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台北花博覧会 ツアー旅行もいいもんだ 
2010/11/26〜28



富士山


右上の大きな塊:北岳・間ノ岳・農鳥岳 その左上:仙丈ヶ岳 下がって塩見岳 荒川岳 赤石岳 聖岳 茶臼岳・・・か

 休日をゆっくり台湾で過ごしたいと、JALマイレージによる航空券予約を試みたが、成田空港発も羽田空港発も閑散期なのに予約を取ることができない。それなのに実際は、JAL便は会社ががたついていてガラガラなのが実際なにのに。これまでの海外旅行では、家族でもソロでもツアーを利用したことはないが、事情が事情なので、ならばツアーではどうかというと、安いツアーは米国系航空会社利用が多く、地上も機内もサービスマナーが好みではない。特に何かあったときの対応は、安い航空券で搭乗した客には、これは日本人には想像もできないようなけんもほろろな扱いである。だから今回は旅行をお預け・・・と思っていたら、産経新聞にエバー航空利用の思っても見ないツアーの広告があった。


忠烈祠の衛兵交代式

 それは、羽田空港利用でホテルこそ六福客桟(レオフー)ながら、優先チェックイン、荷物の優先引渡し、10kgのオーバーチャージ無料、2010年台北国際花博覧会入場券、台北101展望台入場券付き、さらに九fen観光のほか、欣葉での台湾料理、鼎泰豊での小籠包、慶泰大飯店での広東料理などが楽しめて、1人40,000円ちょっと50,000円弱というツアーであった。(ツアー名:【産経新聞】evasion羽田発で行く!台湾3日間!)さっそく申し込んでみる。
      【主催旅行社】(株)オーバーシーズトラベル 03−3567−1202 (ホームページはここをクリック)


羽田国際空港出国審査場

 ツアーの集合時間は早い。羽田空港から飛び立てる時間的メリットは、我が家の場合成田空港からの出発でもたいして相違はない。ただ、成田空港までの電車賃に比べ羽田空港までの電車賃が大幅に安いし、時間もかからない。有り余る時間を利用して自動化ゲートの登録申し込みをする。(自動化ゲートとは・・・→こちらを見てみる。) チェックインを済ませ出国審査場へと入る。審査場は閑散としていて自動化ゲートを利用するメリットは少ないが、初体験なのでやってみる。この自動化ゲートは、システムも出来が最悪でとんでもないトラブルメーカーであったが、羽田空港のものはスムース。


龍山寺

 これまで海外旅行はすべて自分で旅を組み立て、往復の航空券と初日の1泊分のホテルをあらかじめ予約しただけで、あとはほとんど現地で探していた。そんなわけで、ツアー旅行を利用したことはなかったのだった。このツアーは、日本からの添乗員さん(オーバーシーズ トラベル)のH崎さんの同行があり、さらに台北では現地台北市の「保保旅行社(BOBBY Travel Service)の添乗員さんがフルアテンドしてくれるもので、至れり尽くせりの満足したツアーだった。特に台湾側の女性添乗員(余さん)が、ソフトな話しぶりで豊富な知識をもとに台湾のことも日本のことも、あれこれ話してくれてためになった。痒いところに手が届く気配りをしつつ押し付けがましいところがない世話をしてくれていたのが印象的であった。そして余さんが、「御無事に皆さんを最後まで案内して空港まで送り届けます。」と言ったとおりの、さまざまな安全に対する配慮があった。

 余さんの台湾案内に気になることがあった。それは明治神宮の鳥居が台湾の山から切り下ろされ運ばれたものであるということだった。それがどのような経緯で日本に運ばれたのか、きちんと台湾の方々の合意や納得があったのか・・・。ときあたかも日中国交回復の前年に当たる。しかし、以下の経緯を知り安堵の念を覚えたのであった。

 ※ 明治神宮のホームページには
 「なすすべもなく困っていたところ、東京で材木商を営む篤志家・川島康資さんが明治神宮の大鳥居が傷ついたことを聴き、なんとか明治神宮と靖国神社に奉納したいと考えました。川島氏は親子二代にわたって材木商を営んでいましたが、ここまで無事に商いが出来たのも、ひとえに神のご加護以外のなにものでもないと、つね日頃より報恩感謝の気持ちで暮らしていましたので、終生の事業として是非この大鳥居を奉献させていただきたいと願い出たのでした。

 わざわざ台湾まで何回も檜材を探しに行き、その結果、とうとう阿里山の連山で標高3300メートルの丹大山(タンターシャン)の中に大木を発見しました。この檜は樹齢1500年を超える巨木で、しかも大変な山奥にあり、先ずどうやって搬出するかという問題が生じました。しかし川島氏から明治天皇と昭憲皇太后をおまつりする明治神宮と英霊をまつる靖国神社に奉献することを聞いた台湾現地の人々が、おおいに感激して積極的に協力してくれたそうです。

 道なき断崖に道をつけ、山を切り拓いて24里(96km)の山中を、運搬のために特別に作られたトラックに積まれた材木は、さらに鉄道で台中(タイチョン)・基隆(キーロン)へと運ばれ、昭和46年の夏東京湾に到着しました。

 この間地元の孫海氏をはじめとする台湾の人々、東和建材の富岡直衛社長、三井商事もご協力くださり、東京湾到着後8月21日の早朝、パトロールカーを先導にトレーラーによって明治神宮に到着、宝物殿前の池(北池)にいれて、十分に水蓄をおこない、4年後の昭和50年12月23日、みごとに完成、竣功奉告式が行われました。
   「しかし川島氏から明治天皇と昭憲皇太后をおまつりする明治神宮と英霊をまつる靖国神社に奉献することを聞いた台湾現地の人々が、おおいに感激して積極的に協力してくれたそうです。

 道なき断崖に道をつけ、山を切り拓いて24里(96km)の山中を、運搬のために特別に作られたトラックに積まれた材木は、さらに鉄道で台中(タイチョン)・基隆(キーロン)へと運ばれ、昭和46年の夏東京湾に到着しました。」


101

 ツアーの行動内容は目白押しで、こんなんで息が詰まらないだろうかというスケジュールであったが、その計画一つ一つに前後との相関関係があって、さらに短か過ぎず冗舌でなく合理的に組まれていた。これまで何度か訪れた台北ではあるが、九fenを除きどこも個人では行ったことのないところであったので、それぞれが新鮮であった。また、旅程のすべてに食事が組み込まれていて、ツアー参加の皆さんとビールや紹興酒を嗜みつつ食事をゆっくり楽しむことができた。

 1日目は、台湾料理店「欣葉」でのおしゃれでおいしい夕食の後、ツアーの一団は士林夜市観光に出かけたが、欣葉でツアーから離脱、タクシーで頂好商場に行き地元食品を買う。その後、忠孝東路四段のそごうの近くにあるお茶屋さんの和昌茶荘で台湾茶などを買い求める。和昌茶荘から林森北路に移動し、「李製餅家」でパイナップルケーキを買い込む。ここは毎日夜8時以降に商品が入荷するとのことで、いつも最後に訪れる店となっている。なお、日本の旅行業に関する制度から、ツアーでの旅行の際は行程中のすべてが旅行社の責任になるので、個人行動を認めることはできない決まりになっているとのことだったが、添乗員さんの計らいがあった。


九fen


茶芸館

  2日目は午前中、忠烈祠、中正記念堂と龍山寺の観光であったが、龍山寺での老若男女がお参りする姿を見て心を打たれた。次は台北101展望台へ行くが、その後はお楽しみの九fen観光である。九fenへは、お昼を鼎泰豊の小籠包を食べるために列に並んだこともあって午後遅くなったこともあって、現地に着いたころには夜の帳が下りようとするころであった。そのため基隆の港の夜景が一望でき、はるか海上には漁火も見え、そして九fenの街そのものの雰囲気も最高であった。大混雑の九fenで店店を眺めながら歩く。エキゾチックとはこのことを言うのだろうか。夕食は海悦楼での郷土料理という触れ込みであったがビールもうまく、ツアー参加者の紹興酒のご相伴にも預かり、すっかりいい気分となった。


台北国際花博覧会

 楽しみにしていた花博は、ツアーの最終日の3日目であった。ここも添乗員さんの、ツアーの参加者が好きだというパビリオンを一つはゆっくり見させてあげたいという計らいで、個人用入場券(安い団体用だとまとまって専用のゲートから入らなければならないので、時間がかかる)が配られ、集合場所と時間を決め、めいめい開門と同時に入ったのに、お目当ての「洋ラン」の展示場は2時間待ちの長い列となっていた。そのほかのパビリオンも同様の状況であったので、パビリオン巡りはあっさりあきらめ、花博会場を散策することとした。会場にはおびただしい花が飾られていたが、散策中に花博の目玉の「花」と言えばこれだといったものはなく、拍子抜けであった。しかし、花博に多くの人が訪れ台湾の人的交流が増進し経済活性化の一助になればご同慶の至りである。


花期の終わりかけのアツモリソウの切手 台湾でも希少種ということでしょう。

 再び市内に戻り、慶泰大飯店のレストランで広東料理に舌鼓を打つ。たいしたツアー料金も払っていないのに、そして少ないツアー参加者数なのに従業員の方々はとてもとても真心のこもった接待をしてくれた。その後松山空港に移動してチェックインし台湾側のガイドさんと別れ、出発を待つ。羽田空港でエバー航空機は着陸を失敗するが、再トライではスムースに着陸を果たした。

 今回の旅行の目的の一つに台湾の登山や高山植物に関する書物の購入があった。スケジュール的に本屋街には行くことができず、台北101の中の大きな本屋で探した。登山書や以前目をつけていたアツモリソウなどの植生に関する本は見つからず、外国では目に付いた本はとりあえず手にしておくべきと反省しきり。ただ、これほどストレスのない旅行をしたのもしばらくぶりであった。このツアーを企画したオーバーシーズ トラベルのH’zakiさんは普段は営業職らしいが、「このツアーは広告をどのように打つかという段階から念には念を入れて企画しました。」「エバー航空からは、ホテルのランクをもう少し上げるように言われましたが、この値段ではホテルだけはどうしようもありませんでした。」などと裏事情を聞くと、5万円弱のツアー料金で客を満足させて、かつ利益を産む努力に脱帽するばかりである。でも、添乗員さんたち、ごめんなさい。免税店でもお土産やでも買い物も両替もせず、足裏マッサージにも行かなくて・・・。

  

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