[HOME][1日目][酉谷山避難小屋宿泊記録一覧


酉谷山避難小屋からふたたび大ドッケへ (2013)
2013/ 3/15〜16


フクジュソウ (2013)


 3月16日(土) 2日目  

  同宿の人は、予定どおり3時に起き5時には雲取山へと出発して行った。今日は峠ノ尾根を下りる予定であったが、これほどの陽気だと大ドッケのフクジュソウは早いうちに花びらを広げてくれるだろうと、昨日のルートを辿って下山することにした。小屋はいつものようにある程度きれいに保たれているが、どうしてもトイレは足元が不如意なお方が多いと見える。ということで出発前に勤労奉仕をし、最後に開け放った窓からの最高の富士の眺めを堪能してから小屋を出る。

 
タワ尾根と富士山

 いつもは、酉谷山避難小屋ライフを楽しむためゆっくりするのだが、今日は少し早めに出ることにした。それは大ドッケでツアーの軍団や、山の会などの集団登山とかち合わないようにするためだ。新ハイキングをはじめとする巨大な山の会は1回に何十人も動員するので、静かなうちにフクジュソウに対面する必要がある。とは言いながら、あまりにも平和な大平山では10分間も休憩してしまった。まだ気温は3〜4℃なのに無風のぽかぽか陽気に誘われてしまった。


群生地

 大ネド尾根の分岐から下って、スズタケの藪を下る。急斜面は落ち葉の下が凍っていて、何度も足を取られる。どうにかジグを切ることができる斜度になってしばらくすると黄色い絨毯が見えてくる。思ったとおり誰もいない。昨日とは反対の周縁を見ながら下りる。明るい日差しを浴びてフクジュソウたちはおもいおもいに花を広げている。


フクジュソウ(7)

 群れから外れて咲くフクジュソウをカメラに収め、これで最後と気に入ったフクジュソウの株を撮っていると、沢の方から人の声が聞こえてくる。男性が二人見えてきたのでもう潮時かなと、15分間の滞在で切り上げることとする。まだ午前9時を少し過ぎたばかりである。


フクジュソウ(8)

 すっかり雪の消えた沢を下って行くと、大きな声が間断なく響いてくる。静寂の地にまるで不似合な大声であるが、本筋を外した人たちが迷っているような感じで、結局沢の合流部までの間に誰にも会うことはなかった。きっと合流部をまっすぐ登ったのだろう。そこはちょうど彷徨い人が往復するから立派な踏み跡ができている。


フクジュソウ(9)

 鹿除けネットを二つほど開け閉めすると、遠くに10人ほどのパーティが大声を響かせながら登ってくるのを認める。リーダーはメンバーよりずっと若い女性だった。足場の悪い斜面で交差するとき「話ばっかりしないで足元をちゃんと見てね。」とメンバーを静かにさせ、「どうでしたか。」と様子を聞いてくる。その後、すれ違うのに難儀するほどの集団が登ってくる。ひとり、ふたり、さんにんと30ぐらいまで数えたが、切りがないので「あとどのぐらいいるの?」と聞くと、そのグループは東京ハイキングということで、「半分に分かれたのが後ろから登ってきますから」と聞いたときには言葉もなかった。


フクジュソウ(10)

 もうそろそろ別な場所を見つけなければと、下山後、疲れた体に鞭打って車を回して別な山の山襞に分け入った。情報も確信もなかったので、当然のごとくそこには何の痕跡もなかった。しかし、念ずれば花開く。来年までにはあらたにフクジュソウの群落地を探し出そう。そしてそこでゆっくり憩うことにしようとも思う。(実はある程度の算段が・・・。)


[HOME][1日目]