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仙元尾根から酉谷山避難小屋へ
2013/ 2/22〜23
七跳山付近から見た酉谷山避難小屋
■ 2月22日・土曜日 (1日目) ■
2013年の冬は例年より寒く、雪も多い。奥多摩の山はまだまだ春にはほど遠く、10日ほど前の稜線直下の酉谷山避難小屋での気温はマイナス11℃であった。しかし、秩父市街の気温が10℃ほどあった日が2月になって数日あったことから、標高1200mの高地に咲くスプリング・エフェメラルに何らかの兆候はあるのではないかと、1日目は仙元尾根から酉谷山避難小屋を目指し、2日目に七跳山から大ドッケに向かうこととした。
下山者の足跡が残っている
2013年に入ってから何度か大雪に見舞われた秩父・奥多摩の山の稜線である長沢背稜に出るのに、仙元尾根を使うということは相当の時間と体力を必要とするだろうと、登山口である浦山大日堂を遅くとも午前8時に出発することとして時間を計算・計画した。一杯水避難小屋の通過時間は遅くても午後3時30分以前とし、それ以降になるときは同小屋に宿泊することとした。当日の秩父市街の気温はマイナス6℃であり、登山口では−8〜9℃まで下がっていたものと思われる。
鉄塔から三ツドッケ
浦山大日堂前の駐車スペースに着くと、これから仙元尾根の東電の鉄塔工事をするという若い作業員の方が挨拶をして話しかけてくる。「稜線まで出るんですか。すごいですね。お気を付けて登山を楽しんで下さい。」と言いながら、この方たちは先発し仙元尾根に取付いて行く。少し遅れて後を追う。尾根の取付きからの急登の道は完全なアイスバーンとなっていて、作業員の人たちはスパイク付きの長靴だからスイスイと登って行く。
仙元峠は間近
相当遅れて鉄塔付近で伐採作業をしている作業員の方がヘルメットのバイザーを外して、「お気を付けて。」と見送ってくれた。その作業の場所から少し登って3番目の鉄塔にさしかかると、もうその先には明瞭な足跡はなかったが、下山に使った一人分のものがところどころに見え隠れしている。ただ多くは吹き溜まりによって消されている。
仙元峠から一杯水方向
この尾根は自然林が少なく、登山道の大部分が植林で覆われている。したがって展望はあまり得られず、常緑樹が主体のため日差しも届かないところが多い。よって行程の4時間の大半は、ただ仙元峠に着くまで黙々と歩くしかない。ときたま道が分かれるところもあるが、そんな時は尾根に上がるほうを選んでいけば間違えようがない。
大栗山方向
仙元尾根の雪は、予想していたより少なかったが、それでも仙元峠手前の大きなコブから下って鞍部、そして仙元峠がもう少しというところまでは深い雪に覆われている。それでも、ほとんど休憩を入れないで峠まで約4時間で登り切ってしまった。ところどころに残っていた踏み跡は、蕎麦粒山方向から延びてきており、一杯水方向への稜線に足跡は一つもなかった。蕎麦粒山からの稜線の下に付けられた登山道に合わさると、一杯水方向からの真新しい踏み跡が2人分あって、吹き溜まりを通過するのに楽をさせてもらう。
どうにか明るいうちに酉谷山避難小屋へ
一杯水避難小屋手前の水場(枯れているor凍っている)を通過して間もなく一杯水避難小屋に到着するが、タイムリミットとした午後3時30分を2時間以上も残している。そこで大休止(30分)を取ることとして、昼食にする。間もなくヨコスズ尾根から登ってきたという単独の方が2人相次いで到着した。いずれも酉谷山避難小屋までとのことであったが、1人はここでリタイアとなった。先行した単独者の足跡を追うとその下に新しい足跡が残っていて、タワ尾根などから登ってくる人があったら(小屋の適正収容人数は5人程度だから)まずいかなと思いながら足を進める。ハナド岩で休憩中の先行者を横目に先に進むが、ふくらはぎやアキレス腱が悲鳴を上げてきたので懇ろにストレッチを施した上で進む。
酉谷山避難小屋
思ったより雪が少なく、夏道で2時間10分のコースタイムのところを、2時間35分で酉谷山避難小屋に到着する。小屋では一番目に長沢背稜に足跡を付けてきた男性が一杯やり始めているところだった。おしゃれな色のアウターを着込んで血色のいい若々しい顔は同輩?かと思ったが、2歳年上のベテランさんだった。遅れて到着したのは現職58歳のベテランさんで、お二人とも多くの山を歩いているほか、ジャンダルムも登ったということで話が盛り上がった。なお、現職さんはこのホームページを愛読してくれているということであった。
19時37分の酉谷山避難小屋と三多摩の夜景
持ち合わせのアルコールが切れ焼酎をいただいたりしているうちに夜の帳もすっかり下りた。先着の方は明日は夜明け前の出立ということで眠りに就いたので、外で夜景を眺めながら夜風(マイナス9℃)に当たる。プリムスのマイクロランタンを灯した小屋はあかあかとしている。最近は、徹底してザックの軽量化を図っているが、冷たい感じのするLEDの灯りだけでは落ち着かないので、ぬくもりのある灯りが欲しくてガスカートリッジとともに持ってくることにしている。これ二つで約600gが余計になるが、厳冬の山で湯たんぽとともに欠かせない。2人ともかすかな寝息を立てている。湯たんぽ入りのシュラフに潜り込むと瞬く間に意識がなくなったようだ。
往路(1日目) | 復路(2日目) | |||||
着 | 地点 | 発 |
着 | 地点 | 発 | |
浦山大日堂 | 0815 | 酉谷山避難小屋 | 0810 | |||
1100 | 大楢 | 1100 | 0920 | 七跳山 | 0930 | |
1205 | 仙元峠 | 1205 | 1025 | 大平山 | 1035 | |
1315 | 一杯水避難小屋 | 1345 | 1110 | 大ネド尾根分岐 | 1115 | |
1435 | ハナド岩 | 1435 | 1120 | 群落地下降点 | 1125 | |
1520 | 七跳尾根 | 1520 | 1140 | 群落地 | 1150 | |
1620 | 酉谷山避難小屋 | 1415 | 浦山大日堂 | |||
所要時間 | 0805 | 所要時間 | 0405 |