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秋晴れの黒班山(くろふやま) 紅葉のイワカガミ
2006/10/22


活火山を登っても花の残滓などもなく,面白みはないだろうとの先入観を見事裏切られた浅間山周縁の山登り,黒班山であった。

山好会御用達のバスが横川を通る辺りは、天気予報とは違い、すっかりガスに覆われている。このままの状態で標高が上がると結構悲惨な一日となるだろうなとすっかりモチベーションは下がってしまった。しかし、トンネルを抜けるとそこはまさに秋晴れの別天地で、車内の雰囲気も急に盛り上がった。


花の百名山 浅間山

車坂峠は冷たい高原の空気の中ながら大勢のハイカーでにぎわっていて、首都圏の山の喧騒を知る。トーミの頭への登りには植物の名が書かれた札が小さく立てられ、その中にマツムシソウの名を見つける。

トーミの頭に近くなると浅間山が目の前を塞ぎ、雄大な裾野の風景を見せる。カラマツの黄葉の盛りは過ぎてはいるものの、殺伐とした斜面にアクセントを付けている。黒班山への登りが始まる樹林帯にはイワカガミの葉が見え始め、この雰囲気だとマイズルソウも多そうなのだが、真紅の実は記憶にない。


尾根道を歩くと黒班山

蛇頭岳での昼食後Jターンを降りて湯の平に向かう登山道を歩くと、ここは今日の山登りのハイライトであった。風雪に耐えて生きているカラマツの葉がやわらかな太陽の光を浴びている。小豆色の葉で光を反射しているイワカガミは綿々と登山道の縁を飾っていて、6月の花の風景を想像しながら歩く。


Jターンの下部

 6月にこの山域で咲く花をひろってみると、アズマシャクナゲ、イワカガミ、イワヒゲ、キジムシロ、キバナノコマノツメ、キバナノヤマオダマキ、キンポウゲ、グンナイフウロ、ゴゼンタチバナ、コミヤマカタバミツバメオモト、シロバナエンレイソウ、シロバナノヘビイチゴ、ショウジョウバカマ、スズラン、タカトウダイ、ツガザクラ、ツマトリソウ、ハクサンイチゲ、ヒメシャクナゲ、ハクサンシャクナゲ、ヒメイチゲ、マイヅルソウ、ミツバオウレン、ミネズオウ、ミヤマカラマツ、ムカゴトラノオ、レンゲツツジなどときりがないほどである。このほか特筆すべきことは、あこがれのサクラソウ科の花のユキワリソウが草スベリで撮影されていて、浅間山外縁は豊かな花の山で、黒班山を含め花の百名山となっていることは後になって知った。


矮小なカラマツの下にはイワカガミが群生している

草スベリとの合流点の湯の平高原に着いて大休止を取り、コーヒータイムとするが、皆の顔は満足感に満ち溢れている。火山館を後にして蛇堀川というきっかいな名前の川に沿って歩きバスの待つ終点の浅間山荘に着くが、しみじみ、いつの日にか豊富な花々を見に再訪したいと思った山歩きであった。


火山館から浅間山荘への静かな道


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