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南アルプス 晩秋の光岳(光岳の冬季小屋を使う)
2016/10/11~14


茶臼小屋から


 10月12日(水)2日目  
茶臼小屋07:50~12:12光岳小屋~光岳~12:59光岳小屋(行動時間06:06 休憩時間01:02) 


茶臼岳から光岳方向を見る

 光岳へ向かう2日目の今日の行程は約6時間を見込む。休憩時間は入れていない。同宿の人たちは早々に茶臼小屋を発ったが、ちょっと出遅れたためこの小屋で御来迎を待つ。静寂で荘厳な朝を迎える。この時期に来てよかった。忘れ物などなかったような気分の中、茶臼岳へと進む。


仁田池に映える茶臼岳

 夏場の喧騒が嘘のように(と言っても北アルプスに比べれば入山する人は比べるべくもないほど少ないのだが)急に身を翻されたように人のいなくなった南アルプスの稜線は、人の姿を見ることがない。(というような言い方もできるが、同宿者のスピードに追い付くこともできず出遅れただけのことかも。)


仁田岳から上河内岳・聖岳

 これまで4回歩いた光岳までの稜線であるが、希望峰から分けて行く仁田岳には一度も寄ったことがない。今回は、時間が十二分あることからと仁田岳に登ることにした。登ると言っても起伏の少ない尾根を歩けばその先に仁田岳はある。大した山ではないだろうと高を括っていたがなんのその。その展望は得難いものであった。また、茶臼岳~光岳の間は樹林に覆われているところが多く、展望が得られない中を歩く場面が多いが、展望のほかにハイマツが稜線から仁田岳までを覆っていてどことなく北の山を髣髴とさせてくれ、違った雰囲気を感じさせてくれるところであった。

仁田岳から中央の凡庸とした希望峰 右に茶臼岳 中央奥に上河内岳 左奥に聖岳

 希望峰に戻り光岳へと続く稜線に復する。途中、昨晩光岳小屋に宿泊したという男性に会った。聞くと昨晩は光岳小屋には、(200名山の)池口岳の方から来た3人が同宿していたとのことであった。今日は茶臼小屋に泊まった人は光岳を往復するだけで、あとは畑薙まで下りるか茶臼小屋にもう1泊するかという人ばかりだったので、光岳小屋冬季小屋は希望の通り独占しての利用かと期待を胸に先に進む。 


希望峰から先に進んで

 三吉平で休憩し、エネルギーを補給する。ここからは標高差約200mほどのガレ場を登ることになり、いつも最後の力を振り絞る踏ん張りどころである。そこをやり抜けると静高平で水を得ることができる。(晴天が続けば涸れることもあると山地図には書かれているが、これまでもそのようなことはなかった。)静高平でたっぷりと水を汲んでから、すぐ先のイザルヶ岳の分岐にザックを置き、イザルヶ岳を往復してみる。山頂はとりたててこれと言った特徴のないところであり、しいて言えば富士山の見晴らしがいいということか。


静高平の水場

 イザルヶ岳から下りて光岳小屋に向かうと、カラフルな服装の3人が小屋の外にいるのが見える。3人の姿はすぐ見えなくなった。光岳小屋の冬季小屋への階段を上り小屋の中に入ると、先ほどの3人がいる。挨拶をしても振り向くのは1人だけで、その一人とも会話が弾まない。畑薙ダムから大根沢山と信濃俣を経由して小屋に到着し2日目に加加森山を往復したということなので、この小屋には2泊お世話になったようだ。その「1人」はどうもガイドさんのようで、道理で他の2人は控えめにしていたのかと合点がいった。3人は途中でビバークすると言って小屋を発ったが、その周辺には汚れが残った。

 
イザルヶ岳こやから 光岳小屋

 光岳小屋は、他の山小屋と違って冬季小屋の使用に際して協力金を箱に入れて置いてほしいというようなことをしていない。(していないことがいいとか、そのようなことを肯定したり追認したりはしない。)言いたいことは、これほどきれいな山小屋を冬季小屋として全面開放してくれているのに、協力金にも言及もしていないのに、真新しい雑巾を用意してくれているのに、お客?を引導して2泊もしたというのに、さらに3日目は正午ごろまで小屋を使っていて出立したのだから、自分の寝床の周縁のゴミが自分の物であろうとなかろうと、目配り気配りしていただけていたら爽やかなガイド登山の皆さまだなぁと思えたのにと残念なことではあった。


光岳小屋 左手にイザルヶ岳

 そのようなに婉曲な言い回しをしたが、綺麗な小屋は(汚い小屋でも)きれいに使いたいものだ。その後光岳を往復してから冬季小屋の2回の富士山が見える北側のスペースに陣取り、就寝体制を整えてからご褒美のビールと日本酒をほんの少し嗜む。その後、聖平小屋から来た人、畑薙ダムから来た人など総勢4人が小屋の人となった。


光岳小屋内部 宿泊部分はすべて冬季小屋として開放されいる

  今回で5回目の光岳である。茶臼岳(茶臼小屋)からの日帰り往復が2回、テント泊が1回、そして冬季小屋泊が2回目である。光岳自体にはその頂上に立つことに取り立てて面白味はないと感じている。それよりも、この小屋の管理人さんご夫婦が心を込めて管理している小屋にお世話になること、素晴らしい環境と手入れが十分になされているテント場を使うことに面白さがある。人の少ない初冬や初春にこの稜線を歩いていると、本当の山歩きをしているような錯覚に陥る。冬が間近な寒い朝に樹林帯で落としたサーモスのポットが翌春の残雪期に光岳小屋に置かれていたことがあった。


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