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酉谷山避難小屋から三条の湯へ
2015/ 1/ 9〜10



小屋の夜明け


 1月 9日(土) 2日目  

 爽やかな酉谷山避難小屋の朝を迎えた。まだ午前4時、もう一寝入りし午前5時に起床するも、あれこれしているうちに、2時間も経過してしまった。今日の行程のコースタイムが山地図上9時間40分もあるという認識が薄く、小屋の掃除などをしているうちにさらに30分も過ぎた。名残惜しいがもう出発しなくては・・・。


酉谷山避難小屋の朝

 早朝、日の出前の酉谷山避難小屋の外気温はマイナス10℃ほどであった。水場を見に行くと、流れは細いが凍ることもなく流れ続いている。この小屋の水場の水は地中からじわじわと滲出したものが、V字状地形に集まって下部で目に付くように流れ出ている。だから、降雨が続かなかったり、この時期のように厳しい寒さのときには流れが弱かったり、出ないことがある(だろうと思われる)。


水場の様子

 というわけで、天の恵みに感謝しつつ酉谷山避難小屋を離れる。長沢背稜を出て雲取山方向へと向かう。人間というものはのんきなものだ。三条の湯までのコースタイムが10時間弱もあるというのに、のんきに自然林の中の小径をぶらぶら、ふらふら歩く。水松山を巻いているときまでにあった前者の足跡は一つだったが、その先に進むと天祖山からの足跡が複数みることができた。しかし、その足跡は、稜線を秩父側に乗っ越してほどなく踵を返している。ただ、雲取山方向からの踏み跡が一人分、しっかりと雪の上に付けられていたことから、その後はこの踏み跡を追って行く。


小屋からの風景

 雲取山へ向かう道は長沢背稜の道が天祖山への標識からいったん稜線に上がり、二重山稜の窪みを伝わって長沢山に続くのだが、ここが北斜面になることから、冬場の雪が多いときは難渋する場所となって、よくここであきらめて引き返す人がいるところである。今回はまだ積雪も多くなく容易に通過できたが、赤テープの類は少ないので多少の注意を要する場所ではある。


長沢背稜から水松山に向かう

 次の桂谷ノ頭前後までは岩場を2回ほど通過する。風景的にも木々に覆われていて寒々とした心持になるところで、吹き付ける冷たい北風が身体も冷やしてくれる。桂谷ノ頭を下りると背稜の南側の陽だまりに出る。ホッとしてザックを下ろし、テルモスのお湯を飲みながら日向ぼっこをする。なんて幸せなひととき・・・。


ヤケトノ頭?付近の北北東斜面

 長めの休憩のあとは、小ピークを1回越えてさらに芋ノ木ドッケへと、合わせて250mほど登る。芋ノ木ドッケ←→白岩小屋(三峰方向)への分岐点に出ると、三峰方向への道は雪に覆われていて、人が歩いた形跡はない。ここでは夏場はいつも長休憩をするところだが、陽も当らないことから止まることなく芋ノ木ドッケ(二軒小屋尾根下降点)へ向かい、三峰神社からの合流点へと向かう。ここはツルツルに凍りついた急斜面が長く続く。間違った赤テープが左方向(南)へと誘導しようとするが、そちらに誘われても本来の登山道に導かれるので心配はいらない。


雲取小屋

 三峰神社からの登山道と合流して大ダワへと向かうと、今日初めての人(男性)と出会う。鴨沢から登ってきて三峰神社まで下るという。大ダワから女坂を選んで雲取山荘に出ると単独男性がテン場に向かう。小屋からは人の話し声が聞こえ暖かそうな雰囲気が伝わってくる。こんなところで日和るわけにはいかない。三条の湯まで行くんだと言い聞かせ休むことなく進む。雲取山荘から雲取山まではよく踏まれている。


雲取山避難小屋

 雲取山の頂上に出ると、方位盤を取り囲み複数の若者がバーナーを使って食事をしている。頂上標識周辺にも人がいるので、スルッと通過する。すぐ先の雲取山避難小屋を見ると、今日はここに泊まっちゃおうかなぁと弱気になるが、小屋の表に周ると人人人(と言っても見えたのは数人)。ここに泊まるのは馬鹿馬鹿しそうなのでそのまま三条ダルミへと下りる。(この日(土曜日)の雲取山避難小屋の宿泊者は17人とのことだった。新しくなったトイレの汚れ方は怒りを覚えるほどとの記録があった。)


三条の湯

 雲取山から三条の湯のコースタイムは2時間で、その基準は@40〜50歳の経験者A山小屋利用B夏山ということだ。@についてはその中間をとってプラス10歳Aテント泊なのでプラス10kgB冬道というハンディなのでまずいなぁ。雲取山頂上通過時刻は14:15であった。このままだと三条の湯着は順調にいって16:30ごろか。途中でヘッデンを取り出して雨蓋に入れておく。三条の湯までは顕著な支尾根を6回ほど乗っ越す。小屋はまだか、小屋はまだかと支尾根を乗っ越すが、最後の標高1,250m近辺の支尾根を越して三条沢に沿って上流へと向かい、三条の湯が見えた時は、心底ホッとした。


三条の湯

 今日は、小屋の食堂を借りて食事をしようかなと思いながらテン泊の申し込みをするが、いつもは閑散としている小屋なのに、複数の人が宿泊者の食事の容易をしており、そんな希望を持ち出す雰囲気ではなかったし、別棟には多くの客がいるのが見えた。テン場に下りると先着者のテントが一張りあった。今回は高みにテントを張る。男女交代の温泉に男の順番が来たので入る。自己顕示欲の塊のようなうるさい話し声の3人組に耐えられず、長風呂をあきらめてテントに戻る。私たちの祖先はどのようにして社会生活を送ってきたのか、日本人なら、まして年寄りならそのようなことは分かっていようはずなのにたがの外れた人たちだった。昔は「今の若者は」と言われたものだが、今は「今の年寄りは」と言いたくなるような場面が多くなってはいないだろうか。 


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