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酉谷山避難小屋からヨコスズ尾根を下る
2012/ 5/ 5〜6


滝入ノ峰のミツバツツジ


 5月6日・日曜日 (2日目) 

 小屋の皆さんは5時前には全員起床し食事を手早く済ませています。予定では芋ノ木ドッケ経由で三峰口に下りることから、そんなに悠長にしているわけにはいかないので、今日はご飯も炊かず、簡単な朝食にしようと思っていました。しかし、空を見ると、天気予報より早く雨が降りそうな雰囲気です。外は明るいけれど湿っぽい感じがするのです。予定を変更して一杯水避難小屋を経由し、早めにヨコスズ尾根を下りるのが正解だろうと考えます。バスの時間から計算すると、朝食を作る時間と出発前の掃除の時間が取れそうです。


じっくりと朝食

 外で野営していた2人もゆっくりしていますが、そのうちに空が急に黒くなってきて、大粒の雨を降らせます。ほどなくして雨は止みましたが、レインスーツにレインハット、スパッツのいでたちで小屋を後にします。そのころには空に雨雲はなくなりいい天気になってしまいました。取り敢えず一杯水避難小屋まではこのまま行こうと歩きますが、レインスーツ姿でもあまり汗をかきません。寒気は入ってきているようです。天気予報は、昼ごろに雷が発生し、夕方から本格的に雨が降ることを伝えています。


酉谷山避難小屋

 稜線で昨晩一杯水避難小屋に泊まったという人に会います。6人ほどだったそうです。芋ノ木ドッケへのルートを変更したことから、ならばといつもは巻いてしまう三ツドッケに登ります。ここはシロヤシオとアカヤシオのプロムナードになるところです。開花状況を確認しますが、蕾は固く、花にはまだまだ時間を要するようです。


三ツドッケの頂上へ

 一杯水避難小屋で休憩し着替えます。この小屋もとてもきれいに掃除されています。小屋の周辺にカラマツの幼苗が生えています。暖かい日差しを浴びたカラマツの芽吹きが優しく感じます。日曜日なのでスズ尾根から上がってくる人がいてもよさそうですが、ひっそりとしています。 


一杯水避難小屋

 天候が急変してもいいように早めに下りることにはしていますが、バスの時間を考えると巻き道を通らず、滝入ノ峰を通って岩場のツツジの様子を見ながら行っても十分に間に合います。(東日原のバス停に着いた後、雷鳴が轟き大粒の雨が叩き付けるように降ってきたので、三峰口へのコースを変更したのは正解であった。)芽吹き始めたスズ尾根をしばらく下りて行くと鈴を鳴らしながら走って登ってくるトレラン姿の人とすれ違います。汗をびっしり掻いています。この人はすれ違いながら「おはようございます。」と明瞭な日本語で挨拶をされました。この時は、5月12日に長沢背稜からタワ尾根を下りることになっている大集団のトレランのことが頭に浮かびました。


タチツボスミレ

 うっすらと萌え出した木々の合間を縫う巻き道から離れて滝入ノ峰に至る尾根に取り付きます。とたんにツツジの群落になりますが、まだ一つも花を咲かせてはいません。さらに標高を上げて行くととたんにミツバツツジが鮮烈な紅い色の花弁を広げています。木によっては息を呑む鮮やかさです。


ツツジも咲いて ここから巻き道を離れ尾根に

 この周辺は気分のいい自然林で、わずかに芽吹いた新緑の中にミツバツツジが北斜面を覆っています。わずかに環境が違うだけでこれほどの差があるというのも不思議ですが、思ったとおりのミツバツツジの群落に出合えたことで嬉しさがいっぱいです。その先にもミツバツツジが続きます。次第に標高を下げて行くと、ミツバツツジの花は北斜面のあまり陽が届かないところに多くなっていきますので、そろそろスピードを上げて下りるようにします。


思ったとおり ミツバツツジが満開

 尾根が巻き道と合わさるとその先は植林地で見るものもありませんので、淡々と東日原の集落に向けて下りて行きます。バス停が見えると、その前に酒屋さんがあるのでバスを待つ間のビールを楽しみに急斜面に付けられた道を下りることにします。バス停には柳沢峠からテントを担いで2泊できたというバックパッキングスタイルの人、雲取山からタワ尾根を下りてきたという人、天祖山を経由してきたという人、酉谷山避難小屋で隣り合わせなになった青年、雲取山から石尾根を通り稲村岩を下りてきたという女性2人などに続いて、ヨコスズ尾根ですれ違ったトレランの人も到着です。


古木と・・・

 バスを待つ間にこれらの人とあれこれ話が弾んだのですが、トレランの人にコースを聞いたところ、一杯水避難小屋から酉谷山を経由し、タワ尾根を下りてきたというのです。そしてコースタイムはなんと3時間30分というのです。その彼(フランス人ということです。)は、5月12日開催の奥多摩トレラン大会に出場するための練習でタワ尾根を走ったのは今日で2回目だそうです。「タワ尾根は難しいコースなので練習しないとだめですね。」といいます。この人(「多摩川マラソン日記」のブログをお持ちです。)のようにきちんとコースを事前に確認しながら参加する姿を見ると理解もできないわけでもありません。試走もせず大会関係者が荷造り用のビニール紐で醜くベタベタ結びつけた目印を辿って、「ただ走るためにどこでもいいから走る」ようなものなら、わざわざ小鳥がさえずるだけの静寂のタワ尾根を使わないでほしいのです。


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