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テントを担いで・・・!
白馬岳〜不帰キレット〜五竜岳〜鹿島槍ヶ岳〜針ノ木岳
 

(2015/ 7/31〜8/ 5)


剣岳の夜明け 


 2015年 8月 1日 (2日目) 
この日の行程 : 白馬岳頂上宿舎04:26〜06:46白馬鑓ヶ岳〜07:38天狗山荘08:01〜09:44不帰キレット
〜12:37唐松岳〜12:51唐松岳頂上山荘(所要時間08:25)


白馬岳と頂上宿舎のテント村

 今日の予報では雷雨のリスクは少なそうだが、コースタイムを8時間30分としているし不帰キレットの通過もあるので早めに出発することとしていた。午前3時過ぎ換気口から外を見てみると既にヘッドライトの灯りがテントを照らしているものが少なからずある。カルビーのシリアル(グラノーラ)にスキムミルクを入れて朝食とする。デザートは自家栽培のトマトをクーラーバックにたんまりと入れて持ってきた。夜明け前にテントを撤収することができ、稜線に上がる。多くの登山者が丸山のピークで御来光を迎えようとしている。杓子岳の鞍部まで下りるとちょうど太陽が昇ってくる。ウインドゥ・ブレーカーが必要な凛と冷えた朝の空気、雲海、そして神々しい朝の光・・・。この国でなければ見られない贅沢な光景である。


丸山と杓子岳の鞍部

 杓子岳の頂上をスルーして先に進む。コマクサが群生するガレ場を見ながら鞍部を過ぎて鑓ヶ岳の登りに取り掛かる。ここはスイスの山かと思われるほどの花々で山の斜面が埋め尽くされるところである。2011年に登ったときは凄かった。今は花の盛りは過ぎてしまったからそれほどの花はないが、それでもイブキジャコウソウやヨツバシオガマが元気に咲いているし、これまで見たことがなかったテガタチドリの咲き残りがところどころにあって目を楽しませてくる。小泉武栄さんの著書「日本の山はなぜ美しい」の内容を彷彿とさせるような光景が広がっている。そのうちにはっきりと地質の変化がみられる稜線の場所に出ると、それ以降しばらくは花は種類も量も少なくなった。


荘厳なる夜明け 杓子岳と白馬鑓ヶ岳

 鑓温泉の分岐を少し下りて、富山側(西)からの風を避けて休憩する。この付近に黒百合が咲く場所があったはずだが、花の時期が過ぎていることからその場所は確認できなかった。小腹を満たして稜線に復し天狗山荘へと進む。小屋までの、特に稜線から離れて長野側の斜面の、すでに小さくなった雪田を横切る登山道の花々は圧巻であった。時期的にはあり得ないと思っていたウルップソウが斜面のところどころに群れて咲き、ウサギギクが朝日に向かって花開いている。


鑓ヶ岳への登りの岩稜帯で タカネニガナ・ヨツバシオガマ・タカネツメクサ・トウヤクリンドウ

 稜線のオアシスである天狗山荘で大休止する。ここでは以前、蓮華温泉・朝日岳から縦走中の昼前に野菜たっぷりの中華丼を食べたことがあった。野菜不足が体調不良の原因になるからであったが、今回はまだ朝早いうちの時間だったので、小屋のベンチに腰を下ろさせてもらって、雪渓から流れ出る手が切れるほど冷たい水をたらふく飲ませてもらった。北アルプスの山小屋では、今は水は貴重な収入源になっている。南アルプス・三伏小屋では水1リットルが300円もするという。そんな中、穏やかな風景の中に佇む天狗山荘の水は冷たく、そしてfree!であった。


鑓ヶ岳から キレット〜唐松岳〜五竜岳

 今回の縦走のコンセプトは、できる限り余分な装備や食料を減らしつつ、体調を整える野菜や果物類は最低限度分を持ち歩き、水も小屋に頼ってその日に必要な分しか持たないことによってテント泊での漂泊を完遂することにあった。いつもは持ち歩く(ビールは持たず日本酒も最低限分のみ。これが日高山脈の縦走となると一切合財自分で持ち歩き、水も8〜9リットルを担げなければ縦走は成り立たない。そんなストイックな山歩きも粋ではあるが、水分(水+アルコール)が稜線で得られることの便宜は計り知れない。特に十分に冷えた生ビール・缶ビール(針ノ木小屋のを除く)は人を十分に堕落させる。 


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