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酉谷山避難小屋からタワ尾根を下る
2015/ 7/ 4〜5


酉谷山避難小屋内部


 7月 5日(日)

 同宿となった男性は、天候の状態から雲取山を経ての下山を逡巡し、タワ尾根を下りようかと算段している。しかし、この尾根を登りに使ったことがないまま下るのはお薦めできないが、ベテランさんにそのようなことを進言するのも憚れる。小屋の外は小雨である。タワ尾根の主要なピンクテープはもとより、下山時に重要となる尾根の乗換地点で迷い込みそうなところにあった虎ロープも外されている状況では、心許ない。


酉谷山避難小屋のトイレ

 そんな気持ちを知ってか知らずか、男性は長沢背稜を進んで雲取山から下山すると言う。そう言いつつ、小屋の掃除を始めようとしていたので、その作業はこの私に・・・、と言って早発ちを勧める。この男性は結局石尾根を奥多摩駅まで下ってしまったということだった。


 草繁れる酉谷山避難小屋

 今回の酉谷山避難小屋行は、飯豊山の計画が悪天候により中止したことによるもので、悪天候の予報では来る人もいないだろうと新聞や雑誌を持ち込んでのんびりしようと言う目論見だった。単独男性が同宿したことによりそのようなわけにはいかなかったが、彼が出立した後は小屋内部とトイレの清掃に精を出す。


酉谷山避難小屋の水場に咲くヤマオダマキ

 そうは言っても狭い小屋、きれいに保たれている小屋なのですべきことはすぐに終わってしまう。小屋に別れを告げ長沢背稜をゆっくりと歩く。前回長沢背稜を歩いたのは、まだ新緑の芽吹きも始まらない4月だったが、今の長沢背稜は鬱蒼とした樹林帯の中の歩きとなっている。


長沢背稜

 タワ尾根に入る。ピンクテープが剥がされたのは、それ自体には肯定してもかまわないが、ありとあらゆるテープを根こそぎ取り去るのはいかがなものか。ましてや私製の道標であってもそれが実体上公が設置のそれかそれ以上の役割を果たしていることに加え、手間暇かけた手彫りのものを剥がし取るとは狭量で偏狭な者の仕業だ。


素晴らしい長沢背稜の広葉樹

 不思議なことに3か所に張られた虎ロープは、一石神社から行くと@金袋山周辺のものは取り去られているが、A篶坂ノ丸の先の物とB大京ノクビレに下りる手前の岩場のものは残されている。剥がし魔もこの2か所の通行には自信がなかったのだろうか。


どうにか残されていた標識

 タワ尾根を下って金袋山に着くと、この場所の道標は残されている。同じ人が作った2つの「東日原」を指し示す板は取り去られているのに、かまぼこ板にフェルトペンで書かれた貧しい方向指示板は残されているなど、支離滅裂である。いずれにしてもタワ尾根を登る人の増加により歩く人のレベルも様々になっていると思われるので、冗舌なピンクテープや荷造り紐はもってのほかとしても、あっていいものは残すほどの度量を剥がし屋さんには期待するしかない。


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