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草スベリのクロユリ・シナノキンバイソウ
北岳小太郎尾根分岐往復
2008/ 7/21
■ 7月21日 ■
6時20分、日帰り支度のザックを担いで広河原を出発する。いつものテント装備を担がない背中がこんなにも軽いものかと、足がどんどん運ばれるように動く。大樺沢二俣コースから分岐を樹林帯に入り、白根御池小屋への急登を、高度をどんどん稼ぎながら登ると登山道は水平になって、白根御池小屋に着く。水は3リットル持参したが、日ざしがあってすでに1リットルを消費したので、小屋で補給し待望の花々が待ち受ける草スベリに取り付く。
草スベリの下部では、イブキトラノオ、ハクサンフウロ、タカネグンナイフウロ、ミヤマキンポウゲなどが見られる。次いで、ミヤマハナシノブ、ニリンソウ、ハクサンチドリ、キバナノコマノツメ、イワカガミ、ショウジョウバカマがシナノキンバイソウの中で咲いている。
「クロユリは咲いていましたか。」とすれ違ったご婦人に尋ねると、ご婦人は「たくさん咲いていました。よかったですよ。」と答えてくれるが、しばらくして下りてきた男性は「クロユリは一輪しか咲いていなかったよ。みんな、花後のショウジョウバカマをクロユリと間違えているんだ。」と落胆すべきことを言う。しかし、クロユリの幼苗が2株、3株と見つかり出した。
2006年7月初旬にキタダケソウを見た帰り、草スベリを下りてキバナノアツモリソウはないかと花を探していたとき、低木の下にクロユリの株をたくさん見つけておいた。その場所まで登ると、目立たないようなところでクロユリが10数株も花をつけている。日帰りではしょうがないなと思いながら来た今回の北岳ではあったが、クロユリを見るとすべてのことを忘れ見入ってしまった。朝から相前後して登ってきた寡黙でタフな単独の女性に「クロユリが咲いていますよ。」と伝えると、わずかに頬の筋肉を緩め、写真を撮っている。
草スベリの登山道が岩場混じりの急登になるころ、シナノキンバイソウが大群落をなして迎えてくれる。シナノキンバイソウに混じってハクサンイチゲやイワカガミなども咲いていて、その群落は稜線直下まで続いているようだ。そのまま小太郎尾根分岐まで登って甲斐駒ヶ岳や千丈岳の展望を楽しんですぐ下山に取り掛かる。
御池小屋への分岐手前に来ると、クロユリがシナノキンバイソウ群落の中に、ハクサンチドリやキバナノコマノツメに混じって咲いている。その数約10株程度か。白山で見た畳2つほどのクロユリの群落が多数分布している様子とは規模においてまったく見劣りはするが、シナノキンバイソウの中に、1株、2株と数えられるほどしかないクロユリを見るのもまたいとおしく、楽しいものだ。
花の種類と数の多さに分岐を離れがたかったが、二俣まで下りて探したい念願の花があるので、大樺沢に向けどんどんと一直線に下りていく。間もなく雪渓に出合うところで一息つくと、潅木の中にオオタカネバラの花があった。あまりの偶然に見かけたピンクの花がとても美しく、しばし見とれてしまう。
この周辺の登山道からすぐ見える草場の中に黄色い花が一株咲いていると教えてもらっていたから、キタダケソウを見に来たときにも探し、今回も丹念に探したが、見つけることはできなかった。また新たに情報を仕入れて来年にも探しに来よう。きっと見つかるはずだ。
ほどなく二俣の分岐に着いて一息つき、すぐさま大樺沢を下る。後ろから軽やかな足音が迫って来るので道を譲ると、トレラン姿のカップルであった。カモシカ?のようにポンポンと下って行く。今日の自分も足は軽やかだ。ラジオは3連休最後の日の高速道路の渋滞情報を伝えている。夕方5時に、中央高速の小仏トンネルを先頭に渋滞30kmとの予測だ。早めに高速に乗って渋滞を少しでも避けるため、トレランカップルのように軽やかに、爽やかに足早に下りてみよう。
すべての先行者を追い抜いてトレランカップルに追い付くと、また大きく引き離される。また追い付くと、また引き離される。また追い付くと、なんとトレランカップルはごみを拾いながら走っていたのだ。それでも野呂川に掛かる吊り橋に同時にゴールインすると、今日の予定した所要時間より約4時間も早く下山することとなった。
13時30分発車のタクシーで夜叉神峠に出て、そこから急いで中央高速に乗ると笹子トンネル内で事故があり、90分の渋滞だという。渋滞の名所の小仏トンネルは午後5時に30kmの予測が出ているので、いったん高速を下りて秩父往還から秩父を経て川越から関越自動車道に出て家路に着く。この大回りには5時間も掛かって、北岳日帰り登山でくたびれた体での運転はこたえたが、いやにテンションが高く、いつもの睡魔に襲われることはなかった。
着 | 場所 | 発 | 所要時間 |
― | 広河原 | 0620 | ― |
0810 | 白根御池小屋 | 0815 | 1h50m |
1020 | 小太郎尾根分岐 | 1030 | 1h55m |
1150 | 二俣 | 1155 | 1h20m |
1255 | 広河原 | ― | 1h00m |
総時間 | 6h05m |
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