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春の陽光燦々三山 万葉自然公園のカタクリ
2008/ 3/29


 栃木県佐野市などの行政区画にまたがる、三毳山にある「佐野三毳山万葉自然公園かたくりの里」のカタクリは、「日本有数の規模」咲くとのことであり、昨年来、是非訪れて見てみたい春の花であった。三毳山は、229mの青龍ヶ岳が最も標高が高く、南北にひょうたんを半分に切って寝かせたような山容を見せるハイキングコースが整備された山の総称で、229mの青龍ヶ岳が最も標高が高い。


かたくりの里

 しばらくぶりのマイカーは、JHの早朝夜間割引(50%)を享受しようとして家を5時半に出発したところ、7時過ぎには東北自動車道佐野藤岡インターチェンジに着いてしまった。インターそばの「道の駅みかも」に寄ると、まだ営業を開始していないのに、駐車場はほとんど埋まっていた。県営みかも山公園の駐車場がいずれも午前8時オープンであるからか、はたまた、かたくりの里の駐車場に車を停めると500円の駐車料金が必要なのからもしれない。それではと、万葉自然公園かたくりの里へと車を回すが、ここもまだ駐車場を開ける時刻にはなっていない。先着の数台の車に従って開門を待つ。30分ほど待つと、管理人がやってきて「休日で来場者が多いから今から開けます。」と言って駐車場に車を誘導してくれる。

 カタクリが咲く場所は、「かたくりの里管理センター」から5分ほどの北向きの谷合にある。まだ陽の光を十分に浴びていないので、カタクリもアズマイチゲも花びらを閉じたままだが、山肌を覆うようにカタクリが生えている。では、その感動の度合いと言えば、北海道で初めてカタクリの群落を見たときの驚きには程遠い。それは旭川の突哨山(男山)のカタクリで、その規模は他を圧倒するほか、エゾエンゴサク、キバナノアマナ、フクジュソウなどの春の花との競艶実に見事である。
とは言っても、いまさらないものねだりは贅沢である。首都圏から車で2時間もかからずこの規模の群落を見ることができるこの場所は貴重であることに変わりはない。

  

かたくりの園

 カタクリやアズマイチゲの開花をここで待つのも無聊なので、山の中央部にある「かたくりの園」のかたくりを見るために青龍ヶ岳を越える。すれ違う人も多いが、早朝のハイカーは皆明るいあいさつを交わしながら通り過ぎていく。いつもの習性で花は咲いていないかと目を遠くに近くに移しながら歩いていると、春蘭が咲いている。カタクリには心を動かされなかったが、春蘭の自生を見るのが始めてであったことから、急にワクワクした気分になった。その花を間近に見るためには1〜2歩道を外れて落ち葉を踏まなければならないが、落ち葉に乱れはない。これほど多くの人が通るハイキングコースのそばなのに、皆、気付かないでいるのだろう。その後注意して見ると、ある特徴的な場所になると数株づつ見つけることができる。これらのうち踏む跡が確認されたのは1株だけであった。


かたくりの園

 かたくりの園に着いてみると、そこのカタクリはかたくりの里のカタクリより瑞々しく株も大きく、十分陽の光を浴びてきれいに開花している。カタクリの群落の近くには春蘭が多く咲いている。でも気にかける人はおらず、ましてカメラのレンズを向ける人もなく、皆、カタクリの撮影に夢中になっている。フクジュソウやニリンソウもあるが、フクジュソウは花期が過ぎ、ニリンソウはまだ蕾の状態である。もうかたくりの里にも十分陽の光が入っただろうからと、踵を返す。


ヤマシャクヤク

 とある場所に差し掛かると、おやっと思う葉が目に付いた。葉や茎は赤身がかっている。もしかするとベニバナヤマシャクヤクではないだろうとも思ったが、花の色は白いようだ。数年前に、札幌近郊で、偶然に、そして初めてヤマシャクヤクを見付けたときの驚きは今でも忘れることができない。三毳山でこれがその優雅な花を付けたときには誰もが、ヤマシャクヤクであることを認識できるだろうが、そのころはカタクリ協奏曲の騒ぎはとっくに収まっていて、この花が咲くころには訪れる人も少ないだろう。その花が咲くころにもう一度三毳山に行ってみたい。




大和の国の清楚

 かたくりの里に戻る途中、いろいろ道草を食ってみたが、どこにも春蘭はおろか、ヤマシャクヤクは見つからない。春蘭は稜線にしかなく、ヤマシャクヤクは極限られた場所にのみあるようだ。その春蘭も地元の人にとって見れば単なる雑草の一部なのだろうか。葉がカッターで刈り取られているものが少なからずあった。かたくりの里管理センター脇では、愛好会が野草を販売していた。その中にヤマシャクヤクがあったが、葉や茎の色に赤身のさしたところがなく、シャープさもない。どこの産か尋ねても「標高1000mの・・・」「赤城の・・・」というだけだ。素人の見立てで輸入物だと判断するが・・・。


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