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いやはや大変です 長沢背稜からタワ尾根に (2013)
2013/ 1/25〜26


酉谷山避難小屋から小川谷


 1月26日(土) 2日目  

  こんなに(山で)熟睡したのはしばらくぶりである。いくらよく寝たと思ってもふつうは何回かは目覚めているものだが、今回は真夜中に1回、ランタンの光がまぶしくて起きてしまっただけで、次に目が覚めたら6時が過ぎていた。夕方の小屋の内外の温度差が14℃もあって暖かく、それに湯たんぽの効果が相乗して気持ちよく寝ることができた。幸せの極致である。朝の小屋の温度は0℃、小屋の外は−12℃となっている。唯一の気がかりは水場の流れだ。

 
朝陽を浴びて

 昨晩、凍えながら導水した水場は、ラバーシートの敷設の効果があってこんな寒さにもかかわらず順調に流れている。この流れは、過去の冬季の水の流れに比較してもまったく遜色がない、というより上等だ。これまでは、冬季間はポツポツという程度の時もあったが、何と言ってもラバーシートによる効果は絶大であった。(誰かは知らないが、依然小屋を利用して水が流れないことに業を煮やしたのか、この雨樋を引き抜き放置した紳士がいたようだ。その気持ちは分からないでもないが、水場を損壊し腹いせをしても仕方がないだろう。)


水場はいつまで?

 食事をしながら帰路を考える。今日は一杯水避難小屋を経由しヨコスズ尾根を下りる計画だが、夏道で一杯水避難小屋までの行程は2時間である。一方、タワ尾根合流部から酉谷山避難小屋までは夏道で1時間のところを2時間もかかっているので、その計算からすると一杯水避難小屋までは4時間掛かることになる。ならば昨日の自分の足跡を使おうと、来た道を戻ることにしてのんびりと、ゆっくりと朝の時間を過ごす。


掃除完璧

 懇ろにトイレと小屋の掃除を済ますともう9時近くになってしまった。小屋の中に朝陽が差し込んでこのままもう一泊したいような雰囲気だが、意を決して長沢背稜に出る。いかに自分の足跡があろうと、雪道というものは時間がかかるものである。結局、昨日よりもたった15分短縮できただけの1時間45分も要してタワ尾根の分岐点に出る。ここで足のストレッチをして、それからは一切休むことなく進む。


長沢背稜

 昨日のタワ尾根を登ってきた自分の足跡を見ると、途中で休んだ形跡もなく続いている。その足跡を辿ってどんどん下りていく。ひょいと前方を見やると2人組の人たち(「根性なしの山登り」さん)が登ってくる。「どこまで行くの?」と聞くと「ウトウノ頭までですが、あとどのぐらいでしょうか。」と聞く。たぶん、ウトウの頭まではあと3〜40分の距離だ。「この足跡はあなたのものでしょうか。大変助かりました。」と感謝される。篶坂ノ丸で手製の山頂標識をカメラに収めていたら、その2人が下りてきているのが見える。強風が次々と尾根を通過しているし、岩場の急斜面を見ると撤退する気になるのも分からないではない。


ウトウノ頭

 今回、ヨコスズ尾根を回避した理由の一つに、滑落事故がある。過去にヨコスズ尾根で事故があり学生を引導した教師が滑落死している。登山道を少しでも踏み外すと夏でも100m以上は落ちるところであり、まして雪が乗った冬ならばまさに奈落の底に落ちかねない。そんなわけでタワ尾根を戻ったが、一石山から先、燕岩の手前からの北斜面も気を抜くことができないところだ。そんな場所をクリアして一石神社に下りたち東日原に向かう道すがら、すれ違う若いカップルが「こんにちは〜。」とあいさつをくれたり、青年があいさつしながら通り過ぎていく。こんな人たちが今の社会を支え、これからの社会を背負っていくんだなと思うと気持ちが軽くなる。


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