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ヌカビラ岳〜北戸蔦別岳〜1967峰〜ピパイロ岳往復 
(2010/ 6/17〜19)


戸蔦別岳と幌尻岳


               2010/ 6/17(1日目) 

(初日の北電取水施設〜ヌカビラ岳〜北戸蔦別岳間の様子は、風雨の中を歩いたため画像を残すことができませんでした。このぺージの画像は3日目の下山時のものです。)

  北戸蔦別岳頂上のテント場を基点として、「1967峰〜ピパイロ岳往復」及び「七ッ沼カール経由幌尻岳往復」を3泊で計画したが、出発間際になって天気が悪化するとの予報になった。 そこで、1日目は、山の花の写真が素敵な「北海道あれこれ さっぽろ発」及び3回の登山記録を持つ「一人歩きの北海道山紀行」などのホームページを参考に、道南の花の山である「大平山」に登り、3日目には天候が回復するとのことであったから、2日目に雨が降っても北戸蔦別岳から1856mまで登ってテントを張り、待機することとした。(ヌカビラ岳〜北戸蔦別岳〜1967峰〜ピパイロ岳の間の幕営地・テント場の画像情報はこちら。)


千露呂川林道ゲート(特に早朝、夜間は鹿の飛び出しに注意)


二岐沢分岐(駐車スペースから。右側のゲートを入る。)



北海道電力取水施設


取水施設の作業道跡を歩く

 16日、午前4時20分に大平山への登山を開始し、同10時下山、宮内温泉で汗を流した後、道南・島牧村から日高の街までの300km強を一気に走る。それでも、千露呂川林道(チロロ林道)ゲートの鍵を借用するため北部日高森林管理署に着いたのは、管理署の執務時間を過ぎた午後5時半であった。鍵は、事前に連絡を入れて、ポストでの受け渡しお願いしてあった。


増水時は、岩をも持ち上げる水かさになるのだろう。(上流から写す。)

 林道の鍵を受け取ってから、コンビニ「セイコーマート」で3日分の食料等をそろえる。今回の山の計画を立てるに当たって、日高・千栄(ちさか)の街に「NPO法人 千栄山の家」が運営する宿泊施設があることを知ったので、この山の家を利用させてもらうこととし、仕入れた酒などを飲みながら、誓いを立てる。(雨が降っていてもめげず、がんばって登りますと・・・。)


本流脇ののどかなシーン

 17日午前3時、山の家の窓から外を見ると、濃いガスに覆われている。テンションは急激に下がるが、夜明け前の街を離れて千露呂川林道をひた走り、北海道電力管理の林道ゲート前に到着する。停まっている車はない。午前5時ちょうど、ゲートを出発する。二岐沢沿いの林道をひたすら歩くと、同5時25分、林道に徒歩の男性2人の姿を認める。(林道の?)パトロールを行っている模様だ。


滑らない自信があれば登山靴で渉りましょう。

 ゲート出発から1時間足らずで北海道電力の取水施設に着く。ここから沢沿いの山道になるので気合を入れ、朝露ですっかり濡れた草木を分けながら進む。かつての作業道跡を過ぎると沢に出る。ここまで1時間30分、午前6時30分になっている。エゾオオサクラソウ、ノビネチドリなどの歓迎を受けながら、同50分、尾根に取り付く目印となる大木が2本立つ沢の分岐に出る。ここに整地されたテント場が2つあるが、使われている様子は見られない。


滝の手前、雪渓脇の風景 エゾノリュウキンカ(ヤチブキ)

  大木の脇から登ると、いったん高巻くように急な登りとなり、また、切り立った崖の幅の狭い道になるが、そこでいつものヒダカハナシノブの出迎えを受ける。その先で沢に下りて左岸を歩き、高度を上げるに従ってほとばしるように流れる沢を何度か渡る。沢を4〜5回渉るうちの1か所は大きな岩をへつることになるが、水量が多く、登山靴を完全に浸水させる必要がある。そこは、踏み跡のないところを高巻きして難を逃れる。

  徐々に天候が悪化してくる。午前7時50分、左岸からの滝と沢が交じるところに出る。その先は沢を雪渓が埋めている。これから先は、下山時のことを考えてGPSのログを録ることにする。雪渓の下では轟々と水流がうなりを上げている。滝の手前のから稜線に取り付く急な登りとなる。登山道はところどころ雪に埋もれている。稜線で必要な水はトッタの泉で得ることにしていたが、この分では流れがないことも考えられる。ちょうど登山道を流れる水があったのでプラティパスに入れる。その先、トッタの泉は予想通り硬い雪に埋もれていて水の流れはない。(3日後は泉の下部に流れができ、水は取れる状態となっていた。)


ほとばしる水流(右岸を歩く。歩行に影響なし)

 支尾根に出る。支尾根は分厚い雪に覆われている。下山時を想定し周囲を眺めると、どこで登山道に取り付くのか判別できない。腕時計(プロテック)で標高を見ると1640m(正確ではない。)、登山道に折れる場所の下方に赤テープがあるが、枯れ枝を何本か雪に刺す。(ただし、下山時に刺した枯れ枝は融雪が進んだことによって、すべて倒れていて目印とはならなかった。)


長い雪渓、アイゼン不使用、帰路下部で踏み抜いた。

 樹林を抜けると稜線北斜面は広く雪渓が残っている。しばらく雪とハイマツの際を登るが、どこかで夏道を探さなければならない。歩けど見つからずGPS登載の地図で現在地と夏道の場所を把握すると容易にハイマツの中の夏道を見つけることができた。(雪渓から夏道に入るところに印はなく、かつ雪でヤブが圧されている。これが見つからないと結構なアルバイトを強いられる。)


登山道に流れ出る水を汲んで正解だった。

 この雪はヌカビラ岳の腹の岩場下まで続いている。カムイコザクラが出迎えてくれるが、風雨が強くあいさつをする暇もない。稜線のハイマツ帯に入る。草付きのテント場がある。ここは四囲をハイマツやナナカマドナドの低木で覆われている。あまりの快適さに、もうここでテントを張ろうかとも思うが、風は西から吹いている。北戸蔦別岳のテント場は東側に設けられていてこの分だと風が除けられるだろうし、翌日の行動及び万一展望が得られたときの感動を味わうには、最低でも北戸蔦別岳まで行かなくてはならないと、我慢する。


よく覚えておきましょう 下山時の夏道の入口



上から見るとこんな風景がずうっと下まで続き迷って下りすぎますから

 ゲートからの標高差約1、300mを十分に休むことなく登ってきた。ヌカビラ岳を過ぎると、発汗と降雨で合羽の中はグショグショである。唯一、登山靴の中だけは湿り気を帯びている状態で済んでいる。(今回はザンバランというメーカーの靴を履いてきた。これまで、朝露がある中を2〜3時間歩いただけで浸水していたシリオであったが、大平山の雨、日高の1日目の渡渉と降雨、2〜3日目の酷い朝露にも関らず、まったく浸水することはなく、靴下が湿った程度であり、非常に快適であった。その購入記はこちらへ。)ヌカビラ岳から先の吹きさらしで体は急激に冷えてくる。もう1856mまでは持たない。もう一山越えると北戸蔦別岳・・・。


雪渓上部夏道へのハイマツの入口に注意(マーキングないが薄い踏み跡を探す)

 短いようで長かった午後0時過ぎ、ようやく北戸蔦別岳の頂上に出る。雨がこれ以上強くならないうちにと、強風に難儀しながらテントを設営する。(モンベルが販売する「メッシュアンカー(岩石ネット)」がグランドシートを張る段階から、強風下での一人でのテントの設営にその効果・役割を発揮してくれた。)

 濡れきった衣類を乾いたものに取り替え、シュラフに潜ってザックに入れてきたワインを飲む。文庫本は車に置いてきた。まだ昼過ぎだと言うのにすることがない。換気口から見る外はガスの世界だ。天気予報は、今、十勝地方は晴れ、明日の日高地方は濃霧だという。明日もだめなら滞留して待とうか、それとも下山か。


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