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大混雑は覚悟です 酉谷山避難小屋
2014/11/23〜24


酉谷山避難小屋


 11月23日(

 
東大演習林に沿って流れる大血川右岸・ケンカ平歩道を辿る

 鳳凰三山(白鳳峠〜地蔵岳〜観音岳〜薬師岳)を縦走し、次に茶臼岳〜光岳を極めようとちょっと重めの山が続いたので、酉谷山避難小屋が恋しくなった。所要があっていつもの金曜日発というわけにはいかず、勤労感謝の日(23日・月曜日)が絡んだ日程となり、小屋は大混雑との予感と予想でも行きたかった。ということで、いつでもどこででもビバークできるように、ファイントラックのツェルト「ツェルトUロング」をザックに入れた。ルートは、癒しの秩父路からということで大血川渓流観光釣場から大血川に沿って山に入り、東谷林道の終点のクイナ沢に架かる橋の先から尾根に取り付くこととした。

 大血川渓流観光釣場には駐車場があるが、山に登るものには使わせてくれないので、林道をさらに太陽寺方面に向けて車を進める。いつものスペースに車が一台停まっているので、その後ろにつける。あ〜、欲しかったいい車だなぁ。山に登っているだろうな、この人も、と考えながら東谷林道のゲートをくぐる。東谷はまだ紅葉が残っており、綺麗だ。惜しむらくはカメラにSDカードを入れ忘れてきたことだ。(ということでカメラの内臓メモリーを無駄にしないために道中の景色は携帯で撮ったもの。)


踏み跡登山道を外れて尾根に登り急斜面を辿る

 クイナ沢橋から尾根に取り付いて広葉樹林の中を登り、大岩の右手をトラバースして鬱蒼とした植林地に入る。植林地帯をしばらく登ると道に切った木を渡してあるところをそのまま進むと、ロープがフィックスされている崩壊地になる。今日は、その木の桟道の手前で道なき斜面を攀じ登ることにする。というのも、ここを通ると明るい広葉樹林の中を登ることができるからなのだった。踏み跡はないに等しいというよりないと言っていいのだが、要所に赤テープが付けられているから、それを漠然と追って行けば尾根筋に出るので、次は尾根筋をどこまでも辿ることになる。そうすると、本来の山道に出るので顔を右に向けると東大演習林の丸い看板がある。


尾根筋に出た (下るときはこのテープからほんの少しさらに下ったところにあるテープから左に下りるとほんの少し楽かも?)

 このあとは、熊倉山からの道との交差点に出て一息つき、小黒を目指す。小黒は魔界であり魔境である。とは言っても、小黒から熊倉山方面に下るところにはトラロープが張ってあって、ワサビ沢方向への尾根に間違っても下りる不安はなくなった。ただ、最近の記録を見ると、小黒から熊倉山への(一応)正しいルートを(二重山稜っぽいところや下降点で)探し当てられない人もいたから、魔界や魔境を侮ってはならない。


世の中で一番嫌いな、山での荷造り紐の乱用

 山では山に対する敬意が必要だ、と思っている。目印を付けるのでもきちんと付けてほしい。すぐに見苦しい風景になってしまう荷造り紐が木々に乱雑に括り付けられている風景を見ると、その安直な精神に苛立たししさを覚える。そしてもう一つは、間違った方向に入り込みながら付けたテープの放置である。この日も、小黒のピークから酉谷山方向に向かう道から左手斜面に連続して赤テープが付けられていた。

       
酉谷山頂上から酉谷峠方向へ下る

 大血川から魔境?の小黒を経て酉谷山に登り、酉谷山避難小屋へと向かうと女性3人が空身で登ってきた。「小屋の人数は何人ですか。」と聞くと、「私たち3人だけです。」という。3連休の中日なので混雑を予想していたが拍子抜けであった。連休の初日としては理想的だけれどそうは問屋が卸さないだろうなと酉谷山避難小屋へと向かう。


これでも一生懸命頑張っていただいた姿である

 小屋に着いてみると、水場がとんでもないことになっている。後で知るがそれでもある程度別な人が修復してくれたものだったが、今までの小屋の水場の様子からすると破壊的で絶望的な姿を晒している。ゴムシート2枚は表に放置されている。水場の表土は前々回10/1に訪れたときには削り取られ、石が掘り起こされていた。また10/30に訪れた際もゴムシートの先端だけはいじられていなかったので流れは十分あった。しかし、コンクリート枡の周縁に水が回っているようでは、水がすべてゴムシートに収斂されておらず、渇水時は困りものだと危惧していた。水場にはコッフェルが置かれている。酉谷山からの下りで会った3人のグループのものだろう。水を貯めようとしているが、半分も溜まっていない。ということはどれほどの時間がかかってこの程度なのか。先が思いやられる。取り敢えず時間をかけてでも水を確保しなければならない。それは、小屋の収容人数+αの人がそろうまでだ。

 
B こんなところを流れてきた水を確保していたのだった
 


応急手当後の水の流れ

 砂が混じった細い流れの水を時間を掛け、順番に溜め置く。その上で今できる最善の手を尽くして水の流れを確保する。孤軍奮闘の結果、今の気候条件で期待できる水の80%の流れは確保できた。ただ、根本的な改善は時間と根気と少しの小間物が必要だ。仕組みが分からなければ、決して水場には手を出さないでほしい。これまで何度も酉谷山避難小屋の水場が(結果的に)壊されているが、手を出されて流れが改善したことがたった一度でもあっただろうか。冬場の細い水の流れ、例えポタリ、ポタリという時であってもそれ以上のことは望めないということを知っていただきたい。
http://yamatabi-hanatabi.com/toritaniyama2013-1-2.html
この水場は何度か何ものかによって損壊されている。そのたびに水は取れなかった。導水用の樋が抜かれ、ゴムシートが抜き取られ・・・。楽しいはずの小屋が、訳も分からない者の仕業によって一時は、水が採れないという事態に陥るところだった。私がこのような行為を行っていた者を見つけた際は、看過できないだろう。そのような時同宿者は「集団的自衛権」を行使していただきたい(笑)。

 この日、小屋では板の間に6人、コンクリートの床に4人が寝ることとなった。小川谷林道に下りるところでテントが1張、ビバーク適地にテントが2張となって酉谷山避難小屋の夜は平和裏に過ぎて行った。


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