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北アルプス 裏銀座縦走
(烏帽子岳〜水晶岳〜双六岳〜槍ヶ岳)
2002/8/12〜16


□ 2日目 2003/8/14

 まだ誰も目覚めていない午前3時30分には、身支度を整えるために布団を抜け出す。まだ暗い厳寒で準備をしていると、眠そうな目をした小屋の従業員が見送りに出てきてくれた。0時45分、三ツ岳へと向かう。

 三ツ岳への登山道には、コマクサを主体とした高山植物が咲き誇っている。ヘッドランプをはずし、コマクサを一つ一つ照らしながら行く。05時05分、頂上でご来光を仰ぐが、雲が多くすっきりしない空模様だ。尾根筋をたどり野口五郎岳へと向かい、小屋前で朝食とするが、風が強く手がかじかむ寒さだ。小屋の主人が小屋周辺の砂礫の登山道を掃いて道を整えている。

 07時30分に穏やかな山容の野口五郎岳、08時05分に真砂岳下に至り、雪渓で遊び、竹村新道に分岐するころから始まるお花畑の花を眺めながら、10時20分水晶小屋に到着する。水晶小屋はこじんまりとした、というより、小さな山小屋だが、昨晩は50人オーバーの80人が宿泊したとか。一睡もできなかったという人もいたという。

 小屋には風力発電機が備えられており、羽根が強風で強い音を立てて回っている。小屋の西側が水晶岳へのへの登山道だが、草原状となっていて、ハクサンイチゲなどが咲くお花畑を形成している。水晶岳へと足を伸ばすと、お花畑の散歩道は徐々に急峻な道となり、岩場を登って頂上へ出る。途中の東側の小さなカール状の地形に至る斜面は、遥か下までお花畑となっている。

 水晶岳の山頂は狭く足場も悪い上に、西から東へと流れる強風のせいもあって、落ち着くことができないが、憧れの山の一つの水晶岳に登れた感激に浸り、しばらく滞留する。水晶小屋での昼食の予定が、強風により食事を摂る場所が得られず、12時15分に小屋を出発し、ワリモ岳北分岐まで足を進め、のんびり昼食を楽しむ。

 このころから空模様がだんだんと怪しくなり、昼食が済んだころにはポツリポツリと来てしまい、完全な雨対策を施す。雷鳥が登山道を歩いているのをやり過ごしながら鷲羽岳へと進む。登山道に雷鳥の羽根が1本落ちているので、これ幸いとレインウェアーのポケットに収める。羽根の周囲は保護色と同じだが、その内側は白色となっている。

 鷲羽岳の頂上はガスの中。実は、早朝の三ツ岳の空に十字架模様の雲を見つけ、何かしらの不安がよぎったが、これがその後の暴風にさらされる予兆だったのかもしれない。レインウェアーのポケットに手を入れてグローブを取り出したとき、雷鳥の羽根が一緒に出てしまい、強い風で表銀座の方向へ持っていかれてしまった。

 今夜の逗留先である三俣山荘へは鷲羽岳の長い下りを経る。水晶岳へ登った尾根続きなので、鷲羽岳への登りは差ほどではなかったが、三俣山荘までの下りは勾配がきつく長い。まして降雨の中、鷲羽岳を振り返ると、もしこれを登り返せといわれるとご免をこうむりたいほどの威容を見せている。

 雨の中、ハイマツ帯の中からやっと山荘を見つけ安堵感を覚えながら15時05分に到着、雨衣を解いてさっそく野外酒宴の準備に入る。三俣山荘は、烏帽子小屋や水晶小屋とは違って水が豊富で自由に使える。大樽の中で缶ビールやジュースなどがたっぷりと冷やされている。それもそのとおり、ここは黒部川源流部で雪渓もある。

 酒宴の準備が整ったころ、再び雨足が強まってしまったので、小屋2階の睡眠場所に移動しての酒となるが、宴会場の他の登山客と方が触れるような混雑に、心なしかテンションが低くなる。程なくして夕食の時間となり、我慢して待っていた生ビールを一気に飲み干して今日の疲れを忘れる。

 三俣山荘には、新潟の女性2人組が先着していたが、烏帽子小屋を05時ちょうどに出発し、三俣山荘には14時30分に到着したという。山好会の精鋭3人組よりなんと1時間30分も早い。その驚異的な足の速さに驚く。

 夜半、2度ほど屋根を叩く雨音で目を覚ます。小屋は極端には込んでいないと見え、布団1組に1人で寝られたが、1階の暖房の熱気が2階に上がってくるせいで、暑くてたまらない。


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