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テントを担いで・・・!
白馬岳〜不帰キレット〜五竜岳〜鹿島槍ヶ岳〜針ノ木岳
 

(2015/ 7/31〜8/ 5)


キレット小屋から見る剱岳 (05:07) 


 2015年 8月 3日 (4日目) 
4日目の行程 : キレット小屋〜八峰キレット〜鹿島槍ヶ岳〜冷池山荘〜爺ヶ岳〜種池山荘(泊)


キレット小屋から鹿島槍ヶ岳への登り道

 北アルプスの山小屋の朝は早い。名古屋のふわく山の会の人を始め次々と起き出し準備を始める。今日も午後の雷雨が予想されているから簡便な朝食を摂って、午前5時には小屋を出て歩き出す。小屋を出るとすぐ急登が始まる。八峰キレットを慎重に通過し、あとは足馬槍ヶ岳に向かってただただ黙々と歩くしかない。奥多摩・秩父界隈の山ももキレットも危険度は同じである。つまるところ切れ落ちたところに付けられている登山道は注意して歩かないと北アルプスであろうが奥多摩であろうがいったん事故を起こせば死に至る可能性が等しく高いと言うことである。


キレット小屋

コースタイムより少し早目に吊尾根に着く。鹿島槍ヶ岳北峰と南峰をつなぐ吊尾根の南側には大きな雪渓が残っていて、雪渓脇に好ましいテント場があって使用された痕跡がある。そう言えば鹿島槍ヶ岳を登って来るときに出逢った単独氏は、昨晩はビバークしたと言っていたので、その場所は吊尾根だったのかもしれない。雪渓もあるからこれを溶かせば水にも困らないだろう。(あくまでもビバークということで。)鹿島槍ヶ岳吊尾根にザックを置いて北峰へ向かう。


キレット核心部

 吊尾根から北峰の間にはたくさんの猿がいて、ガレ場の石をガラガラと下方に落としながら移動している。今さら残置してきたザックの心配をしても仕方ない。いたずらされても重量物は移動させられないだろう。北峰に着く。その眺めは絶景であった。特に南峰の姿は美しい。我が家の居間に懸けてある鹿島槍ヶ岳の写真を、これまで五竜岳と思っていたが、北峰から見た鹿島槍ヶ岳南峰だったことが今回分かった。


チシマギキョウ

 鹿島槍ヶ岳北峰からいったん吊尾根に下りて南峰に登る。上部は切れ落ちた岩場もあるので注意が必要だが、その間にはたくさんの高山植物があって、なかなか足が前に進まない。南峰に着くとそこは一種の(山の上としては)喧騒の世界であった。それは赤岩尾根から登ってきた人、前夜冷池山荘に宿泊した人たちが狭い山頂に集積するように到着していたからであった。よって南峰は滞在時間0秒でスルーする。


鹿島槍ヶ岳北峰から五竜岳

 鹿島槍ヶ岳の南斜面は何の変哲もない凡庸とした景色で拍子抜けする。すれ違った人が「北峰に行こうかどうかと思案している。」というので、「北峰からの展望、とりわけ北峰から見る南峰の姿は素晴らしいですよ。」と答えると、あ〜だ、こ〜だとエクスキューズを言うので、悩むのならやめておいた方がいいでしょうねと申し向けたのだった。せっかく南峰に登るのならちょちょちょ〜いと北峰にも行って来ればいいのに、惜しいことだ。


鹿島槍ヶ岳南峰

 南峰を下りて登り返す布引山は、それまたいい姿を醸し出している。北アルプスの山として取り上げられることの少ない山だろうが、いったん登り終えて振り返ると端正な顔つきをしている。登山道脇1mほどのところにシナノコザクラの群生があって、綺麗に花を咲かせていた。しかし、その1mの距離を隔てる立て看板とロープがあるが、これは無粋の極みというものだろう。すでにきちんとした踏み跡があって、踏み跡は当然に裸地になっている。真にシナノコザクラの群生を保護するのであれば、希少な花を見たいという欲求との調和を取らなければならない。無闇矢鱈に「禁止」だけの措置では目的は達することはできないだろう。

 最近まで、とある所にアツモリソウの自生地があった。盗掘に遭ってもまだまだ盗り尽くされることはなく20株近くがひっそりと残っていた。しかし、そのアツモリソウは鹿の食害を防止するためのネット設置工事で踏み荒らされ地表をはぎ取られてしまい全滅してしまった。当然そのようなところへの立ち入りは禁じられるべきであろうが、アツモリソウのような絶滅危惧種の存在の調査もせず工事を行った地方自治体、補助金を交付した環境省の罪は深い。 


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