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きれいだった!酉谷山避難小屋 (2015)
2015/ 12/26〜27


酉谷山避難小屋の夜明け屋


 2日目 (12月27日・) 

 まったく、予想だにしないほどよく寝た。青年とのインターラクティブな会話もないので、夜の帳が下りるとすぐさま寝入ったのにもかかわらず、夜半に目が覚めたのは飲酒のし過ぎによる喉の渇きを潤す時だけだった。天気予報ほど外気温が下がらなかったのも、小屋の毛布を借用できたのも、シュラフカバーを持ってきたのも、エアーマットを女性用のR値の高いものを使ったのも、どれも快適な睡眠を確保できた要因だった。


コンクリートの床の汚れを掃除してみた!

 青年に起きる様子が見られなかったのでシュラフの中でラジオを聞きながら過ごしたが、午前5時半になっても同じだったことから、起きて湯を沸かしコーヒーを淹れる。朝食の準備をするころに青年は起き出したので今日の行程を聞くと、雲取山を経て鴨沢に降りると言う。若者ならわけのない距離なのだろう。青年の出立を待って掃除をしようと思っていたが、午前7時ごろようやく小屋を後にして行ったのだった。


誇り!!

 青年が出て行ってから2時間が過ぎ、ようやく小屋の清掃が終わった。コンクリートの床は普段は庭箒で掃くだけだが、食べこぼしだとかいろいろ積年の汚れが付いているので水を撒いてこすり、それを雑巾で吸い取ってバケツに移すのはなかなか時間のいることだった。水場のゴムシートには水苔が付着して、これがNさんのステンレス容器にも付くこととなってしまっているので、ゴムシートを動かさないようにしながら歯ブラシでこすり落とす。くれぐれもお願いしたいのは、このゴムシートは何があっても絶対に動かさなことだ。これが少しでも動かされると水脈がコンクリート桝よりやや低い位置にあることから、ゴムシートがその水を受けられないことになってしまう。


before

after
水場も丁寧に

 すでに午前9時近くになってしまった。いくらなんでも、もうそろそろ小屋を出ていかねば。軽くなったザックに、ストッカーの中に隠されていたごみを入れて出発する。長沢背稜は無風、快晴で気持ちがいい。大好きな自然林の風景の中を、酉谷山を巻きながら南斜面の登山道を進む。登山道に積もっている落ち葉には、鹿が寝ていた跡があちこちにある。


小屋にさようならを言う

 長沢背稜を進むと、雲取山方向から来た時に目にする酉谷山への分岐標識があって、その場所からは秩父や上州の山並みが眺められる。ここは冬は雪が吹き溜まるところで、長沢背稜の中で一番の積雪量になるところと言える。そんなところだから秩父側から吹き付ける風も強く、特に今日はその風が冷たい。その少し先も同じように緩やかにくびれた地形となっているが、そこをやり過ごすとまた南側斜面を巻くようにしてタワ尾根の分岐に出る。


長沢背稜

 タワ尾根は、孫惣谷から吹き上がってくる風が強く冷たく、ほぼ夏山の時のスタイルだったからすっかり体を冷やしてしまった。小屋を出るときに作って山専ボトルに入れてきた温かい酒粕ドリンクを飲み、ウィンドウブレーカーを一枚着込んでようやく小康状態を保つ。タワ尾根は、登りでは迷う恐れがあるところはないと言えるが、下るときに大きな尾根を正面にしてそこから見えない尾根に乗り換えるところが大雑把に言うと2か所ある。そんなこともあって、都合3か所にトラロープが張られている。ところが、いつ行っても必要が乏しいと思われるテープや荷造り紐があちこちに括られている。しかし、前回来た時に目にしたそれらは、ほとんどなかった。同じ気持ちで清掃してくれる人が少なからずいるということだろう。タワ尾根は自然林が醸し出す風景、雰囲気がいいのだから、そっと(きれいに)しておいてほしい。


いったん後ずさりして小屋を写す

 もう篶坂ノ丸というあたりでザックを下している人がいる。これから酉谷山避難小屋に行くという。「水はどうでしたか。」と聞かれたので、「水場は順調、小屋も飛び切りきれいでしたよ。」と答えておく。ミズナラの巨樹の手前上部の2重山稜のところで、猟師さんが銃を持ってこちらに向かって歩いている。
  「猟犬を探しているんですか。」
  「そうなんだ。」
  「金袋山から篶坂ノ丸にかけての小川谷側で鳴き声を聞きましたよ。」
  「随分離れちゃったな。(と言って首にかけていたGPSの軌跡を見る。)」
  「猟犬の迷い犬はいませんか。」
  「うちんとこらのでは、犬は揃っているよ。迷い犬がいるとしたら秩父の犬じゃないかな。」

 山を下りて東日原の集落を歩いていると、数人の猟師さんが東屋の下で肉の塊をテーブルの上に置いていた。


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