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熊ノ平小屋から間ノ岳及び北岳を登る
両俣小屋〜熊ノ平小屋〜間ノ岳〜北岳
(2011/ 9/16〜18)


三峰岳から仙塩尾根の先の塩見岳を見る


 9月18日(3日目) 

熊ノ平小屋〜間ノ岳〜北岳〜白根御池小屋

 真夜中に目が覚めました。テントの換気口から空を見ると月が煌々としています。満天の星空が広がっています。予定どおり午3時に起きようともう一度寝込みます。携帯電話のアラームが鳴らない前に目を覚まし、もう一度外を見ると少し雲が出ています。5時には出発したいので、4時までには朝食を済ませました。山でのスタミナ持続には野菜のミネラルなどの摂取が重要ということで、味噌汁にはピーマン、玉ねぎ、しょうが、にんにく、生卵が入ります。あれやこれやとやっているうちに時間はどんどん過ぎて、出発は5時20分となってしまいました。

 
三峰岳への登路と間ノ岳に続く尾根

 素晴らしい朝焼けに見守られながら熊ノ平小屋のテント場を後にします。いきなり三国平への急登が始まります。雨で濡れたテントが重く先が思いやられます。それでも山登りは一歩一歩と確実に歩くしか早道はありません。三国平まではコースタイムどおり40分だったのですが、三国平から間ノ岳までは50分で登ることができたのでした。ただその辛さはいつもと変わりません。とにかく足を止めない、右足を出したら次は左足というのが極意のようです。


間ノ岳から農鳥岳に向かう登山者

 昨夜の熊ノ平小屋の宿泊者は1人のようでした。主稜線を外れるとそれほど閑散としているということの証なのですが、間ノ岳の頂上に出ると、まだ午前8時だというのにその人の多さに驚くと同時に、この先北岳への稜線での人との擦れ違いに鬱陶しい思いです。昨日歩いた塩見岳への稜線や農鳥岳に別れを告げて足早に間ノ岳の頂上を去ります。大きな団体も含めどんどん登ってくるので、岩場の狭い登山道で待つことが多くなります。


西農鳥岳から農鳥岳へと続く

 山にトレラン愛好者が入り込むことに異論も何もありませんが、登ってくる人に道を譲るため山側に体を寄せて待っていると、一瞬の隙に後ろからトレラン姿の男性が無言で脇を通り過ぎ、登って切る人を強引に交わしていきます。まだこの人は鈴をシャンシャンと鳴らしていないだけまだましな方です。今回、御池小屋からの下山道で、鈴を鳴り響かせ後ろからくる人が2人いました。これは道を開けろという意図なのでしょう。何かコミュニケーション言語が発せられるだろうとは期待していませんでしたが、案の定私の後ろにぴたっと接近したままです。雲取山に登ったとき、マウンテンバイクで下りてくる人がいました。外人さんでしたが、その人は私を視認するとバイクを降りすれ違うまで待っていましたが、何かが違います。


圧巻 北岳

 今どき、白峰三山で(熊)鈴をガシャガシャ鳴らして歩く者はいないだろうと思われるかもしれませんが、そうでもありません。快晴の大展望を堪能しながら中白根山に向かっていると、おじさんが北海道で使うような熊鈴を鳴らしながら登ってきます。おじさんは明るく「おはようございます。」とあいさつしてくれます。清々しい朝のあいさつですが、「おじさん、熊はいないよ!」と教えてあげたのでした。余分なことですが・・・。

(参考画像)

そぐわない画像ですが熊鈴はこのような環境での使用が推奨されています。(2009年、登山道を塞ぐヒグマの親子に遭遇)

 多くの人とすれ違いながら北岳山荘を目指します。広河原から芦安までのバスの最終発車時刻は16時10分です。三峰岳〜間ノ岳〜中白根山〜北岳と3000m級の山を存分に歩きたいのですが、八本歯ノコルから下りて楽をし、余裕をもって最終バスに乗りたい気持ちも強くあります。しかし、だんだん北岳に近づくにつれ、ズルをしちゃっていいのかなという気持ちも芽生えます。厳しい岩稜斜面を登るのは辛いのですが、締めをきちんとしなくてはと思い直します。その前に、北岳山荘のベンチで炭水化物を摂取します。


塩見岳も控えて・・・。


・・・なかなかの展望です

 北岳山荘から吊尾根分岐、分岐から北岳頂上が今回の3日間の行程の中で体力的に一番厳しい登りでした。1時間の行程を1時間30分もかかってしまったのですから、疲労困憊度は推して知るべしというところでしょう。ただ、北岳の頂上からの展望は秀逸でした。善男善女が大勢歓声を上げています。北岳は今回で18回目になりますが、これほどの展望をほしいままにしたのはこれが最初です。


仙丈ヶ岳から仙塩尾根 (横川岳稜線と東斜面は大規模な倒木が発生した模様)


先週はこの山(右手の薬師岳)から北岳を眺めていました

  いつまでも眺めていたい北岳山頂からの眺望ですが、次々に人が登ってきておちおちしていられません。デジカメのムービー機能で360度の眺めを写して下山を開始し肩ノ小屋に向かいます。肩ノ小屋はテント場からの眺めがよく、お気に入りの場所です。リフレッシュのためにコーラを買い求め、ついでに小屋の青年に大樺沢の様子を聞くと、台風12号の大雨で橋が流されて通行不能とのことでした。ということは、草スベリと白根御池小屋からの急斜面を転げ落ちなければなりません。困ったことになってしまいました。


肩ノ小屋

 それに最終バスの発車時刻も心配です。肩ノ小屋から広河原までの地図上の所要時間は4時間ほどです。計画書には最終バスに間に合わないようなときは肩ノ小屋か白根御池小屋でテント泊することとしていましたので、間に合ってもよし間に合わなくてもよしの余裕がありました。その精神的ゆとりからでしょうか。縦走装備が入った75リットルのザックを担いで小太郎尾根へ、小太郎尾根から御池小屋までを疾風のごとく駆け下ります。まだ12時前ですから登ってくる人が大勢いますが、多くの人が休みながら登ってきて道を開けてくれます。下る人も次々と道を譲ってくれますので、標高差800mはあっという間でした。と言っても1時間5分はかかってはいますが。


草スベリでこの一枚を取るだけで前者と大きく引き離されてしまいました

 白根御池小屋の水場で冷たい水をがぶ飲みします。その水で顔を洗い日陰で10分ほど体を冷まします。ロングのTシャツの袖には塩分が浮き上がってきています。これからは樹林帯を急降下しなければなりません。急傾斜に加え木の根が多く、湿った岩、ドロドロした道が続くので緊張を要します。中国人留学生は筋肉痛で後ろ向きでないと下りられないようなので、ふくらはぎと大腿四頭筋のストレッチを指南します。妙齢の女性は斜面にのびていて、足を同行者にマッサージしてもらっています。かく謂う私もストレッチの必要性が出てきました。5分ほど十分にストレッチをして最後の歩きです。ようやく野呂川に掛かる吊橋を渡ると午後2時ちょうどでした。貸し切りのタクシーが出て行くのが見えますが、定刻のバスやタクシーにはまだまだ時間がありますが、野呂川広河原インフォメーションセンター前のタクシー乗り場に行くと、貸し切りのタクシーに乗せてもらえることになり、興奮冷めやらないうちに車上の人となったのでした。


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