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馬蹄形テント泊縦走 白毛門~朝日岳~蓬峠~谷川岳
2008/10/9~10

2008/10/21~22 万太郎山~谷川岳~西黒尾根の縦走記録はこちら


10月9日(1日目) 


松ノ木沢ノ頭から蓬峠方向を見る

 深夜の関越自動車道から水上を抜け、湯檜曽川沿いの林道に入って仮眠に就いたのは、もう午前3時近くになっていた。前日もあまり寝ていなかったので、予定の時刻には起きることができず、6時になってやっと目が覚めた。水の量が不安だったので、土合駅で水を汲んだが、錆をたっぷり含んだ茶色い水である。万一のときの予備としてザックに詰める。車を土合橋の駐車場に停め、おにぎりを頬張りながら身支度を整える。東黒沢に掛かる橋を渡るとすぐ急登が始まる。標高は750m。まだ目覚めていない体では調子が出るはずもなく、あえぎながら松ノ木沢ノ頭(1484m)まで2時間10分、我慢に我慢を重ねる。 

 駐車場には平日と言うのにあれほど車があったというのに、人の姿は見えない。ようやく松ノ木沢ノ頭に近づくころ、がやがやと声が聞こえる。圧倒される一ノ倉沢の風景を見て高揚した3人パーティーであった。

 それまで木々に遮られていた展望が急に開けるところが松ノ木沢ノ頭だが、一ノ倉沢とともに、白毛門や谷川岳に続く稜線が見渡すことができる。

 ジジ岩ババ岩がどれかも分からないまま、白毛門の頂上(1720m)へ一直線に登る。ようやく体もなじみ、景色もいいことから足取りも軽い。

 

 白毛門から笠ヶ岳までの紅葉に彩られた稜線は、笹原になだらかなで歩きやすい道が付けられていて、まるで散歩道だ。コルからひと登りして笠ヶ岳の頂上(1852m)に立つ。ここまでの単純な標高差は1100ある。笠ヶ岳から朝日岳へと向かう稜線を少し下るとすぐに「笠ヶ岳避難小屋」がある。中は綺麗に使われていて、木の床には銀マットが敷かれている。4人ほどなら(避難場所としては)快適に過ごすことができそうだ。


紅葉の稜線から続く笠ヶ岳と小烏帽子、頂上が雲に隠れる大烏帽子

 小烏帽子への登りに2人が取り付いている。笠ヶ岳の頂上からは4人が下りてくる。4人は割とお年を召しているが、意気軒昂で「馬蹄形縦走です。夕べは清水峠に泊まりました。水場も近かったですよ。」という。清水峠というなら、ザックが大きくないから避難小屋に泊まったのだろうか。なお、水場は「監視小屋の前から土合側へ3分の小沢で得られる(山と高原地図「谷川岳」)」とのことだ。

 朝日岳の頂上(1945m)には夫婦が展望を楽しんでいる。もう正午を過ぎているので、石に腰を掛けて食事をし始めると、「×○※■△の座り方をして食べるからこぼしたまま行くんだ。」とかなんとか言っている。はぁ~。せっかくOSPREYのかっこいいザックを背負っているのだから、ほかに誰もいない山の中で大きな声でそんなことを言わなくてもいいのに・・・。

笠ヶ岳避難小屋 清水峠前のコブ 冬路ノ頭からの監視小屋 白崩避難小屋

 今日の幕営地までは、あと半分も行程が残っている。先を急がなければならない。朝日岳のすぐ先の宝川温泉へ下りるルーを示す標識があって、その先には朝日ヶ原の池搪が広がる。ここは高山植物が多く見られるところだと言うが、今の季節は涸れたイネ科の草が広がるだけである。その標識には「水場スグ」とマジックインキで書かれている。 20分ほど休んだ。しばらく木道を歩いて、巻き道になって稜線の脇をたんたんと清水峠に向けて進む。巻機山への分岐となる「ジャンクションピーク」には立派な道標があって、国境稜線への道しるべになっているが、一歩国境稜線方向へ進むと笹薮となっている。地図でも越後烏帽子(地蔵ノ頭)から先、「巻機山までは低木の藪が多い」と書かれている。ここは一度歩いてみたいところだ。

 途中、朝日岳で見かけた夫婦を追い抜く。ここは、馬蹄形縦走路で唯一、登山道脇が手入れされていない場所だ。背の低い笹が登山道を隠している。盛んに汗を流しながら歩いて、清水峠(1448m)のJRの送電監視所という立派な山小屋風の建物に着く。その50mほど手前に「白崩避難小屋」がある。太い材木を使った頑丈な作りとなっていて、内部は2段になっている。馬蹄形縦走時の貴重な避難小屋であるにもかかわらず、ゴミが散乱し、水の入った使い古しのペットボトルが何本も放置されている。内部の看板に「ゴミで汚れていることについての苦情は承らない。」旨書かれている。あまりにも当たり前なことだ。

(白崩避難小屋の水場=送電線監視小屋の進行方向右手、新潟方面に4~5分下ったところにある。)

花はもう何もなくて 蓬峠への路 1596m付近 蓬峠土樽方向の水場の景色

 七ッ小屋山(1674m)に向かって登り、穏やかな笹原の稜線を下って蓬峠に向かう。蓬峠ヒュッテはなかなか見えないが、GPSでヒュッテまでの距離を測るとあと数百mと出る。ヒュッテは小さなコブに隠れていた。幕営代300円とトイレ使用料100円を支払ってテントを設営する。今日の水の消費量は1リットルほどで、土合駅で汲んだ水もそのまま残っているが、水場も見てみたいので土樽方向へ下りて、冷たい水を汲んでくる。いつものとおりの酒ですっかり眠気を催し、6時にはもう奈落の底に落ちてしまった。


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