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夜叉神峠小屋前から

白峰三山の展望台夜叉神峠から〜大崖頭山往復
(2010/ 1/7)

2010/ 3/20〜21のリベンジの記録はこちら


 2010年の初登りは鳳凰三山の一つの薬師岳、それも雪上でのテント泊と勢い込んで準備をしてみた。幕営は南御室小屋のテント場、夏場で5時間40分の行程だからゆっくりでいいか。

 芦安から夜叉神峠登山口のある夜叉神峠の森までは南アルプス林道の通行が許されている。路面は概ね乾いているが、日影は圧雪もしくはアイズバーンと考えておくほうがいい。ABSを作動させて凍った路面での制動の具合を確かめて林道を走る。峠の駐車場には2台停められていて、先行者がいるようだ。午前9時30分出発する。

 樹林間に付けられた登山道には、年末年始に踏まれた雪の上に10cm内外の積雪があるが、夜叉神峠小屋までは足跡が多い。小屋前の標高は1792m左が間ノ岳、真ん中が中白峰岳、右に北岳、三山の一つの農鳥岳は視界に入らないが、白峰三山の絶好の展望台である。。ベンチで先行者2名がコーヒーを飲みながら目の前のパノラマを楽しんでいる。「北岳で遭難事故があったらしいから気を付けて」と見送られて先に進む。


間ノ岳

 小屋から先にトレースがあるが、今朝往復したような跡だ。積雪はそれほどでもないがところどころに吹き溜まりがある。いったん下って登り、細い尾根筋を行くと野呂川から吹き付ける風が強い。平成21年12月下旬に「山岳遭難防止『大久保基金』の会が発行し登山口に置かれていた遭難防止の注意を呼びかけるパンフレットには、「野呂川側からの強風に注意」と書かれていたが、この場所のことを言っているのか。気温はマイナス3,4度程度だがゴアテックスの表地、フリースがインナーの手袋をはめた手がかじかみ、イアーバンンドで覆った耳の血行が悪く冷たい。(凍傷についての参考は外部ページのこちらへ)

 登山道はうっそうとした樹林間に付けられていて歩けど歩けど展望は得られない。大きな木が1本倒れた間からほんの少しだけ間ノ岳が顔を見せる。登山道は傾斜を強める。吹きさらしで歩きやすいところを選んで登るが、それでも傾斜と積雪で歩幅は狭い。アイゼンがなくてもスリップはしないが、早めにアイゼンを付けるべきであった。90リットルのザックは重く、もう12時を過ぎているというのに杖立峠はまだまだ先だ。もうトレースがなくなって久しい。


夜叉神峠小屋前

                  「引き返す 勇気で生まれる 友とのきずな」
 そんなことがパンフレットに書いてあったな。このまま進んでも南御室小屋はおろか、苺平にも明るいうちに行けそうもない。展望のない樹林でテントを張ることを考えると里心がついてしまった。温泉は温かいだろうな、そんなことを思うと、すぐ芦安に下りたくなった。大崖頭山付近であった。

 下山すると決めたらあっという間に夜叉神峠小屋まで下りてしまった。相変わらず間ノ岳や北岳がその美しい姿を見せている。温度計は氷点下6度を指しているが風がないので、手袋をはめずにいても寒さはそれほど感じない。ここをすぐ離れるのは惜しい。お湯を沸かし1時間も山々を眺める。「出直そう。」


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