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酉谷山避難小屋〜小黒〜大血川
2014/ 3/21〜22



酉谷山避難小屋


 3月22日(日) 2日目  

 3連休初日の酉谷山避難小屋の宿泊者は4人であった。酔って早寝したため2番目に到着した青年とは翌朝も会話の糸口は見いだせなかった。午後7時に到着した2人は女性であった。その2人はC県の山の会の人で、昨日は酉谷山避難小屋が容易に見つからず稜線で大声を上げたというが、聞こえるはずもなかった。


小屋前

 この2人、東日原から一杯水避難小屋経由で来たが、危ない橋を渡ってきたようだ。というのも夏道は雪崩れていてその斜面の傾斜角度からは通行が困難なはずである。危ない思いをしてきた、尾根通しに来たとのことだった。そのような予測が今回大血川からのルートを採った理由となっている。過去に滑落死という事故が早春のヨコスズ尾根で起こっていること、この大雪の後でヨコスズ尾根〜長沢背稜〜酉谷山のルートを選択するのはまだ早いと思ったのであった。


水場

 青年と、これから雲取山まで進むという女性2人を見送って、小屋を清掃する。いまだこの量の雪であり、酉谷山避難小屋〜雲取小屋を歩くのは相当の困難が伴うだろうとの想像はつくものの、それをとやかく言う必要もないので、2人を明るい声で送り出す。すっかり小屋を整え、午前8時に小屋を出る。もうそろそろ酉谷山も近いだろうというところで女性2人が「雲取山はやめ。」と言って下りてくる。

 この女性2人のうち、一人は何人かでパーティを組んで2012年8月にペテガリ岳〜コイカクシュサツナイ岳に挑んだということであった。西尾根からペテガリ岳に入り、ペテガリ岳山荘に泊まったのちペテガリ岳に向かいCカールに幕営したという。Cカールはお花畑の中でテント泊(あくまでもこれは日高山脈の中のことであり、利用者が少ないからかつてのテン場もチングルマを始めとする花々に占領されてしまうことになっているだけのことである。)した。水場もあり、なによりナキウサギの姿が見えたという。コイカクシュサツナイ岳から縦走してきたという人たちもCカールに下りてここで幕営したとのこと。しかし、体調が悪いと言う人もいて、また、天候が悪くなりそうだということで先に進むことをやめ、撤退したとのこと。この人たちの記録をホームページで読ませていただいた。その記録が「ふーちゃん」なる人のホームページでリンクされていた。ふむふむ、なるほど、そうだったのか。撤退を勧めたのはふーちゃんだったのか。おらがテリトリーの日高は甘くないぞとばかり、ふーちゃんに驚かされたのだろう。2012年8月19日前後の天気図を見ると、その後何日も高気圧がかかっていて、たとえ気圧の谷が通過したとしても撤退するほどの状況ではなかったのではないかと推察する。喰らいついてでも歩き通すとの根性がなければ、それは無理というものだろう。日高は物が違う!と思う。


woodpecker

 酉谷山から小黒に向かって暗い雰囲気の北斜面を下りる。雰囲気が悪いなぁと思って先に進むと黒い物体が斜面に見える。こんな時間(08:35ごろ)によりによってクマかよ〜と腹をくくると、黒い服装の男性登山者が登ってくるところだった。聞くと昨日、熊倉山から登って来たが、小黒で暗くなって道も不明だったのでビバークしたとのことであった。今朝の酉谷山避難小屋の気温はマイナス10℃であったことから、相当な寒さを経験したのだろう。「軽装だったので、とても寒かった。」とのこと。


酉谷山の頂上から 富士山

 小黒まで登ってその人のビバーク地点を確認しようと足跡をたどると、小黒の道迷いの典型的な尾根に入り込んでいたので、どこまで進んだかを調べるために「間違い尾根」に入ってみると、その足跡は躊躇することなく確信をもって酉谷山(方向だと間違って別な方向の尾根に)入っている。それ以上進んで調べる必要もないので小黒に戻る。小黒に戻って熊倉山方向へ下りると氏の足跡は正規?の踏み跡から外れている。これだけ雪が積もっていると無積雪期とは雰囲気がまったく違うので、自戒しなければと自分に言い聞かせながら歩く。


小黒ピーク

 熊倉分岐を別れ大血川ルートを下りる。途中、昨日の直登ルートを下りるが、途中で降り切れないほどの斜面に出る。GPSを取り出して昨日のログをチェックすると昨日のトラックを大きく外れている。一本の尾根だと思っていたのは間違いで、昨日は斜面を登り切って痩せ尾根に出たのを忘れていた。というより、初めての急斜面に必死に取付いていたから記憶に残っていなかった。  GPSのログを頼りに旧に復し、無事夏道に出る。しばらくは南側の雪混じりの道であったが、主に北側斜面を歩くようになると、急傾斜の下りゆえビッシリと積もった堅い雪の上を、足を滑らせないように気を使いながら、どうにかクイナ沢橋に出る。


東大演習林の林道


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