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酉谷山避難小屋から倉沢の廃村へ (2013)
2013/ 5/10〜11


小屋からの風景(小川谷)


 5月11日(土) 2日目  

  昨晩の小屋泊まりは一人だったことと、疲れた体ながらの土木作業、その上の飲酒が重なってまだ陽もあるのに寝入ってしまった。すっかり疲れがとれて目が覚めたら午前3時で、星はぼんやり見えるものの、しとしとと降っている。その天気もすぐに持ち直したので、最後にトイレ掃除を済ませて午前5時に出発する。水場は取り敢えず修復が成って水の流れも順調だ。いつものとおり水を飲んでみる。小屋から上がり、うっすらと新緑が始まる気配の長沢背稜に出ると、爽やかな朝の冷気を浴びて気持ちがいい。

 
酉谷山避難小屋の水場

 小屋からの登山道脇にはミツバツツジの木を多く見かけるがどれもまだ蕾は固く咲いているものはない。先に進んだ背稜の南面の急斜面下部にどうにかアカヤシオが咲いているのを見るが、それは陽当たりのいいところだけであり、まだまだ咲くのに早い。大栗山手前の鞍部から見る大平山南斜面もうっすらとピンク色が霞んで見えるようであり見えないようであって判断が難しい。ただ、一か所ミツバツツジの巨木が満開の花を付けているところがあった。


長沢背稜から大平山

 大栗山の先にもアカヤシオがポツポツと咲いていて、ハナド岩に来ると崖の下でアカヤシオの花が盛りだったのでもしかして、と天目山(三ッドッケ)を回って行くことにした。三ツドッケの頂上は、篤志家?によって視界を遮る木々が切り倒されたためよい展望を得られる。その罪を一身に背負ってこのことを成したことに対する賛否はそれぞれあろうが、植林ばかりのこの界隈では得難い場所になっている。


ハナド岩のアカヤシオ)

 期待して登った三ツドッケだが、花のつぼみさえ一つとしてなく期待を裏切った。それでは一杯水避難小屋でちょっと休憩と思って中を除くと、男女4人がいて宿泊したとのことだった。聞くとトレランのボランティアスタッフとしてチェックポイントの担当で来ているとのこと。参加者中約400人がヨコスズ尾根を下り約100人がタワ尾根に進むということだった。主催者側はがっぽりエントリーフィーが得られてスタッフはボランティアという美名の無料奉仕?いずれも70歳前後の方たちだった。荷造り紐が多用され案内板も手作りの粗末なものばかりだったからこの主催者は経費の支出にはエコ?対応に徹しているのだろうか。


天目山(三ッドッケ)

 このうちのご婦人たちと花の話、山の話で盛り上がって、御一方はどうしても幌尻岳に登りたいという強い意欲と希望をお持ちである。でも沢ルートでは渡渉が何度もあって流されて死者も出ているし、よくヘリコプターのお世話になる人も出るところなので、ご用心あれ。花街道のロングコースである北戸蔦別岳経由のルートを推薦するが、テントを担げないといけないしテント泊装備も重いのでと、ガイドを頼むかツアーに入るのがいいでしょうと、装備を持たなくていい楽ちんコースがあるツアー会社も紹介する。チェックポイントでの準備作業が始まったので小屋を辞し、ヨコスズ尾根を下る。


一杯水避難小屋(三ツドッケ側から)

 今日のこれからの目的は、滝入ノ峰手前の尾根から倉沢の廃村への踏み跡を辿ることである。ここから先は未踏のところで、かつ、下りに使うこともあって丁寧にGPSに情報を落としてきた。最初は稀に見る自然林で新緑に包まれて幸先がよさそうだったというのもちょっとの間で、尾根を外すと踏み跡を認めるのは非情に困難だった。いつも同じところを同じように歩いて緊張感も新鮮味も失せていたので、あ〜山を歩いているなという気持ちにさせられ、GPSに落としたコースを見付けようとしてもなかなか見つからず、知らず知らずのうちに(冷)汗を流すようになった。


倉沢旧道の巨樹

 途中で著しく予定の踏み跡を外すことがあって、沢に導かれないように傾斜を徐々に上に登っているときに道標がはっきりと見えた。GPSでの距離は30mぐらい上であったので石がゴロゴロと落ちていく斜面を登ると確かにGPS画面に記されているとおりで、しっかりとした踏み跡だった。さて道標はどれかと少し戻ったり先に進んでみたものの、それらしいものはどこにもなかった。幻覚だったのだろうか。また、しっかりした踏み跡を辿り、甚だしい倒木帯を進んでいくといつしか踏み跡が無くなり、倒木を潜り抜けるときにお気に入りのキャップを落として最後まで気付かなかったといったドジもあった。


旧倉沢集落

 倒木帯を抜けてしっかりした踏み跡に合流し、その先の別れた道を急降下すると廃村の一部が見えてきた。廃村の中をだんだん下ると様子がおかしくなって、これでは日原街道に下りられないと見当を付けて登り返すと、鬱蒼とした樹林の中に登り口があってそこからは歩道に柵が付けられていたのだった。倉沢の檜の巨樹に出合うともうハイキングコースとなって、ようやく迷路から出たという感じだった。


日原トンネル

 奇をてらって倉沢に入ったが、ヨコスズ尾根から分かれてしばらくの広葉樹林帯だけは紅葉の時期も面白いはずだが、それ以外の目的ではこの廃道を廃村を抜けて下りる価値(面白み)はあまりないものと思えた。連休後のもえぎの湯は入湯客も少なく、のびのびと足を伸ばして2日間の疲れを取った。


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