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錦秋の北岳 オヤマリンドウ

2006/10/13〜14



黎明の富士

 10月14日(日)

 早朝に北岳の頂上に立ち,北岳山荘に荷物を置いて間ノ岳から農鳥岳方面を往復するつもりであったが,熟睡が過ぎた。テント内の温度は0.3度でプラティパスの表面が凍っている。外に出ると,ちょうどご来光を迎えた時刻で,雲海の上に富士が聳えている。今日も素晴らしい天気となっている。昨日の朝刊も読んでいないし,せっせと歩くばかりが山ではないなどと言い訳を見つけながら,朝の仕度にかかる。13時過ぎのバスに間に合うように下山し,のんびり芦安の温泉に浸かろう。

 夕べ,暗くなってから到着し,ごそごそとテントを張っていた御仁がいる。先に着いていた人はすでにパッキングを整え出発して行く。そして最後にゆっくりとゆっくりとテントを畳んで稜線に上がる。


甲斐駒

 肩ノ小屋から北岳までの陽の当たらない登山道の土はすっかり凍っている。中年のご婦人がメインのグループが両俣小屋分岐までの急登をあえいで登ってくる。その分岐からはどっしりとした山容の塩見岳が雲海に浮かんでいる。先に北岳に登ったグループの東北のお国言葉の一員がアーチを作って遅くなった後続を迎えている。

 数少ない男衆と元気な御婦人が,これから大門沢小屋まで行けるかどうか話し合っているが,女性陣の鼻息の方が荒い。でも,後続で頂上に着いたメンバーを見ると厳しそうな感じはしたが,この勢いでは行くのだろうし,これだけ快晴ならなんとかなるか。


肩ノ小屋東斜面

 吊尾根からキタダケソウの植生がある南東斜面,タカネビランジの植生がある八本歯ノコルへと下り,大樺沢の左俣コースの急斜面を落ちるように下る。太陽が斜面を焦がしたからだろうか。ガスがもくもくと沸き,しまいに稜線まで上がっていって頂上付近は厚い雲に覆われている。

 二俣で昼食とし,出発しようと腰を上げると,「遅いのですけど,後ろを付いていっていいですか。」と分岐の標識の方から声がする。いや,こちらはのんびり歩くとバスの発車時刻に遅れてしまい,2時間半も無駄な時間を広河原で過ごさなければならなくなる。最初は武士の情けで適度なスピードで歩くが,それでも高度差800mの沢沿いの下降路ではいかんともし難く,いつしか姿は見えなくなる。今日は土曜日,昨日バス2台分の下山者がこれからも降りてくるだろうから,まあいいか。


大樺沢中流


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