[HOME][2日目


那須岳 三斗小屋温泉・テント泊 温泉三昧
2018/10/17〜18


[1日目]
2018/10/17(水)
峠の茶屋駐車場〜峠の茶屋跡避難小屋〜朝日岳〜三本槍岳〜大峠〜三斗小屋温泉煙草屋(テント泊)


県営那須岳峠の茶屋跡駐車場から朝日岳

紅葉の時期の那須岳登山の問題点は、車利用の場合は駐車場難ということだろうか。前の晩のうちに駐車場に着いても満杯の恐れがあるということで二の足を踏んでいたが、紅葉の最盛期が過ぎたことと天気予報が一日目の御膳は思わしくないが二日に目は晴れると伝えている。登る日の朝は雨模様だから紅葉狩りの人は少なく駐車場の問題はないと見て深夜の東北道をひた走り、那須温泉を抜けくねくねとした路を登って行く。


峠の茶屋跡避難小屋

県営の那須岳峠の茶屋跡駐車場は標高1,462mのところに位置し、ここに登山口がり避難小屋のある稜線に出るのに260mほどがんばればいいのだから、人だかりとなるのは無理もない。しかしこの夜は、予報通り小雨が降ってきていて明日も午前中までは雨の予報なので人の出は少なく、駐車場の車はスペースの半分ほどを占めているだけだった。


剣が峰のトラバース道から避難小屋

途中のコンビニで買い求めた栃木の島崎酒造のワンカップ「東力士 ふるさとカップ」を車中でしみじみ飲みながらラジオ深夜便に耳を傾ける。小雨が止んで街の明かりが見える。家庭菜園用の肥料や道具が積み込まれた車内は椅子も満足に倒すことができず、窮屈な姿勢で朝を迎える。前席の窓ガラスは雨で濡れているが雨は上がっている。駐車場の端のスペースにテントを張って寝ているだろう人のものが3張りある。しかし、テントのメーカーなどからたぶん登山者ではなさそうだ。那須の山をわざわざテントを背負って登る酔狂な者はそう多くない。その理由の一つはテントを張ることができる場所が限られているからである。


大峠分岐

そんな那須岳を今回はテントを背負って登ることにした。三斗小屋温泉煙草屋が小屋の前のスペースに、1日4張り限定でテントを張らせてくれるということをつい最近知ったからだった。テント泊は1泊2,000円で、露天風呂・水・トイレの使用料が含まれている。例えば北岳の北岳山荘はテント場代が800円で水は無料、トイレはチップ制で1回500円が標準であり、奥多摩の三条の湯はホームページの記載に関わらずテント場代と入浴料金を合わせ900円でトイレはチップ制となっていて100円程度を投入する人が多いようだ。そんなわけで三斗小屋温泉煙草屋のテント場使用料は無茶高くもなく安くもなくというところだろうか。


大峠に向かう

さて、ガスが山を覆っているが名物の風も吹いていないし、午後からは天気も回復するとのことなので、稜線めざして歩くことにする。テント泊装備のザックを背負っていることに加え、日常の農作業で疲れた体では歩みも鈍く、軽いザックの人々に次々と追い越されていく。
峠の茶屋跡避難小屋で朝の(インスタント)コーヒーでもと思っていたが、喉も乾かないし疲れているわけでもないのでスルーすることにし、剣が峰を巻いて朝日岳方向に向かう。急にガスが湧きそれが雨交じりとなってきたのでレインウェアを着込み、手袋を防寒のものにする。


大峠と大峠山への登路

朝日岳の肩から朝日岳頂上までは5分の道のりだが、展望もないだろうし面倒なのでそのまま北上し、滑りやすい泥道を歩いて清水平を過ぎ、熊見曽分岐を経て北温泉分岐に着く。地図上では登山口である駐車場か北温泉分岐まで3時間程度の行程なのだが、もたもたと歩いていたからもう少しかかっていただろうか。分岐のベンチで休んでいた栃木県内のお2人とあれこれ話をしながらお腹を満たし三本槍岳に向かう。三本槍岳は「岳」という名前が付いているのでさぞかし険しい山と思いきや北温泉分岐の標高(1,856m)から61m高いだけの1,917mであり、体に優しい歩きをさせてくれる。


大峠の石仏様

三本槍岳から大峠分岐を経て岩場の尖がりである鏡ヶ沼展望所を越えて下りに向かう。ガスは相変わらず取れずガスの中にハイマツが見えてくると、男性2人が登ってくる。道を譲ると「全部で17人いるんですが、いいですか。」と言ってくる。年配の集団のようだが、男性も女性もしっかりした服装、キリリとした顔、テンポ良い足取りで過ぎていく。三斗小屋温泉で宿泊し大峠を登ってきたのだろうが、雨具を着ての登りはさぞかしつらかったのだろうなと思う。


笹薮の中のナナカマド

しばらく下っているとだんだんと空が明るみを見せてくる。レインウェアを脱いで体にまとわり付いた湿気を放出する。すると寒さを感じるのでザックを背負い直しすぐ歩き始める。大峠はむかし道で道祖神も多く、カラフルに飾られている。ここでも休むことなく背丈の高い根曲がり竹のアーケードを潜りながら、荒廃した道を下る。今日一番の雰囲気の暗いところであったが、そこを我慢して小一時間下り続けると広葉樹林帯となって、景色が一変する。


峠沢

大峠から三斗小屋温泉までの間に3本の沢があるが、どれも渓相はよく終盤の紅葉飾られている。雰囲気が明るくなって道もよく、やっと愉快な山歩きが始まった感じとなる。ゆっくりと山の空気を吸いながら歩きたいところだが、もたもたしていると露天風呂が15時から17時の女性の時間となってしまう。その前に温泉に入ってすっきりし、着替えてからゆっくりと待ちに待ったお酒タイムとしたい。


三斗小屋宿跡分岐点への道はロープが張られている

その後も紅葉のプロムナードは続くが、その先に三斗小屋温泉の建物が見え隠れする。煙草屋旅館で受付を済ませ、ザックを置いてテントを張る場所をキープするだけにし、すぐさまさっそく露天風呂に入ることにする。15時までは混浴であるものの白昼の露天風呂に入る女性は(この日は)いない。大雪山の旭岳から中岳に向かうと温泉が湧き出ているところ(中岳温泉)があって、寝そべるようにして温泉に浸かることができる。だれも来ない早い時間に入ろうと白雲岳のキャンプ場を早めに出て温泉に入っていると女性が二人来て、「私たちが入るから出てよ。」と言われたことがあった。大自然の中の露天風呂であり山中のことだから誰も管理しているところではないが、その勢いに従うしかなかった。


三斗小屋温泉煙草屋

三斗小屋温泉煙草屋のホームページを見ると、テント泊者が内風呂を使えないとの記述はなく、テント泊について「お風呂・水場・トイレがご利用いただけます。」と書かれ「共同浴場」「女性風呂」「露天風呂」の入浴時間について書かれているだけであったが聞くと、「テント泊では露天風呂だけ」と勝ち誇ったようなお答えが返ってきた。馬鹿正直に聞くのではなくホームページの記述をそのまま理解し入ればよかったようだ。


次々と旅館泊まりの人が訪れる

露天風呂は15時からが女性の時間で残り時間あと30分なのでテントの設営は後からと急いで向かう。数人の男性が湯船に浸かっている。小雨に降られて約6時間の道中で疲れた体を湯船に沈めると、もうすべてが平和に感じられる。あ〜、遠回りしてよかった、テントを担いで苦労してよかった〜。


宿泊・食事の建物 露天風呂からの帰りはこの渡り廊下を伝う

露天風呂から戻ってテントを設営する。今日のテント場は3張りになるとのことだったが、2番目の人が到着しファイントラックのカミナドーム1を張っている。カミナドームは重量が1270gと、エアライズ1の1580gに比べ310gも軽い。ただ、カミナドームの開口部が長辺にあることは、日高の山のようにテントを張れるスペースが極めて狭い、あるいは登山道に張らなければならない場合もままあるようなところでは、出入りが不自由となる。またカミナドームの短辺がアライより10p短いということは居住性にも影響がある。最大のウィークポイントは、完成したお隣のテントを見るとフライシートに十分にテンションが掛かっていないとうことであり、日高のように強風下の稜線での幕営は不安がぬぐえないとの印象を強く持った。でも、その軽さから一度は使ってみたいアイテムではある。



この露天風呂に入りたくてきました

テントを張ってビールと東力士を飲んだら睡魔に襲われ、シュラフに潜り込む。2時間ほど寝て17:00過ぎに再び露天風呂に入る。3度目の露天風呂はすっかり電気が落とされる21:00以降にと算段していたが、目覚めたのが01:00だったので、寒さに震えながら朝までウトウトする。


[HOME][2日目