは名前だけだけで、白髭三千丈の類の誇張だろう。スイスイと下りて丹沢1泊2日の登山を締めくくろう。そう思って大倉尾根を下ったが、とんでもない尾根だった。どちらかと言えば真っすぐ下っている。やたらと木道が多い。登山道整備の敷石も多い。こんなに辛いところだったとは・・・。そんなところを年配の人がさっさと下りていく。追い越せそうで追い越せない。コースタイムどおりの2時間かかって大倉のバス停に着いたときは、周りの人は涼しい顔をしているのに、自分一人が汗びっしょりであった。


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