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こんなところにまだある?自生のクマガイソウ

 ご老人のご好意により、特別に拝観させていただいたものです。首都圏からそう遠くないその里山に、クマガイソウやベニバナヤマシャクヤク、ヤマシャクヤクが自然のまま咲く場所があるとのことです。そのため、地名や山名などの記載を控えております。その趣旨をご理解いただければと思います。


 2010年 5月 4日 

首都圏からそう遠くない山を訪ねる途中、気分転換のために車を停めた。
路端にいた初対面の老人との会話がクマガイソウに及んだ。
老人は、私に「それがうちの庭にたくさんあるんだよ。見せて上げようか。」と言った。
私は、「いいんですか。」と遠慮を見せたように答えた。
しかし、内心は、本当にクマガイソウが見られるのだろうかと、
その願ってもいないチャンスに小躍りしていた。

老人は庭に案内してくれた。
そこには信じ難い驚きの風景が広がっていた。
200を超える株があるという。
日あたりの少ない奥にはまだまだ蕾のものも多い。

「クマガイソウは昔はこの辺りでは雑草のように扱っていたんだよ。」
「だから、鎌で刈ったりもしていた。」
と老人はいう。

「今はどうなんですか。」
と聞いてみた。

「うんと少なくなってしまった。でも、まだあるところにはあるよ。」

老人から鉢に入ったクマガイソウを一株分けてもらった。

しかし、
老人の庭のクマガイソウが植わっている場所に、
株を掘り起こした跡はない。
このクマガイソウは「あるところ」から持ってきたクマガイソウのようだ。

 カメラを持っていなかった。
「写真に撮ってもいいでしょうか。」
と聞いてみた。

「撮っていいよ。」
と言ってくれた。
走って車を停めてあるところまで走って戻ってカメラを持ってきた。
老人は、植木の鉢をどけて待っていてくれた。

「長居するとご迷惑をおかけすることになるかもしれませんね。」
「どこで写したかも人には言いませんので。」
と言った。

老人は、
「あなたを見たとき、見せてもだいじょうぶな人だと思ったから見せたんだよ。」
と言ってくれた。


 クマガイソウの中にヤマシャクヤクも数株あって純白の花を付けていた。
エビネもあった。

「ここの山には紅い花もあるからね。」
と老人は言う。

紅い花」とは・・・。

「昔はベニバナヤマシャクヤクもあったけど、今は少なくなったね。」
「アツモリソウもあるよ。」
と、こともなげにいう。

思わず老人のご自宅の周りの山を見渡した。
そう遠くないところにクマガイソウとともに「紅い花々」があるのだろう。


山々の木々には新緑が萌えている。
クマガイソウはあの山すそだろうか、ヤマシャクヤクはあの尾根の斜面だろうかと思いをはせる。


これまで私が見たクマガイソウの自生地は3か所である。
いずれの場所も樹の下で、
半日陰となっていた。

老人は、
「クマガイソウは、植えた場所の条件がよければ一株から2つの目を出す。」
「金物を嫌うので、何をするにも手を使うように。」
と言っていた。


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