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冨田新道〜雲取山避難小屋〜酉谷山避難小屋(3日目)
2017/10/31〜11/2


[3日目]
2017/11/ 2(水)
酉谷山避難小屋〜タワ尾根分岐〜ウトウノ頭〜篶坂ノ丸〜オロセ尾根〜八丁橋

3日目の朝の酉谷山避難小屋(1)


昨夕、3人であれこれと話が弾んだが、それも日が暮れてくると齢を重ねた者は自然に眠くなってくる。ひとりKさんが生酒をいただきながら山の余韻を楽しんでいたようだ。ただ、どうしても夜半には目が覚めてくるが、再び眠くなって昔の職業中の情景がデフォルメされて脳内を駆け巡ってくる。そんなことを1時間ほどごとに繰り返しているうちに深い眠りに陥ってしまい、すっかり夜が明けてしまったころのIさんの身支度で目を覚ます。

3日目の朝の酉谷山避難小屋(2)

KさんもIさんも身支度を整えたのにまだ身辺を散らかしているので、お二人に先に出立してもらってゆっくり支度をすることにした。もともと、3日目の今日は昼過ぎに下山すればいいと、予定では酉谷山避難小屋の出発時間を08:00としていた。小屋もきれい、トイレもきれいだったが、それでも登山靴で運んできたカラマツの葉や一晩3人で過ごしたことによって発生した塵埃は少しはある。

3日目の朝の酉谷山避難小屋(3)

酉谷山避難小屋は紅葉シーズンを迎え、これから週末も平日も活況を呈してくることだろう。今回の訪問の後の土日には5人のグループをはじめとして小屋に入りきれないほどの宿泊希望者があったようで、強者は午前中には小屋に到着していたらしい。そんな大混雑の中でもちょっとした譲り合いがあれば小屋ライフは楽しいものになる。

3日目の朝の酉谷山避難小屋(4)

酉谷山避難小屋のトイレは美しいし、臭わない。しかし、トイレの後始末にティッシュペーパーを使う人もあろうし、そうでなくトイレットペーパーを使った後にそれを便槽に落とす人ことは普通の流れである。ところが酉谷山避難小屋のトイレは微生物の働きで消臭する「トイレバイオ消臭」を便槽の中に落としており、トイレットペーパーが堆積するとその効果を発揮させることができないと想像される。つまりトイレが臭いの元が分解されないことになる。そんなことで試験的にトイレットペーパー「入れ」が置かれているが、うんこの着いた紙が鼻先に置かれているという構図になってしまっている。酉谷山避難小屋が素晴らしいと言ってここを利用する場合は、これから自分の尻を拭いたトイレットペーパーは便槽に落とすことなく、あるいは袋に入れることなく自分で持ち帰りましょう。

3日目の朝の酉谷山避難小屋(5)

ゆるゆる過ごした小屋ともお別れの時間がやってきた。小屋から長沢背稜に出てタワ尾根へと向かう。下り基調の道なのでリハビリ登山の身に優しい。

贅沢な自然林の長沢背稜

長沢背稜は秋の風情となっていて陽の光も差し込み、落ち葉が敷き詰められていても道はしっかりしており道形に進んでいけばいい。タワ尾根への分岐点では、この尾根を登ってきた男性とスライドする。初めてのタワ尾根ということで汗だくであった。

タワ尾根 大京谷ノ峰

ここしばらくタワ尾根を歩いていなかったので、モノレールの軌道が孫惣谷に落ち込む手前のところの木にに、冨田新道で見かけたと同じデザインの山名板が掛けられている。板材は銘木で字体もすっきりと美しい。

タワ尾根 ウトウノ頭方向を振り返る

ウトウノ頭から緩斜面を下りながら進むと単独の女性が上がってくる。ツキノワグマと間違われては困るので、スライドする少し手前で朝の挨拶の言葉を発するが、頑なな様相の女性はそれが聞こえたのか聞こえなかったのか、言葉を発することもなく、また頬を1mmほど緩めるのでもなく、息を止めたような様子で過ぎて行く。ちょうど紅葉が美しい場所だったので来たりし道をカメラに収めようとして振り返ると、件の女性がこちらを窺っている。

篶坂ノ丸からオロセ尾根に入る

長沢背稜のタワ尾根分岐点から篶坂ノ丸まで休憩なしで来たが、腰を下ろすのも面倒なので続けてオロセ尾根を下りる。最近はこの尾根も良く使われているらしく、赤テープの類があちこちに屋上屋を重ねるように付けられている。赤テープは時には助かるが、そこまでして人を誘導したいのかと思うほどで、景観を損なうことになっている。

オロセ尾根に咲くミヤマリンドウ

この尾根を使った最初のころは自然林が豊かだという思いであったが、実はその半分は植林で占められていて開放感がなく、日差しも入り込まないから草花を見るのはごくわずかであった。今回見た花は咲き遅れのオヤマノリンドウで、無味乾燥な植林帯にあって異彩を放っている。

日原川(八丁橋)

八丁橋に下りて車を東日原に走らせ、派出所に下山の報告をして奥多摩の「もえぎの湯」に直行する。冷えた体を湯船でじっくりと温めてから帰路に就いた。冨田新道から周回した今回のルートはリハビリ登山者に優しく、1日の歩行時間もそれぞれ6時間ほどとのんびりしていて、また近いうちにこのような贅沢な時間の使い方をしてみようと3日間の山を思い返すのであった。


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