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大群落 自生地のヤマシャクヤク
2014/ 5/12


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 自生地のヤマシャクヤクが咲く風景 

 ヤマシャクヤクの自生地の記録を調べていると、一株一輪の画像があった。たった一輪のヤマシャクヤクがとても気になった。こんな山中にヤマシャクヤクが咲くのだろうか。あればあったでいい、なければないでいいという気持ちでヤマシャクヤクの存在の有無を気に止め山道を歩く。


A 

 ヤマシャクヤクとの最初の出会いは、北海道の平原の中の原始の森の中であった。そのころ、北海道ではヤマシャクヤクが数株見つかったということでも新聞の記事になるのであった。当時は、その原始の森を密かに散策してエゾエンゴサクやフクジュソウ、コケイラン、トケイランなどの花を見て歩くので十分満足していたが、その森の中で10数株のヤマシャクヤクを見つけてしばらく興奮状態にあったので、他の地を探し回るような気持ちにはならなかった。雪が融けた後の森に咲くフクジュソウを見に行くと、雰囲気はまるでおとぎの国お花畑のようだった。


B

 その後、四国に行きヤマシャクヤクを探しに山に登って見た。その山は頂上にカタクリが咲くという不思議なところであった。ヤマシャクヤクは登山口の駐車場の手前に咲いていた。誰もが駐車場を目指して車を飛ばすので、林の奥に咲いている白い花は目に入らなかったのだろう。足跡は一つもなかった。その後近くの山の沢筋に入って多くのヤマシャクヤクを見ることとなったが、花期は過ぎていた。


C


 関東の山にヤマシャクヤクが咲いているというわずかな情報をもとに、山を彷徨った。山道の脇にトイレットペーパー(ティッシュペーパー)が捨てられていると思って近づいてみるとヤマシャクヤクが一輪咲いているのだった。その後、この山域を3年ほどにわたって探し、1,000〜1,500株以上のヤマシャクヤクを探し出した。


D

 6月に咲くラン科の花、ホテイランを探しに多数の落石で荒れた林道をようやく車を進め、登山道のない尾根道を辿った。ホテイランは結局見ることはできなかった。残雪の森林帯を越え展望の利く稜線に出た。こんなに遠くまで来たのに本来の収穫はなし。道迷いしないように下山しようと元来た道を戻る。登りのときにヤマシャクヤクの蕾を見つけていたので、途中から尾根筋を外す。あるはあるは、ヤマシャクヤクが花開いて待っていてくれた。


E

 白い花を見たら赤い花が見たくなる。ベニバナヤマシャクヤクの情報に接した。しかし、そこは手が付けられないほど林道が崩壊し、情報発信人は遭難寸前となって登山をやめてしまったほどの悪い環境のところなので、当分の間は入ることが難しい。ならば、危険のないところに行けばいい。ということで情報収集の結果、3か所のベニバナヤマシャクヤクの情報を得る。しかし、場所の特定はできていないのでさらに調べて1か所の山に入る。情報では1株とあったが、実際に山に入ってみると30数株を数えた。そして別なところでも20数株という信じられないベニバナヤマシャクヤクの群落が、人に知られることなく存在しているのだった。


F

 今回見たヤマシャクヤクの群落は、想像を絶するほどの規模だった。その実態を正確に知ろうとするには、いったん尾根を登って斜面を下ったり上ったりし、広範囲に見る必要がある。傾斜がきつくロープを使用するなどして身の安全を図る必要があるような場所もあるようだ。日本にこのような花園が残っていることに驚きを感じる。花園のヤマシャクヤクはちょうど咲き始めたばかりであり、花期が過ぎたものはなかった。蕾のものも多く花園全体の花期は1週間から10日間、いやもっと続くのかもしれない。それは様々な地形、陽当たりが影響しているからのようだ。ヤマシャクヤは東西に延びる尾根という地形、そこを吹き抜ける霧などの気象条件が重要だとの記述をある資料で見た。この地は南東から北東に延びている。ふところの広い地形で風の流れがよさそうだ。


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