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ラッセル・ラッセル・ラッセル 酉谷山避難小屋(2016)
2016/ 3/17〜18


酉谷山避難小屋


 1日目 (3月17日・) 

 
人形山

 次の山も八ヶ岳・天狗岳がいいなぁと思っていたが、さすがに今年になって4回も同じところではなぁと思い直し、奥多摩へ行くことにした。ヤマケイオンラインの奥多摩情報は、3月15日の状況を次の通り伝えている。
  「昨日(15日)、30cm降り、トレースは消えた。小屋周辺で40〜50cmの積雪。3/15(火) 晴れ、8:30の気温−7.3℃、最  低気温−9.5℃、最高気温+0.4℃。」
 翌16日のヤマテンの予報の配信では、17日から18日午前中までの天気がよいとのことなので、トレースがなくても何とかなるだろうと、自分に都合のいい判断で自宅を出る。


金袋山から見る酉谷山避難小屋

 今回は、公共交通機関を使って、1日目は東日原からタワ尾根、タワ尾根から長沢背稜、長沢背稜を酉谷山避難小屋(泊)、2日目は、酉谷山避難小屋から七跳山、七跳山から大平山を経て大ドッケへ、いつもの場所で花を見て浦山大日堂へ下りる計画を立てた。雪が積もっていてもアイゼンは不必要と持参せず、万一のことがあればツェルト泊に切り替えることとして、ファイントラックのツェルト2ロングを持つことにした。


ウトウノ頭

 JR立川駅始発の奥多摩駅行きの電車は、ちょうど平日の通勤時間帯で、これから仕事に行く人で座席は一杯になった。その中にハイキングに出掛けようとする人も少なからず見かけられる。しかし、75リットルもの大きさのザックを持っている人はホームにもいない。奥多摩駅では、各車両から下りたハイカーが多く、目的のバス停に停まっているバスに吸い込まれていく。東日原経由鍾乳洞行きのバスには、ほぼ座席が埋まるほどの人が乗車した。終点の鍾乳洞までの人は数人で一石神社へ向かう人、すなわちタワ尾根を登ろうという人はいない。


長沢背稜・タワ尾根合流地点

 東日原の街並みを過ぎると、車窓から見る山には雪がしっかりと見える。こんなに雪が多いのかと驚かされるが、行かねばならない。一石神社からベンチまでには雪がなく、ロングのTシャツと半袖のTシャツの重ね着だけでも汗が噴き出す。ベンチに着いたときは背中が汗をかいている。ベンチから金袋山のミズナラの巨樹までの間で雪が出てきて、巨樹から先は次第に雪が深くなってくる。雪質は柔らかく水分を含んでいる。1〜2日前に付けられたと思われる往復の足跡が1人分ある。登りではワカンを使い、下りでは6本歯のアイゼンを使っている。そのトレースを追って登っていく。この人のトレースはおおむね夏道をほぼ正確に取っていると言っていい。ただ、この尾根を何度も登った人かと言うと、そうでもなさそうだ。
 というのも、ウトウノ頭を下り、大京ノクビレに至る稜線の岩場で、その先に張られたトラロープが見えない場所で、天祖山方向の石灰岩の採掘場が見える方向に下ってしまっている。そして、その人がどこまで下りたのかは確かめようがないが、再び戻ってきてタワ尾根を戻っていっているのだった。


長沢背稜から 酉谷山避難小屋

 大京ノクビレに降りると、雪が本格的に積もっている。ここから先はもうトレースが全くないので、自力で進むしかない。結果的にクビレからは約1時間半を要して長沢背稜に合流する。長沢背稜にもまったくトレースがない。この様子だと頑張って2時間という目標を自分に課して黙々とラッセルを続ける。日当たりがよくて斜面からの崩れがないところは10〜15センチの深さだが、南斜面でも日当たりの悪いところや雪崩っぽい積雪のあるところは膝上までの雪が積もっている。ほぼ2時間、ラッセルにラッセルを重ねて、ようやく酉谷山避難小屋が見えてくる。酉谷山への尾根の道を通らずに来たが、カラマツの林のところの積雪は酉谷山避難小屋への分岐点まで、うんざりするほどだった。しかし、小屋が見えればすべての苦労が忘れられる。水場も健在だ。もちろん小屋は貸し切りである。3月3日に宿泊された人のノートの記述を見ると、丁寧に小屋を掃除されて帰られたことが感じられる。しかし、その後に泊まったであろう人がいたはずだ。この小屋を利用する際のスタンダードからは少し外れてしまったのかなぁという印象を持つ。


酉谷山避難小屋の夜を照らすソーラーランタン

 小屋について身支度を解く。登山靴は経年劣化したものを履いてきたので、靴下はビショビショとなっている。すっかり衣類を着替えてさっぱりすると、すぐビールと日本酒で憩う。潤沢な野菜を添え缶詰を利用したバカオ、おいしかったなぁ。そんな感想を持てるのもほんの一瞬のことで、瞬く間にシュラフに潜り込むのであった。


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