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北岳〜農鳥岳・テント泊(2日目)
2019/ 7/24〜26


[2日目]
2019/ 7/25(木)
[行程・コースタイム]
北岳山荘04:00〜06:20間ノ岳〜08:47農鳥岳〜14:23北岳山荘(行動の総時間10:23)


暁光(北岳)

2日目の朝は、午前3時に起きて始まった。すがすがしい早朝に稜線を歩き始め、朝のひかりを浴びたいと思ったからだった。午前4時というヘッドランプが必要かどうかの時間だったが、最近買ったブラックダイヤモンドのSPOT325(最高で325ルーメンが得られる)の威力も知りたかったので、登山道を煌々と照らしながら歩いた。


中白根岳から北岳 北岳山荘

北岳山荘に宿泊した人の朝食の開始時刻は午前5時だからだろか、稜線に光るヘッドランプの数は3つほどだけであった。中白根岳の登りにかかるころには足元もはっきり見られるようになった。これまでの山登りでは、よほどのことでないと夜明け前に歩くことはしなかったが、これからは早出を楽しみにして歩くことが多くなるのかもしれない。購入先の山の店では「ヘッドランプはただ明るければいいというものではない。」と言っていたが、これまでも、山歩きには2つのヘッドランプを持ち歩いていたし、短い時間だが明るい物、明るさは劣るものの電池が長持ちする物と分けて持ち歩けば使い分けができる。


中白根岳と北岳

間ノ岳に着いてみるとあにはからんや、多くの人が頂上で憩っている。農鳥小屋から来る人もいるだろうし、北岳山荘を早く出た人もいるだろう。休憩後、間ノ岳から農鳥岳方向へ向かう人は、単独の女性一人だった。


千丈ケ岳〜甲斐駒ヶ岳〜北岳

その女性は、1日目の肩ノ小屋から北岳頂上に向かうときに道を譲ってくれた人で、北岳山荘にテントを張っていた人だった。


間ノ岳〜北岳〜甲斐駒ヶ岳

間ノ岳から農鳥小屋までの下りは長くてザレた登山道を歩く。進行方向の右手に熊ノ平小屋が見え、三国平に続くトラバース道が伸びている。実際に歩くと怖さを感じないのだろうが、谷底に下りてからまた登り返す場所がいやらしく感じる


北間ノ岳から農鳥小屋〜農鳥岳

農鳥小屋での休憩も考えなかったわけではないが、小屋のおじさんがいちいちうるさいということなので、あえて関りを持たないでもいいだろう。この先、西農鳥岳〜農鳥岳とアップダウンのある稜線歩きなので休憩は欲しいが、なぜか今回はテンションが上がっていて苦にならない。


農鳥小屋(西農鳥岳)

大きな山は片方から見ると凡庸としているようでも、もう一方から見るとどっしりとしていたり、切れ込みが激しいいかにも「山岳」と呼ばれるにふさわしい姿を見せることがある。これまで登った山でその形容がふさわしいと感じた山は、日高のカムイエクウチカウシ山と塩見岳である。八ノ沢から登るカムイエクウチカウシ山は何の変哲もない形をしているが、エサオマントッタベツ岳から縦走して見ると、威圧感がある。塩見岳も仙塩尾根を縦走しある程度進んでから見ると重圧感のある姿を見せる。


間ノ岳(農鳥小屋)

間ノ岳も然り。西農鳥岳からの間ノ岳は、圧倒的なスケールがある。天気よし、景色は最高。こんな贅沢な登山は1年を通して何度もすることはないだろう。


間ノ岳

岩稜の尾根を注意しながら歩くと農鳥岳に達する。頂上には誰もいない。畑で作った採りたてのキュウリを持ってきたので食べようかとしていると、単独の女性が登ってきた。一人でぼりぼりというわけにもいかないので、半分に折ってお勧めする。


農鳥岳

周りからは一人の山、ましてテント泊装備での北岳は危ないからやめろと言われたが、〇〇歳の誕生日だからどうしても来たかったとのことだった。人生の折り返しの誕生日の、初のテント泊が北岳というのは素晴らしすぎないだろうか。


農鳥岳頂上

伊那の集落に車を置いて地蔵尾根を千丈ヶ岳を登り、千丈小屋で小屋番とひと悶着があって北沢峠まで12時間歩いたのは2014年、たった5年前のことだった。長衛小屋にテントを張り翌日、仙流荘までのバス乗り場にいたのが千丈小屋の別の小屋番さんだった。
テントを担いで、この歳で12時間歩いたこと、もうテント泊は終わりとする年代に入ったと言うと、「テント泊をすることに年齢なんて関係のないこと。ひたすらテントを担いで歩き、もう歩けないというのなら別だが、年齢を基準にやめるというのはもったいない話し。」とその小屋番さんは明るく話していた。


農鳥岳から帰路の間ノ岳

そうなんだ。山やテントはやる気、元気、体力が大切なのだ。人生の折り返しの年齢で、周囲の反対を押してテント泊を始めた女性も山を一生懸命に楽しみたいという気持ちで北岳に登り、素晴らしい天空の稜線漫歩を楽しんでいる。


農鳥小屋から西農鳥岳

女性に先んじて農鳥岳から北岳山荘に向けて歩き始める。南アルプスの山々から受ける印象とは違って、農鳥岳から間ノ
岳の間は岩場が主体で歩きにくい。農鳥小屋から間ノ岳への登り400mほどの標高差があってつらいが、一気に登りつめる。農鳥小屋では休まなかったし、間ノ岳までを一気呵成に歩き通した。

間ノ岳の登りの途中までの間、熊ノ平小屋が見える。静かで平和な環境にある小屋である。テント場の中を湧水が流れていて、正真正銘の南アルプスの天然水をふんだんに使うことができる。塩見岳への往復の際、2度使った想い出のある小屋である。


中白根岳方向 八本歯を遠望

間ノ岳の戻ると、10人近い人が頂上での時間を楽しんでいる。いつも思うが間ノ岳は人気がないなあと。この山を通過するというのなら、
 @ 農鳥岳から大門沢へと降りる 
 A
 三峰岳から塩見岳に出る
 ? 三峰岳を経由して千丈ヶ岳へ向かう(両俣小屋から林道に出る)
という行き先があるが、皆さんは北岳に戻られるようである。


中白根岳から北岳

農鳥岳からノンストップで間ノ岳まで歩いてきたので、ザックを下ろして休憩する。まだ、今日という日の時間はたっぷりとあるが、ここでのんびりしていても仕方がないので、北岳へと向かう。


北岳山荘と北岳

昼間の時間なので、出会う人、すれ違う人は少ない。淡々と歩いて北岳山荘に戻る。持ってきた生肉は、この陽気で腐ってはいないだろうか。肉を焼く前にビールと日本酒で食道と胃を消毒する。
到着した昨日、焼き肉のたれに漬け込んでテントのアンダーシートと地面の間に置いといた肉は、正常に食すことができた。


北岳を背にした我が住まい
【この画像は、meikenさんが撮影したものです。ご本人のお許しを得て掲載しています。】


北岳山荘

まだ陽は高いが他にすることがないので、午睡に入る。明日は2時に起きてテントを撤収し、3時過ぎには出発したい。これまでは、山の朝は夜が明けてから歩くのがほとんどだったが、知った道だし広河原09:30発のバスに乗ってふもとに下りたかったので、早く寝ることにする。

もう日が暮れようとしているときにトイレに立ち、戻る際に広い開口部を持ったテントでアサヒのドライ缶を呑んでいる韓国人のグループが見えた。日本製品不買、反日、反安倍が主流となっているご時世に、ありがたくも日本を渡航先に選んでくれている人たちだ。


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