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テントを担いで・・・!
白馬岳〜不帰キレット〜五竜岳〜鹿島槍ヶ岳〜針ノ木岳
 

(2015/ 7/31〜8/ 5)

ちょっと失礼!シナノナデシコ

 ナデシコ科の花に「カムイビランジ」という花がある。この花は、シナノナデシコのように北海道・日高山脈の登山道(?)脇にちょこちょこっと咲いている。そういった意味では、希少種ではあるもののこの花を見るためのお役所からの何の制限はない。自由気ままに見ることができる。ただし、南北に長い稜線上に道標なし、山小屋なし、生ビール・カップ麺の販売なし、水場なし、テン場少なしと、ないないづくしである。それを乗り越えられる「勇気」「気力」「体力」「想像力」と「ヒグマへの恐れを跳ね返す精神」があって初めて見ることができる「天空の花」である。NHK・グレートトラバースで田中陽希さんが泣いた山脈に多く咲いている。(ただし「多く」とはどこにでもあるという意味ではない。」


 2015年 8月 3日 (4日目) 
4日目の行程 : キレット小屋〜八峰キレット〜鹿島槍ヶ岳〜冷池山荘〜爺ヶ岳〜種池山荘(泊)


鹿島槍ヶ岳南峰

 鹿島槍ヶ岳南峰から布引山に向かい、布引山を下りるとお花畑になる。咲いたばかりのチングルマとミヤマキンポウゲのオンパレードである。これほど多くの咲いたばかりのチングルマがあるということは雪田が遅くまで残っていたのだろう。これまで見たチングルマでは朝日岳・朝日小屋のがダントツの一番で、幌尻岳に登る途中にある七ツ沼のものや大雪山のものもスケールが大きいが、夏山シーズン真っ盛りの猛暑の稜線にこれほどチングルマが咲き残っているとは、うれしい出逢いであった。


布引山〜鹿島槍ヶ岳南峰〜北峰

 この花畑を過ぎると冷池山荘のテント場に出る。眺めはそこそこいいが、テント場自体に岩が多く、トイレがなく、受付をしたり山荘のトイレを利用するのに距離があるなど、よほどのことがなければ使いたくないところである。また、以前は冷池山荘のトイレの臭いは異常であって、ここに宿泊したときは我慢の限界を超えていて、本当に鼻が曲がってしまったのだった。今回、小屋前で休憩したが悪臭は漂ってこなかったが、受付を含む小屋全体の雰囲気は?だった。


チングルマ

 そう言って冷池山荘をくさしてみても、汗だくの身が清涼飲料水を渇望している。山荘前の木陰の石垣に腰を下ろして40分ほど休んでしまった。それほどの酷暑であった。また、キレット小屋を早朝に出発してきたことで、時間に余裕が十分あったからでもあった。


ガスに霞む布引山と冷池山荘 手前人物付近に赤岩尾根分岐 石の塊りは地元ライオンズクラブの意味を持たない石標

 冷池乗越・赤岩尾根分岐から少し進むとザレ場にコマクサがところどころ咲いている。そして少しでも大きな株があると、ロープを越えて入り込んだ登山靴の跡がどこにでもある。コマクサの植生地は微妙で、少しでも入り込むとそこに雨が溜まり、溜まった雨が溢れて流れ出すと水流で細かいザレの崩壊を招き、結果コマクサが消失してしまうとの注意書きがあったのは燕岳だったと記憶している。この不届きな登山靴の侵入跡は、この先スバリ岳までのどこにでも見られた。コマクサの名勝地の蓮華岳ではもっとひどいことになっているのだろう。


コマクサ(登山道脇ではこの程度の株は2〜3株しかない)

 爺ヶ岳南峰にちょこっと寄って種池山荘に向かう。着いたのはお昼前であった。混雑すると思われたテント場には先客のテントが一張りだけだった。樹林に囲まれたテント場は平坦であるが、見晴らしはなく、風通しが悪い。最悪なのはやぶ蚊があまりにも多いということであり、攻撃されっぱなしであった。蚊取り線香もハッカ油も持ってこなかったので辛い思いをした。
 テントの設営を終えて山荘に行き、お待ちかねの生ビール+缶ビールを飲む。ビールがこれほどおいしいものとは、今回の縦走で心底分かった。


種池山荘のテント場

 いつも山に接していたくて松本市に移住してきたという若い女性から、スマホの待ち受け画面にしてあるシコタンソウを見せてもらった。その花のあまりの美しさに驚いて、咲いていた場所を教えてもらったが、見つけられなかった。女友達と二人でそれぞれテントを担いできたということであった。いつの間にか陽が傾きかけるまで山荘のベンチで屯してしまった。はっきりしない天気で夕暮れを迎えることになったが、一時少しの雨に降られた。


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