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Team Hidaka Part 3 at 甲武信ヶ岳
2013/12/13〜14


破風山避難小屋から 富士山


 12月14日(土) 2日目  

 ビュービューと一晩中、強風が破風山避難小屋を襲っていて、扉がガタガタと大きな音を立てている。小屋の扉は南面と東の面の2か所に付けられている。扉には「緊急を要する登山者が開けられなくなるので、扉につっかえ棒をしないこと」と書かれている。その注意書きのとおり、風が扉を叩くのか、真に避難を必要としている人が扉をゆするのか、この風の中では判別しがたい。  


破風山避難小屋

 フカフカのシュラフと湯たんぽのお蔭で暖かな一夜を過ごすことができたが、それでもシュラフの首の回りから入り込む冷気は半端ではなかった。午前4時、シュラフを抜け出し温度計を見ると-15℃であった。ストーブの傍に置いたプラティパスに入れた水はカチンカチンに凍っていた。それ以外の水分を含むものとカメラやGPS、予備の電池などはシュラフの中に入れて寝た。あまりの熟睡で目がぱっちりと覚めてしまったので、ストーブに火を着けることにした。


サイノ河原

 氷でコーティングされた枯れ枝などを、昨晩のうちにストーブの周りに置き乾かしておいたため、わずかな焚き付けで着火させることができた。最後に、出発するまで燃え尽きる分の木を調整しつつ暖を採る。小屋の外は-18℃ほどで、厳しい寒さである。
ストーブの周りに置いた登山靴もすっかり乾き、ほのかに暖かくなっている。夜が明けたら出発することとし、温かい朝食をいただく。


サイノ河原から 富士山

 厳寒の中、身支度をしっかりして甲武信ヶ岳に向け出発する。気温は低いが無風とあって、それほど寒さを感じない。かえって、運動によって体がどんどんと温まってくる。昨日の道をトレースし、まだ雪がそれほど積もっていないので、途中から甲武信小屋への巻き道をたどる。甲武信小屋が見えてくる。小屋の前には多くの足跡があるが、今は使用が禁じられている冬期小屋に入り込んだような足跡はない。


甲武信小屋

 小屋前で少し一息ついて、すぐ甲武信ヶ岳に向かう。風が強く吹き付けてくる。この傾斜を登り、道が平らになったら直に甲武信ヶ岳の頂上だ。強風と寒さで頂上での滞在はわずか数分だったが、大展望を得られた。


甲武信ヶ岳頂上への道すがらの富士山

 下山では淡々と足を進める。誰もが望むのは温かい温泉に身を沈めること。快晴の土曜日ながら、登って来た人は数人だった。標高を下げると滑って脚が取られやすい登山道となる。こんな登山道を、鎮魂のために登って来たご家族の方が置いたのだろう。標高を上げる急坂の手前の登山道脇に花束が手向けられていた。 


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