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赤指尾根(あかざすおね)から鷹ノ巣山
2009/12/14〜15


赤指尾根から霧氷をまとった登り尾根を見る


 1日目(12月14日)

JR奥多摩駅から西東京バスで鴨沢行に乗り,竹の花トンネルのすぐ先、深山橋バス停で下りる。そこは小留浦集落、と言っても既に廃屋となった3軒があるだけの集落である。廃屋の脇を抜けて陰鬱な杉林の中を流れる小さな沢筋を登る。だれも通ることがないような杉林の中に送電線がある。たどって行くと送電線の先は「清雲山 高修寺」という廃寺であった。


廃寺「高修寺」 手前がトイレ

 廃寺のトイレ脇から尾根に出る。1074.6mに設置された三等三角点から赤指山までの間も植林が多く、花が期待できるところではないがイワカガミが数株、また、植生調査が行われている場所が気になった。赤指山から先はしっかりした登山道となっている。蜂谷橋から千本ツツジに登る際に立ち寄る人が多いのだろう。赤指山へ行くまでの間に地図にはない(山の所有者本州製紙の)林道にぶつかる。しばらく林道を歩き途中で適当な場所を見つけて尾根に登る必要がある。

 標高1332mの赤指山から徐々に勾配がきつくなり、標高1660mで石尾根縦走路に出合う。もう少し登れば千本ツツジだ。石尾根を今日の目的地である鷹ノ巣山避難小屋に向け快適な水平道を歩く。奥多摩小屋まで行くという奥多摩駅から登ってきたテント泊装備の青年と言葉を交わす。間もなく夕暮れが訪れる。氷点下0℃ほどの気温だ。ウールのロングTシャツに半袖のTシャツを重ねて着てちょうどいい。霧氷が見られる。縦走路の途中に1か所水が出ているところがある。登山道に細い塩ビパイプが挿されて、ちょろちょろと水が流れ出ている。鷹ノ巣避難小屋の水場は小屋から200mの距離にあるから、ここで水を採っていくのがいいだろう。


きれいに使われている鷹ノ巣避難小屋

 鷹ノ巣避難小屋が見えた。ほどなく青年2人が鷹ノ巣山から向かって来て高台のベンチ周辺にテントを張る。小屋には誰もおらず貸切だ。夕飯は冬の山の定番、すきやき鍋。シュラフに湯たんぽを突っ込み、午後6時には寝てしまった。

 ガラガラ、ガッシャン。ガラガラ、ガッシャンと2重扉が開け閉めされる音がした。無言の男性2人がシュラフを広げている。時計を見ると午後9時だ。ヘッ電を点けているのだからこちらの存在が分からないはずはないのだが、相変わらず無言のままだ。

 どこから登って来たの?
    奥多摩駅から石尾根を登ってきました。
 何時に出たの?
    午前9時半に出ました。
 どうして遅くなったの?
    道に迷ってしまいました。
 音を立てていいから、暖かい飲み物でも作ったら?
    いいんです。

 奥多摩駅から石尾根を通って鷹ノ巣山までは、6〜7時間もあればいいとこ。一本道の尾根で道標も整備されている。5時間もさまよっていたとは信じがたい。なかなか寝付けられなかった。



鷹ノ巣山から七ッ石山

  2日目(12月15日)

 遅刻者に眠りを妨げられてしまった。午前5時には出発するつもりが同5時半に起きることになって、結局午前6時半に小屋を出た。外気はマイナス5℃、防寒手袋をしているとはいえ血行が促進されず手がかじかむ。早朝の目覚めの悪い体には、鷹ノ巣山への登りはきつい。

 鷹ノ巣山から奥多摩駅までの標高差は1400mもある。下っても下ってもまだ下る。水根山、城山、将門馬場、六ッ石山分岐、狩倉山、三ノ木戸山などを巻いて稲荷神社を経由し奥多摩駅に着く。入院後初めての泊りがけの山登りだった。


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