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東大演習林(大血川)から酉谷山避難小屋へ
2012/12/14〜15


酉谷山避難小屋


 12月14日(金) 1日目  

  師走の早朝の金曜日、都内のいつもの道路はかつて経験したことのないほどの大渋滞です。おかげで大血川の登山口に到着したのはもうお昼が近いと言ってもいいほどの時刻になってしまいました。車の外で身支度していると、崩落斜面の工事か所を巡回・確認した県の土木事務所の人が車の中から挙手の礼をして通り過ぎて行きます。いつもは釣客でにぎわっている大血川渓流釣り場が冬季閉鎖となっているので、一部オープンとなっているPを拝借し、東大演習林へと入ります。 


大血川から登った上部の緩い斜面の踏み跡

 東大演習林へと続く滝谷の林道は、ゲートのすぐ先が出水により崩壊し、今も工事中です。すっかり葉を落とした木々の間から山の景色を見ながら上流へと進むと、熊鈴の音が追いかけてきます。先ほどの人とは別の職員さんが徒歩で林道を確認しながら、上流へと進んでいるのです。「どうしてここの道を辿るんですか。」と聞かれたので、「人がいなくて静かなので気に行っているんですよ。」と答えたのをきかっけに話が弾みます。秩父の山のことを教えてくれたYさんと同じ集落で生まれ育った人でした。


ブナ

 この人は、クナイ沢橋から先に崩落斜面を行くと山道が続いていることは知っていましたが、その先にどのような山があるのか、また「酉谷山」のことは知らないとのことでした。「お気を付けて!」の言葉に送られて斜面に取り付きます。今回は、大々的にブルーの非粘着テープが目印として付けられています。登山者が着ける貧乏くさい荷造り用ビニール紐や律儀な巻き方のビニールテープとは違って、その羽振りのよさから林業作業用のものと思われました。案の定、このブルーのテープは上部の植林地を抜けると一切付けられていません(ので、特に下りのルートファインディングにはご用心あれ。)


スギゴケ

 好ましいブナなどの大樹に挨拶しながら急斜面を登ります。崩壊寸前の急斜面をジグを切って登りますが、このルートは降雪後には谷の深さから、いったん落ちたときのリスクの重大さを容易に想像させてくれます。(ということで、2012年は今回でこのルートを使うのは終わりとすることに決めました。) 


針葉樹に覆われた小黒 樹林で視界はまったく利かない 

 東大演習林の看板のある熊倉山←→小黒の分岐で小休止したのち緩斜面を登り小黒に向かいます。ここから先はうるさいほどテープが乱雑に輻輳していたのですが、最近は要所要所にだけ付けられていてすっきり爽やかです。ただ、小黒周辺は道迷いが多いので、(下りでは)鬱蒼とした樹林に惑わされることなく、(地図とコンパスとは言うものの)踏み跡とテープを丁寧に見定め、小黒から(熊倉山方向へ)は、「左に曲がりながら下る」「平らになる」「古いプレートを右に見て下る」「平らになる」「左に下らないで右手に小黒からの尾根を見ながらまっすぐに進む」ことで東大演習林の看板のある大血川←→熊倉山の分岐に出合います。


小屋

 小黒から大血川峠に下ります。大血川峠から酉谷山北斜面にかけて雪が残っていて、前日あたりの靴跡が一つあります。ようやく着いた酉谷山の頂上には、酉谷峠(長沢背稜)へと向かう新しい靴跡が雪の上に残っています。その足跡は長沢背稜への下り口で見えなくなりますが、長沢背稜から酉谷山避難小屋へ下りる道には落ち葉や枯れ枝が蹴散らされた跡がないので、今日は小屋の独占使用は決定です。


けっこう細かい砂が容器の底に溜まっている 別容器でしばらく沈殿させてから使う

今の酉谷山避難小屋の一番の問題点は、水場です。排水枡の工事で水が枯れかかっていました。しかし、非関係者の知恵と努力である程度水量が回復してきましたが、今回もある程度の流れがありました。ただ、それは夕方の外気温が1℃の今日のことであって、最近−10℃程度の日が何回かあったはずですが、そのような日は流れないこともあると頭の片隅に置いておく方がいいでしょう。

 小屋ですっかり着替え、暖かくして酒宴に入ります。一人のことですから午後6時にはやることもなくなってシュラフに潜り込みます。


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