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キタダトリカブトもオヤマリンドウも
秋の花が満開の 北岳

2007/ 8/25〜27


 8月27日


起きてみれば既に朝日が・・・

 昨晩は午後6時に寝入ってしまった。午前1時、寒くて目が覚めたときには風がテントを揺らしていたが、再び目を覚ますと、もう5時になっていて、太陽が雲海から顔を出している。気温は10度になっていない。
稜線に出てみると、小屋の宿泊者は稜線に出てご来光を拝んでいる。

 テントに戻って朝食を摂り、お気に入りの北海道のコーヒー店「サッポロ珈琲館」から取り寄せているコーヒーを沸かし、出発前のひと時を過ごす。平日の今日は、広河原からのバスは11時と16時の2本しかないが、11時のバスに間に合わせるには7時に出発しても十分に時間の余裕があるので、のんびりとする。


朝日に映えるテント

 テントを畳んで稜線に出ると、小屋周辺にはほとんど人が残っていない。小太郎尾根分岐への尾根を下っても人の姿はあまり見かけない。北岳へと登って行った人が多いようだ。稜線の登山道脇にはクモイリンドウが咲いているが、早朝のため花弁を開いていない。北海道ではトウヤクリンドウと言って、大雪山でわずかにしか咲いておらず、あまり見かけないようだが、ここでは至るところで十分すぎるほど見ることができる。


トウヤクリンドウ(8月26日午後南東斜面で)

 昨日、一輪しか見かけなかったウサギギクは、思ったとおり小太郎尾根分岐の東側斜面に、ウラジロダテに守られるようにして群生して黄色い花を朝日に向けている。分岐から右俣コースを下りると背丈の低いオヤマリンドウが、控えめに斜面を彩っている。北海道の美瑛岳で見るエゾオヤマリンドウのような自己主張の強さはまったく持ち合わせておらず、思わずがんばれよと言いたくなる。


オヤマリンドウ(右俣コース上部)

 右俣コースは、ミヤマキンバイやコバイケソウ、タカネグンナイフウロ、ハクサンフウロ、クロユリ、オヤマリンドウ、ミヤマシシウド、トリカブトなどのほかに、あるところにはキバナノアツモリソウも咲くという平和な楽園である。そこを熊鈴をガシャガシャ鳴らしながらせわしく降りてくる男女に追いつかれる。脇によって道を譲ると、無表情でガシャガシャ言わせながらどんどん先に進んでいく。熊なんかいやしないよ。静かにしてほしいものだ!


楽園への降り口

 休憩ポイントの二俣は太陽に晒されて逃げ場所がない。少し手前に数本の低木があって、休むのにちょうどいい。日陰で汗はすうっ〜と引いていくようだ。山に背を向けて休んでいると、「こんにちは〜」と男性が声を掛けてくる。男の子をリュックの間に挟んで背負っている。また、「こんにちは〜」と女性の声がする。女の子をフレームに乗せている。


ハクサンフウロ(右俣コース樹林帯)

 広河原のバス乗り場に着いて、テントの中で風に吹かれていると、そのおとうさんとおかあさんが子供を背中に背負ったままバスに乗り込もうとしている。おかあさんは左の足を引きずるようにして歩いている。登山道でこけたら子供はたいへんだなと思っていたが、そのようなことはなかったようだ。疲れて歩くのがいやになった子供を背負って下山してきた若いご夫婦。2人の子供の心にいつまでも残る北岳であったろうと思う。


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