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八ヶ岳/本沢温泉から天狗岳 (2016)
2016/ 1/ 7


根石岳


 3月 7日 (日) 

 小屋のようにぬくぬくというわけにはいかない標高2,200mの真冬のテント泊であったが、快適な一夜であった。テント内の結露もそれほどではなく、また、通常シュラフとシュラフカバーの間で発生する結露も少なく、シュラフが少し濡れた程度だった。真冬の厳寒の中でのテントの撤収作業は、細かい作業もあることから、手の防寒を主眼にした手袋を用いることは不便極まりない。かと言って、10月初旬の北海道日高山脈・カムイエクウチカウシ山でのテント設営時に経験した凍傷(しもやけ)になっても困るという対応に難しさを感ずるのであった。今回は、AXESQUIN のライトシェルウォータプルーフグローブにスマートウールの極薄のインナー手袋をプラスしてテントの撤収作業を試みてみたところ、予想通りまあまあの使い勝手であり、手が濡れたり必要以上に冷たくなることはなかった。SQUIN 


根石岳

 そうは言っても、パッキングを終えるころには手はすっかり冷え切ってしまっているので、本沢温泉を出発するときには、エストニア製のウールのミトンにヘリテイジのオーバーグローブを着用することでほどなく手は温かくなった。本沢温泉から夏沢峠に向かう道もノーアイゼンで問題ない。樹林帯がいったん、ほんの少し切れたところから白砂新道(冬季は通行禁止)方向の尾根筋を越して浅間山が見える。そして、それまでの鬱蒼とした樹林帯から少し開きかけた景色も見える好ましい道となってくる。


硫黄岳 奥に赤岳

 夏沢峠に出る。モモンガとヤマネが棲むというやまびこ荘の陽だまり(と言っても厳寒)で小腹を満たし箕冠山(みかぶりやま)に至る。箕冠山からオーレン小屋に至る道もよく踏まれている。箕冠山から根石岳方向に少し下りると根石山荘が見える。ここの鞍部は予報通りの強い風が吹き抜けている様子が見て分かる。登ってくる人が「すごい風だったよ。ゴーグルを着けないとね。」と言う。


東天狗岳と奥に西天狗岳

 その言葉通り、鞍部は風衝地となっていて風がなんの抵抗も受けずに好きなように通り抜けている。トレッキングポールで体を支えながら進む。そのうち、あっという間に体の熱が奪われていく。それもそのはず、スマートウールのロングのTシャツの2枚重ねの上に、ファイントラックのポリゴン4フーディ着ているだけなので、風が突き刺してくる。5本指の防寒グローブも指を保温してくれなくなった。天狗岳の頂上手前の傾斜が少しあって風が弱くなったところでニュウモラップを着込み、インナーグローブは再びウールのミトンにする。


天狗岳頂上から南八ヶ岳の風景

 寒い時のウェアは難しいし、荷物になる。動けば暑いし、風に吹かれると極端に寒くなる。足はザンバランのローツェGTにスマートウールの薄手を履いている。薄手を履いている理由は単に靴の作りが足に合わず、少し窮屈なところがあるからその対策である。この靴は残雪期用ではあるが、−20℃の徳澤園の朝でも、その後に登った蝶ヶ岳でも大丈夫だった。


天狗岳から下る

 東天狗岳は、人でいっぱいになっている。多くの人が黒百合ヒュッテから登って、また下りていく。西天狗を往復する人も少なくない。冬場の行くところが限られている中で、それだけの歩きでも、ここへ来る価値は十分にある。温泉に入って、テントに泊まって、烈風にさらされて、優れた展望を楽しんで、また温泉に入って・・・。贅沢三昧の冬の山である。


西天狗岳

 天狗岳を下りて、中山峠に向かう。しらびそ小屋から中山峠までの道を歩いたことはないが、トレースがあったので歩くにもそれほどの危険な場所ではないのだろう。中山峠の手前の、背後に樹林があって風がよけられる開けた岩場で簡便な昼食を摂る。再び樹林帯に入り中山峠に着く。中山峠からしらびそ小屋への下りは、ちょっとこれはひどくない?というほどの急傾斜である。ここもノーアイゼンで下りる。


中山峠への樹林帯に入る前に天狗岳

 しらびそ小屋に着くと、煙突から青々した煙がたなびいている。あ〜、中に入ってストーブにあたりながらコーヒーでも飲んだら極楽だろうなぁ。そんな甘ちゃんな考えはすぐさま払しょくして戸外でお腹を満たしたら、すぐさま出発する。稲子湯でゆっくり温まればいいんだ!中央高速と違って、関越自動車道は日曜日の夕方であってもそれほどの渋滞にはならない。けれど、明日からまた仕事かと考えると急に疲れが出てきてしまった。


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