[HOME][ ]


大ドッケのフクジュソウ その2 (2014)
2014/ 3/18


大ドッケのフクジュソウ


 3月 18日 (火) 

 昨年、ツアー会社が大勢引き連れてこの地に入った。首都の地名を冠する大規模なハイキングクラブやNEWハイキングが、何十人もの人間を組織してフクジュソウ群落地を歩いた(歩こうとする)など、この地も賑やかしいところとなったが、今年に限って言えばまったく森閑としたありのままの姿の原生地の雰囲気を醸し出している。君子「デブリ」に近寄らず。まったクレーバーな人たちではあるが、おかげで静かな大ドッケを(短時間だが)堪能したので下ることとする。



 ガンガン下るがワカンの威力発揮で踏み抜きは免れる。あっという間に沢から離れ、崩壊地を過ぎ、細久保の廃集落地で倒木を避けるためいったん道を外れて登ろうとしたときに、左足太ももが痙攣し出す。筋肉がバラバラと言って震えている。すかさずスポーツ飲料を一気飲みするとほどなく痙攣は止まる。こんなに激しい痙攣は同じような季節に八ヶ岳の赤岳に登るとき、権現岳からキレット小屋に向かう時に樹林帯の深い雪と格闘していた時に一度あったきりであった。今回は行程中1回だけ、それもわずかしか水を飲まなかったことにも起因するのだろう。


 細久保集落の登り口からおじいさんが下りて行った。ほどなく追い着いたのでご挨拶し、しばらく立ち話をする。いろんな話しをを聞かせていただいたが、その中で、教訓的な話があった。「ここには最近大きな団体が入るようになった。でも、道を間違えて騒ぎになるようなこともある。昨年、50人ほどで登って行った団体は、復路は峠ノ尾根を下りてくることになっていて、タクシー8台を午後4時に迎えに来させていた。」


 「いくら待っても下りて来ず、連絡もないので遭難したのではないかと警察に通報した。午後8時になってこの上の(61号)鉄塔付近まで下りてきたようだった。警察も出動していた。」と話された。え〜、携帯電話が通じるだろう。50人もいればGPSを持っている者もいるだろう。まさか4時間も連絡なしに(表面化するのを恐れて)セルフレスキューを実践していたのだろうか。ミステリーである。


 人のことを偉そうには言えない。(この日)大ドッケに登った週末、小黒から酉谷山に行った。想像を超える雪が北斜面に着いていたので、例の崩壊地通過を避けるため普段歩かれることのない直登尾根を辿った。一応この区間だけはGPSを取り出してトラックログを保存しておいた。復路、雪面の自分の足跡を追いながら、往路に見た片側が細い切れたった尾根を下りて行くうちに、下りるのが躊躇される急斜面で足が止まった。GPSのスイッチを入れログを見ると、大ききそれて谷に落ち込む尾根を下りかけていた。


 2013年4月、北海道のフクジュソウ自生地を見付けた。広大な山の斜面を満開のフクジュソウが覆っているというのに、誰も見に来た気配、足跡が皆無であった。というより、一部の林業関係者しか足を踏み込まぬ岩とザレた岩塊斜面の疎林の下という環境が人に見つけられない要因なのではないか、凄いところを見付けてしまったと心ゆくまでフクジュソウとの逢瀬を楽しんだ。

 《北海道のフクジュソウ群落地の様子》 ※この場所は標高約520mほどのところで、寒々とした冬の名残の風景の中に、遠くから見てもフクジュソウの植生の場所だけがなぜか暖かさを感じさせる様子がうかがえたのだった。


[HOME][ ]