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大棚の滝から霜山を経て三ッ峠山に登る (2012)
 8月10日 



迷走


 三ッ峠山から富士山を見てみたいと午前3時半、車を富士吉田へと走らせます。そう、なでしこ・ジャパンが決勝戦に臨む時間帯に試合中継を聴くという算段だったのでした。今回のルートは、富士急行下吉田駅から山神社を経て堰堤から霜山南尾根へ上がって霜山へ、その後は府戸尾根を三ツ峠に至る往復コースだったのですが・・・。


カイフウロソウ

 車を山神社から堰堤に至るコンクリート道に停め大きな堰堤の右岸に登ったのはいいのですが、そこから先は踏み跡も見えません。堰堤の山側斜面に取り付いて歩いた様子もないので、いったん堰堤の山側に下り川床の様子を見ますが歩かれた跡はなかったし、思案投げ首です。さてと堰堤に戻って藪をのぞくと奥に赤テープがあって、踏み跡が伸びています。人騒がせなところです。(富士吉田市役所のホームページに、ここがハイキングコースとして紹介されていますが一般に考える「ハイキングコース」では決してありません。良い子の入山はお薦めしません。)


フシグロセンノウ

 その藪を突っ切って(と言ってもほんのわずかですが)踏み跡をたどると、ほどなくして標識がありました。右が大棚の滝、戻ると堰堤を示しています。ただ、ネットで見た、直進の「御殿」方向を示す板はなくなっています。右の大棚の滝を示す方向はすぐ対岸の急斜面となって非常に長いアルミ梯子が懸けられています。進むべき方向は直進と、水の流れを渡ってすぐ左手の尾根の末端を回り込んで沢沿いに進みますが、すぐに踏み跡はなくなってしまいました。実はここはさらに愚直に踏み跡を探し直進すべきところだったのですが、左手の沢筋に沿って進んでしまい、様子がおかしいので、ままよと、その尾根に登ってしまったのが、その後の間違いの始まりでした。


ヒメシジャン

 斜面を登って尾根に出て心臓がバクつく急斜面を登って行きます。最近の足跡はありませんが、同じようなことをした人が付けたと思われる赤テープがあります。標高1100m付近できれいな踏み跡に出ます。ただ今年は誰にも踏まれていないようです。ジグを切って快適に登ると霜山南尾根に出た(と思った)ので、左に折れ霜山方向へ向かったのですが、既にそこは湖畔から登ってくる府戸尾根であって、あまりにも平坦な登山道だったので徐々に徐々に高度を下げていることに気付かず、ちょっと下がると鞍部かななどとのんきにしているうちに、湖畔下山道分岐にまで下りてしまうという、とんだ大失敗をやらかしていたのでした。


木無山のお花畑

 その後は気を取り直して樹林の中の快適なプロムナードを木無山のお花畑へ向かいます。ここは、花咲く草原ですが、コースを逸脱すると山梨県の「山梨県希少野生動植物の保護に関する条例」で懲役+罰金の罪が適用される立入制限区域です。ただ、ここは柵で囲まれていないことこから、春先に鹿の餌場となって希少植物の芽は食い尽くされているのでしょう。花はほとんどありません。それに比べ、柵で囲まれているところはどこも百花繚乱です。


柵の中と外では大違い オオバギボウシ

 お花畑からすぐに、三ッ峠山荘と四季楽園という宿泊施設があります。経年の古びた建物で管理も不十分の何の趣もない小屋です。使い古しの資材や動かなくなった四駆や重機、機械部品その他が乱雑に置かれています。まるで河川敷のブルーシート工作物のようで、山の風情が台無しです。日本で一番汚い山の風景でしょう。そんなところの自販機でポカリを買ってしまいました。凍らして持ってきた水とポカリがなかなか溶けず、炎天下の歩きで水分欠乏症になっていたからなのでした。


プロムナード

 帰路も同じ道を辿ります。霜山から南尾根を下りる当初ルートは、御殿から大棚の滝ルートが不明なため、元来た尾根の斜面を下ります。といっても不安がないわけではないので、来るときに録っていたいたGPSのログを見ながら下りて行きます。ようやく見覚えのある(滑滝で行き止まりだった)踏み跡に出て一安心です。今回のルートは山と高原地図「富士山」に実線で記されていたところですが、やはり地形図は常に参照しないといけないとの教訓が得られたのでした。


アイシス

 真夏の炎天下にどうして三ッ峠山に登ったのか?富士山が見たかったから?それはそうなんですが、とある古い雑誌に載っていた富士山の写真が、三ッ峠山のどこから撮られたものなのか確かめたかったからでした。その写真は今から30年も前のもので、今はもう見られないそれはそれはあまりにも美しい風景写真だったのです。それでは分からない?山梨県希少野生動植物の保護に関する条例で指定された花々が昔は咲いていたという、その場所だけでも見てみたいというノスタルジックな思いからだったのでした。(”スパシオ”で北海道から四国・中国の山を巡りましたが、今回の山から”アイシス”がお供をしてくれます。車中泊が楽になります。)


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