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春間近 酉谷山避難小屋(2016)
2016/ 4/14〜15


酉谷山避難小屋


 1日目 (4月14日・) 

 
スミレ

 長年の仕事からリタイヤしたのに、その翌日から新たな仕事に就いたのでその対応に忙しい。仕事と言ってもアルバイト待遇の、時間に余裕があるはずの仕事なはずなのに、実質一人で切り盛りしているから、特に体が難儀している。だが、ウィークディに連休を入れておいたので行くしかない。たとえ雨であっても・・・。


春の蘭

 予報は、降雨確率70%。ただし、午後からは曇りであったから、降雨の中、秩父に向けて車を走らせる。途中でどうしても運転不可能なほどの睡魔に襲われて、路肩に車を停めて一寝入りする。目が覚めてみると、とんでもない時間になっていて、結局、スタート地点の秩父鉄道武州日野駅をスタートしたのが10:45にもなっていた。ビバーク装備込みのザックを背負って宗屋敷尾根を酉谷山避難小屋まで行くには遅すぎる時間である。


 秩父林道を歩いているときはまだよかったが、宗屋敷尾根の取り付き口(520m)から急斜面を登り始めると、途端に体が重くなってつらいことこの上ない。雨はすっかり上がっているが湿度は十二分にあり、汗が噴き出す。祠のある地点にイワウチワがあるから、そこまで登ればとりあえず報われるだろうとがんばってみたが、花には早く、カメラに収めるべきものはなかった。というより、今年は暖冬だと言われているが、実際は山の花は寒波にさらされていたのではないかと思う。いつもの春の蘭も、カタクリも、ミツバツツジも、アカヤシオもほとんど開花したものが見られない。


左から酉谷山、その左の手前の山が小黒、奥の左に坊主山

 背負ってきた水分は、水が1リットル、ポカリを500ccだけだし、その半分は消費しているからビバークするにも心もとない。ビバークだなんていう弱気の夢を見ながら宗屋敷尾根の最後の岩場をクリアして蝉笹山(1440m)へ上がると、熊倉山との合流地点に出る。ここから3時間ほどで酉谷山まで行かれるとして、酉谷山避難小屋到着午後6時過ぎか。少し暗くなるなと思ってヘッドランプをザックの雨蓋の中に入れる。


標識とは逆方向の小黒へ向かう

 慌てていたわけではないし気を付けて歩いていたが、斜面の落ち葉に隠れた岩で足を取られた。転倒した際、両手の甲で体を支えたことで、左手人差し指の爪を特に強く打ってしまった。車のドアに指を挟んだ時のような痛さ、内出血。その痛みは今も続いているからひびが入っているかもしれない。一本の指が使えない不便さというのは、特に山のようにバランスをとる必要性が大きい時に影響するし、物の出し入れの際にちょっと触れると強い痛みに襲われる。


酉谷山避難小屋

 魔境「小黒」を経て、ようやく酉谷山へ出る。酉谷山から酉谷山避難小屋までは10分程度で着く。朝方の雨の降り方が激しかったから、小屋には誰もいないだろう。武州中川駅を午前10時45分に出て、小屋着が午後6時15分だから、所要時間は7時間30分だった。若者だったら6時間もあればいいのだろうが、もうこの歳ではそうはいかない。小屋の戸を開けると、「いつものように」きれいにされている。トイレは今日使った人が清掃して行ったのだろう。水気がまだ残っていた。こんこんと湧き出る水場の水でビールと日本酒を冷やす。
 (3月25日付けの小屋のノートには、小屋が汚されていることを書いてある。「汚い!とにかく汚い!たぶん3月19,20、21日の3連休。水場前の飯粒、床、土間・・・。」


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