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崕山(きりぎし山)のホテイアツモリソウ

 崕山(きりぎしやま)のホテイアツモリソウは、山と渓谷でその詳細が記事とされて存在が公知の事実となっていること、今回のモニター登山の様子及び崕山のホテイアツモリソウの植生について北海道新聞社が記事に動画で配信していること、これまで累次にわたり崕山の入山禁止に関する報道がなされていることのほか、崕山自然保護協会等では、今回のモニター登山の模様を多くの人に広く知っていただきたいとしていることもあって、見たこと、聞いたことをこのホームページに記録することとしました。


 2011/ 6/17〜18 


林道終点近くの土場から崕山東面 南岩峰群残月峰と蒼月峰

 崕山は北海道百名山の一つです。この山は、1999年から植生の保護のため入山制限とされましたが、年に数回、崕山自然保護協議会主催によるモニター登山会が開催されていますので、それが唯一崕山に登ることができる機会となっています。これまで何度か、この山に登りたいと思っていましたが、前日の研修会に参加することが義務付けられていて、この時期の休暇がなかなかかなわず、これまでお預けとなっていました。 しかし、時間に余裕が持てるようになったので、アツモリソウに対するモチベーションが高い今年こそとの思いでこの登山会に応募し、めでたく参加の運びとなりました。


第一の渡渉点

 この登山会に参加するためには事前研修会への出席が必須となっています。それは、芦別市の道の駅「スタープラザあしべつ」に併設されている「星の降る里百年記念館」で半日催されました。翌日、借り上げたバスに乗車して現地に向かいます。下車した林道終点手前の土場では大量の蚊(もしくはアブやブヨ)などが大歓迎してくれました。虫たちは肌に密着した衣服、手袋、帽子のすき間から襲ってきますので、皮膚は瞬く間にボコボコになってしまいました。これは恐るべき事態で、道北の暑寒別岳に登った際をしのぐひどさでした。

 
第二の渡渉点

 さて、虫たちを引き連れて出発します。第一、第二の渡渉点は登山靴では水没してしまいますので、長靴を芦別の街で仕入れ、長靴の上に滑り止めのしゅろのヒモを巻き付けますが、これがなかなかの優れものでした。ヒモの巻き方にはちょっとしたコツがありますが、事前研修会でその要領を教わりました。

 


沢にに取り付く

 二つの渡渉点を越えて林道から分かれると沢になります。沢は源頭部まで流れがあり、また非常に滑り易いので注意して歩きます。途中に多くの花々がありますが、花好きの人が数えたら30数種類あったとのことなので、この寂しそうなルートを通るだけでも、崕山全体で見ることができる花の半数を見てしまうというすごさです。、


もうお出迎え

 さてさて、ミドリニリンソウもサンリンソウも、カラフトハナシノブも白花のノビネチドリも見たことのない私ですが、今回はそのような花を登山道で見たといちいち感激しているわけにはいきません。もっと大事なこと、それはホテイアツモリソウをこの目でしっかりと見ることなので、沢から少し離れた草付きの斜面に目が行ってしまいます。最初のホテイアツモリソウは、まだまだ山頂までは距離があるところに1株ありました。まだ若い個体でしょうか。北海道に行く2日前に見た本州のアツモリソウのようなシャイな株でした。


山頂下部雪渓

 沢が消えると熊笹(根曲り竹が正解?)の間を縫って尾根の反対側の雪渓に出ます。土場を出たのが午前8時15分ごろで、雪渓に出たのが同10時30分でした。そこで30分間の休憩です。この時間を利用して昼食を取ります。もう頂上はそこに見えてるので、急ごしらえのグループのテンションンも大いにアップします。


山頂を仰ぐ

 根曲り竹の中を頂上基部へと向かうと、基部が青色の花でびっしり覆われているのが見えますが、それが何の花なのかは分かりません。もう少し高度を上げると列の後方から歓声が上がります。ホテイアツモリソウが一株ありました。間近で見られた最初のものだったので、私のテンションも大いにアップです。すると少し奥にももう一株ありました。


 今日の2株目


3株目

 もうそのころ、頂上直下に着いた列の最初の人たちからは大歓声が上がっています。しかし、総勢30人の列では如何ともしがたく、その歓びの声をただ聞いているしかありません。これも、しんがりに着いた不運というしかありません。それでも、頂上基部のおびただしい青色の花がカラフトハナシノブとフウロソウということが分かりました。フウロソウはその澄み切った薄いブルーの色からチシマフウロでしょうか。


頂上標識の後ろにレブンコザクラが咲く

 ハナシノブやフウロソウのお花畑を見やっていて、頂上基部の大事な花、ホテイアツモリソウにまだご対面していませんでした。そのお花畑にあろうことか何事もないかのように、あまりにも無防備に、泰然自若と花を咲かせているのでした。そこには平和そのものの風景が広がっています。


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